インテグラな日々

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梟の城

2007-08-28 01:40:44 | 司馬遼太郎

司馬さんの(本格的な)デビュー作で、直木賞受賞作。映画化も2回されている作品。司馬さんが空港で読む本がなく、この本を買って「思わず、面白い!」と言ったことがあったとか…。

<内容>
豊臣秀吉が天下を統一。そんな中、伊賀忍者・葛籠重蔵は秀吉暗殺と、伊賀を裏切った兄弟弟子・風間五平を討つため立ち上がる。

<評価>☆☆☆☆☆(満点)
とにかくおもしろい! 読んだことのない人や歴史小説が苦手な人は読んでください! 重蔵という男の生き様、恋を捨て、仲間に裏切られ、それでも自分に課せられた仕事を果たそうとする…。まさに男の中の男。甲賀の摩利洞玄との戦いや、五平との因縁、師匠・下柘植次郎左衛門の裏切り、二重スパイ・小萩との切ない恋。

そして、最後の鳥肌もののアレ…。フィクションなのか、ノンフィクションなのか。このへんの“筆かげん”はさすがです。

<こぼれ話>
この作品は直木賞に選ばれた有名な作品。ところが、この年は直木賞が司馬さんのほかにもう一人いたんだよね。名前は忘れたけど。そのもう一人を推したというか、司馬さんをダメだししたのが、かの大家・吉川英治さんです。あの宮本武蔵で有名な。

吉川さんはこの作品を読み終わった後、激怒して「歴史を勉強しろ!」と言ったとか。そんな吉川さんをなだめ、強行に司馬さんを推したのが「天と地と」でおなじみの海音寺潮五郎さん。

海音寺さんは「この嘘をつく能力、人を酔わせる文章力は、若いころの吉川英治を彷彿とさせる」と言ったそうなんです。

だから、司馬さんは海音寺さんのことを常に慕い、何度も対談しています。一方、吉川さんのことをなんと思っていたかは知らないけど、司馬さんは吉川さんに対抗するかのように宮本武蔵の短編、長編を書いております。そこには、武蔵は決して剣の達人ではなかった。むしろ芸術家だったとあります。

<映画>
中井貴一主演のを見ました。おもしろかったけど、どうも中井貴一が重蔵だとピンとこないんだよな。中井さんて、育ちのいいお坊ちゃまみたいな感じがして。やはり、真田広之にやってもらいたかった。中井さんごめんなさい!!

その後、1963年公開の「忍者秘帖 梟の城」を見ました。大友柳太朗さん主演の白黒映画で、木さるがハッピーエンドで終わるところなどが違いますが、上の作品よりは面白かったです。


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