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インテグラな日々

本、音楽、そしてスポーツ…!

ジョン万次郎漂流記

2007-09-06 02:08:09 | そのほか


人生っていったいなんなのでしょうか?

今日はいろいろ考えてしまうことがありました。実は、会社の人が病気のために辞めることになりました。その人はまだ20代前半です。

「人の一生の中で、唯一分かっていることがある。それは死ぬことだ」

池波正太郎さんが好んで書く言葉です。

限られた時間の中で、僕たちは悔いのないよう生きていかなければいけないですね。

そんな同僚のためにも、不幸を乗り越え、すばらしい人生を送ったジョン万次郎を題材にした「ジョン万次郎漂流記」(井伏鱒二)を紹介したいと思います。

<ジョン万>
幕末の人で、土佐の漁師です。この人のすごさは、その人間力だと思います。
彼は船が難破し、仲間と無人島へ上陸します。彼らを助けたのは、なんとアメリカの船。仲間はハワイで降りたのに、彼だけアメリカ本土へ。自ら望んで小学校で勉強したり、ゴールドラッシュになると、ひと山当てようと黄金探しを始める。そして日本に帰るために捕鯨船に乗り、人種差別がひどかった白人の船で、なんと副船長に選ばれる…。

この男すごい!!!

小学校や中学校の国語の教科書にぜったい載せるべきだと思います。若い人たちに、これほど進取の精神に満ちた日本人がいたことを知ってほしいです。もちろん、評価は☆☆☆☆☆の満点です。文句なしです。一気に読め、ジョン万の人となりが一気に伝わってきます。

<晩年>
ジョン万の日本での生活は不遇だったようです。坂本竜馬の見聞を広め、幕府の通訳にはなったようですが。海外で生き生きと人生を楽しんだ彼ですが、日本の封建社会には閉塞感を感じたようです。

<海洋もの>
司馬さんの高田屋嘉兵衛を題材にした「菜の花の沖」を読んでから、海外や海で活躍する人に興味を持つようになりました。かってに「海洋もの」と呼び、山田長政もの(白石一郎「風雲児」、山岡壮八「山田長政」、遠藤周作「王国への道」)の次に本作を読みました。今後、井上靖の「おろしや国酔夢譚」や遠藤周作の「侍」を読もうと思っています。


<最後に…>
けっこう、いろいろ書いていたのですが、今回は「投稿」ボタンを押したとたん、すべて消えてしまいました。なぜだ…。

もっと長かったのですが、もう一度書く気力がこの辺で尽きました。なので、ここで終わりたいと思います。また、明日からいろいろがんばりたいと思います。











忍者

2007-08-27 03:30:29 | そのほか
昨年から、テーマを持って小説を読んでいます。

そのテーマが「忍者」。

司馬さんの忍者ものは大好きで、おそらく2年に1回は「梟の城」や「風神の門」
や「最後の忍者」などの短編を読んでいます。

とにかく、司馬さんの忍者ものは面白く、ワクワク、ハラハラさせられ、葛籠重蔵や霧隠才蔵の活躍に胸を躍らせてしまいます。ちなみに葛籠重蔵は「梟の城」の主人公、霧隠才蔵は「風神の門」の主人公です。

短編も下記作品があります。


「下請忍者」「伊賀者」「最後の伊賀者」「果心居士の幻術」「飛び加藤」「伊賀の四鬼」「忍者四貫目の死」

そんな中、いつか池波正太郎さんの忍者ものも読もうと思い、現在読んでおります。
かつては「忍者丹波大介」を読んで挫折したのですが、今回は「司馬さんの忍者ものの世界観が正しいのではなく、まったく別物と思わないと!」と自分に言い聞かせ、成功? 中です。

読んだ順で行くと…

短編集の「忍者群像」、長編ものの「忍者丹波大介」「忍びの旗」「夜の戦士」「蝶の戦記」「忍びの風」「忍びの女」「火の国の城」、短編ものの「霧の女」と「戦国無頼・真田ゲリラ隊」です

現在「真田太平記」の10卷を読書中です。

まあ、このあとは津本陽の「真田忍侠記」、早乙女貢の「風魔小太郎」、南原幹雄の「信長を撃いた男」を読もうと考えているところです。ただ、忍豪作家の山田風太郎は読むか悩んでいますが…。そうそう、藤沢周平の短編「忍者失格」も読んだっけ。

話を戻すと、司馬さんと池波さんって、同い年だったとか。関西在住の司馬さんに、江戸っ子の池波さん。非常に仲も良かったらしいです。何が言いたいかっていうと、二人は互いのテリトリーを侵さなかったってこと。忍者の世界において。

司馬さんは伊賀忍者ものを書き、池波さんは甲賀忍者ものしか書いていない。これって面白い

「梟の城」の重蔵や「風神の門」の才蔵はもちろん伊賀忍者。数あるフィクション、ノンフィクションの短編の主人公もすべて伊賀忍者。

一方、池波さんの主人公はすべて甲賀忍者。逆に、伊賀忍者がほとんど出てこない。(司馬さんの長編ものには、甲賀忍者は必ず登場)甲賀以外には、伊那忍びが出ます。これって、池波さんの創作かな…。あと、女忍びが非常に多いのが特徴。

それと、すぐ主人公が甲賀を裏切る…! 読んでて、また裏切るの…、と何度思ったことやら。長編ものの主人公で、女忍び以外はみんな裏切ります。(6作品中4作品)。これじゃ、誰も甲賀に仕事は頼まないな・・・

池波忍者もののもうひとつの特徴は、丹波大介、お蝶、小たま、向井佐助、奥村弥五兵衛など、さまざまな作品に顔を出すこと。そこがまた面白いんだけど、毎回微妙に(極端に)設定が違ってたりも。

以下のできごとです

「明智光秀の密書強奪事件」
「明智光秀殺害者」
「徳川家康襲撃と家康護衛」
「奥村弥五兵衛の死んだ状況」

など、作品によって違う。

ぱっと思いつくのは「家康襲撃」。

家康が石田三成との決戦に向けて関が原に向かう途中の話で、家康が長良川を渡っている時に真田側の襲撃を受ける

以下の感じ。別バージョンもあるかも。

①「真田太平記」
舞台は長良川
襲撃→真田の草のもの・お江   護衛→甲賀・猫田与助

②「忍者丹波大介」
舞台は長良川
襲撃→甲賀・丹波大介      護衛→甲賀・お万喜

③「忍びの女」
舞台は揖斐川
襲撃→真田忍び・権左      護衛→甲賀・小たま  

こんな感じ。

それぞれの話が関連しているようで関連していない。パラレルワールド?

ちなみに長編の「忍びの旗」と短編の「寝返り寅松」は同じ話ですが、オチだけ変更。
逆に長編の「忍びの女」と短編の「霧の女」はまったく同じ話。いわゆる長いか短いかだけ。

今後、二人の忍者小説をレビューしていきます