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インテグラな日々

本、音楽、そしてスポーツ…!

歴史小説の読み方4

2008-01-06 00:08:58 | そのほか
第4章の子母沢寛です。

「新撰組」3部作と「勝海舟」「親子鷹」が紹介されています。

<内容>
やはり子母沢さんの生い立ちが紹介されています。有名な話ですが、子母沢の祖父は彰義隊の生き残りで、けっこうやくざな人だったらしいです。子母沢さんは、この祖父に育てられたそうです。

だからか、子母沢さんの初期は「股旅物」ばかり書いていたそうです。いわゆる祖母の面影を追い求めていたようなことが書かれていました。

その後「新撰組」や勝の小説「勝海舟」「親子鷹」を書かれたそうです。

会田さんは子母沢さんがいなければ新撰組の真実は分からなかったようなことを話しております。事実、新聞記者時代の子母沢さんが新撰組の生き残りに取材したものを三部作として発表したわけですから。

司馬さんも、この三部作を大いに参考にしたと言っています。

ただ、会田さんは、子母沢さんは残念ながら祖父の影響からか、反体制の人物しか描けなかったというております。新撰組、勝海舟…と。

確かに、これなどは「書きたいものを書く」という本人の自由とも思いますが、会田さんはそう言うております。

傑作「親子鷹」は海舟と父の話ですが、まさに子母沢さんと祖父の関係と同じとありました。そして、最後に海舟が明治政府で役職をもらう前で筆を置いているのも残念だとありました。

<新聞記者>
司馬さんや松本清張さんもそうですね。記者というのは、自ら足を運び、取材し、事件の本質を見抜き、事実を書く。一方で、簡潔に面白く書く作業が求められます。歴史小説家には向いている職種かもしれないですね。

この評論を読んで「親子鷹」「勝海舟」を読みたくなりました。ま、新撰組三部作は絶対読みます。

あと2作か…。

歴史小説の読み方3

2008-01-04 23:07:43 | そのほか
続いて、新田次郎です。

オレは一度も読んだことはありません。そういえば、オヤジの本棚に「武田信玄」が昔ありましたね。

確か、司馬さんが新聞記者時代、新田さんに連載を頼みに行き、断られたそうです。新田さんは当時、気象庁勤務で、毎日帰宅後の数時間でコツコツ小説を書いておられたとか。だから、新規の仕事を引き受けられなかったということです。

オレなんか、仕事から帰ってきたら酒飲んでマッタリしてますけど、やはりできる人は違いますね。

「八甲田山死の彷徨」「武田信玄」「武田勝頼」の作品がでてきます。

「信玄」は当時、大変なベストセラーとなり、新田さんは国民作家といわれたそうです。

<内容>
この章も、やはり新田さんの長いサラリーマン生活から来る特徴が述べられています。新田さんは50歳くらいまで働き、特に偉くなることもなく辞めて作家に専念したそうです。

そして、山男だったそうです。

だから仕事がらコツコツと、そして山男らしく着実に、「武田信玄」を史実に忠実に書いたそうです。ただ、会田さんは忠実に書きすぎているために、話の大筋に関係ない話も乗せていると言っています。

確かに、司馬さんは主人公を起承転結に当てはめ、有名なエピソードでも起承転結に邪魔になるようなら省いています。だから、司馬作品はきれいに話が進んでいくのだと思います。

もう一つはユーモアや女性観、キャラ設定が弱いとありました。つまり、話があわあわと進んでいく。

たとえば、武田信玄が天下統一を目指し、京に向かう。しかし、現実問題、京に行っただけでは天下統一にはならない。信玄はその後どう考えていたのか。新田さんの考えがなかったのが残念だとありました。

いや~、会田さんの指摘は鋭く、怖いですね。それが評論家なんでしょうけど。

<面白かったこと>
「武田信玄」の中に、信玄の正妻が登場します。この人は公家出の人で、何かあると信玄に皮肉を言う。ある時、諏訪家の娘の湖衣姫を気遣う信玄が辛らつな皮肉をいわれる。

これは新田さんの実体験だろうという。まず正妻はほとんど資料がなく、こういう皮肉屋だった資料は一切ないそうです。

そういえば、津本陽のエッセイを読んでいたら、津本さんが寝ていたら大きなムカデが現れて、それを刀? トンカチ? かなんかで殺したことがあったそうです。それにインスパイアされて「下天は夢か」で信長にやらしたそうです。(あったっけ?)

オレなんか、作家さんはよく史実じゃないことを書けるな~と思います。そしたらオヤジが新聞に掲載されていたある歴史作家の対談を持ってきました。

二人ともオレは知らない人でしたが、そのうちの一人が「歴史を勉強したら、平気で嘘を書けるようになる」と言っておりました。

ま、みんがみんなそうじゃないとは思いますが。

いつか「武田信玄」「武田勝頼」を読みたいですね。

歴史小説の読み方2

2008-01-04 22:01:33 | そのほか
本日は、海音寺潮五郎編です。

「剣と笛」「押川強兵衛の事」「武将列伝」などの小説が登場します。

オレは「武将列伝」の伊達政宗が載っている巻しか読んだことはありません。あとは「蒙古来たる」「悪人列伝」「伊達政宗」「列藩騒動録」ですね。

<内容>
海音寺小説の物足りなさが述べられています。オレも多少感じていたところですが、会田さんは歴史小説に取って重要な経済活動が述べられていないのが理由だそうです。つまり、歴史を政治の面だけで考察しているからだと。世の中は政治が先ではなく、経済活動が社会を作っていくそうです。

それは海音寺さんの出身と関係があり、氏が鹿児島出身だからとありました。西郷隆盛ら多くの薩摩人の弱点と同じで、政治は分かっても経済が分からない…だそうです。あとは薩摩的な虚飾を排除した文章にもあるとのことです。

幸田露伴の小説「雪たゝき」は名文であるが、海音寺さんの「剣と笛」は物足りない。ただし、原文に忠実なのは海音寺さんのほうだと述べています。

面白かったのは、海音寺さんの人物眼は非常に素晴らしく、おそらく司馬さんの「箱根の坂」の早雲、「国盗り物語」の道三は、海音寺さんの人物評を基に作ったのではないかとありました。

<歴史>
海音寺さんは、他の作家と違い、歴史学者なみに歴史を勉強している感じがします。司馬さんもですね。

二人の歴史対談「日本歴史を点検する」はすごく深い内容ですもんね。

歴史小説の読み方

2008-01-04 02:31:09 | そのほか
本日は、またもやオヤジから薦められた京都大学名誉教授・会田雄次さんの「歴史小説の読み方~吉川英治から司馬遼太郎まで」を紹介します。

相当本が古く、探しても本の画像がありませんでした。

<内容>
これは5人の歴史小説家を批評した本です。タイトルは額面通りではなく、もっと深いところをさしています。

いわゆる彼らはどういうスタンスで小説を書いているのか。それは彼らの生活環境や生い立ちが関係しているというようなことです。そして、彼らの長所と短所が述べられています。

1章 司馬遼太郎

2章 海音寺潮五郎

3章 新田次郎

4章 子母沢寛

5章 吉川英治

となっています。

<それぞれの感想>
1章 司馬さん

「殉死」「坂の上の雲」「最後の将軍」「竜馬がゆく」「国盗物語」「翔ぶが如く」「箱根の坂」「菜の花の沖」「人々の跫音」「項羽と劉邦」「峠」などから、司馬小説に迫っています。

オレは「峠」だけ読んでいません。かなり有名な作品で、もったいぶって読んでいない感じです。

結論から言うと、会田さんは司馬さんだけ絶賛していました。もちろん、「項羽と劉邦」は残念ながら司馬遷には及ばないとか、初期の作品はフィクション的な要素が強いとは述べられていましたが。

吉川英治で生まれた歴史小説は司馬遼太郎が完結させたとありました。国民作家と呼べるのは吉川氏と司馬氏で、司馬氏の方が上のようなことが書かれています。これは同じ理由で、歴史学者の梅原孟さんも司馬さんの追悼本で語っていますね。

どちらも、国民の望むストーリーを敏感に察し、物語を作ったものの、吉川氏には戦前という時期から説教臭があるということです。

梅原さんは司馬さんとはあまり仲がよろしくなかっただけに説得力があるかなと思います。

あと、歴史の資料を丹念に調べることと、唯一といっていいほど、本当の社会を動かしている経済活動を機敏に捉えているとのことでした。

オレは司馬さんが大好きなので「なるほどな~」と思って読んでいました。

面白かったのは司馬さんは戦争に従軍した経験から、生理的に権力者を描きたくなく、竜馬や斉藤道三など非権力者ものを次々と発表したそうです。しかも、彼らは資料が少ないだけに、想像を膨らませた非歴史小説といってもいい作品になっているそうです。

ただ、出版社の都合で「国盗」の後半で信長を書いた時、真の歴史小説家に変貌を遂げたとのこと。政治は権力者が動かすもので、歴史小説には政治が描かれなければならないと書かれていました。また、権力者は膨大な資料が残されているので、丹念に資料にあたる必要があるとのことです。ここから、本当の司馬遼太郎が生まれたということです。

会田さんは「歴史小説」とは嘘がある(多い)歴史小説は本当の意味で歴史小説ではないと定義づけています。

だからでしょうか…

「なんで山岡壮八がないんだ」と思って読んでいたら、あとがきに「山岡壮八はフィクション色が強いので入れなかった」とありました。オレは吉川英治と並ぶ大家と思っていただけに、ちょっと意外な気がしました。

ベスト本

2008-01-03 02:29:26 | そのほか
ここいらで、MY長編歴史小説を紹介したいと思います。
読んでいる作品が非常に偏っていますが、そこはご理解のほどを。

個人的に思うのは、司馬さんの作品は大好きで、(司馬作品の)8割ぐらい読んでいますが、面白さの割りに、なぜか強烈に印象に残るのは少ないかなと思っています。

「樅の木は残った」山本周五郎
1回しか読んだことはありませんが、尋常じゃないほど興奮しました。小説で、ここまでドキドキさせて読んだものはないですね。予備校時代に読んだ本です。

「殉死」司馬遼太郎
強烈でした…。その一言に尽きます。乃木大将という人を何も知らずに読み、すごく考えさせられました。この本を読み、日露戦争に興味を持つようになりました。

「坂の上の雲」司馬遼太郎
全8巻で、挫折しそうにもなりましたが、最後はものすごい高揚感を感じながら読みました。こういう人たちがいたからこそ、今のオレたちがいるんだなと。

「王国への道」遠藤周作
山田長政ものでは一番おもしろかったですね。ちょっと宗教臭さが気になりましたが。長編としては2006年に読んだものではベスト1かもしれないですね。

「菜の花の沖」司馬遼太郎
高田嘉兵衛という人は知りませんでした。いや~、日露戦争が起こる前に、こんなことがあったんですね~。ロシアとの戦い、そして友情…。「大将、ウラー!」。

「竜馬がゆく」司馬遼太郎
世間一般にいわれるほど、思い入れはありませんが、最終巻は読むのが辛かったですね。その最終巻は高知の「竜馬記念館」で買いました。いい思い出です。

「新撰組物語」子母沢寛
これは短編集ですが、一つの作品として成立しているので入れます。「新撰組血風録」の後に読んで、さらに新撰組に興味を持つようになりました。

「列藩騒動録」海音寺潮五郎
海音寺さんの本ではMYベスト1です。ツッコミどころはなく、単純に楽しめました。この本を読んで、江戸時代のお家騒動に興味を持つようになりました。

「梟の城」司馬遼太郎
何か読むものがなくなると読む本。ほんとに、ラストは鳥肌が立ちました。忍者が好きになったきっかけとなった作品。長編では最も多く読んでいる作品。

「伊達政宗」山岡壮八
政宗好きのオレとしては思い出に残る作品。政宗の長編としては最多の3回か4回読んでいる作品。ちょっと政宗がスーパーマンとして描かれているかな…。

で、オレが合わなかった本を三つ紹介します。

「風雲児」白石一郎
ダメでした。山田長政という人を書くのは難しいのは分かりますが、ツッコミどころ満載。「え~」とか「普通そう考えるか」などと文句を言って読みました。

「最後の将軍」司馬遼太郎
大河になっている作品ですが、過去3回アタックしてダメでした。徳川慶喜に共感できませんでしたし、慶喜を評価する司馬さんの考え方にも……でした。

「真田&忍者もの」池波正太郎
オレ的にツッコミどころがあったり、説得力を感じなかったり、同じ話の短編や長編が多く、なおかつ登場人物や設定を変える(全く変えない)ところ。

で、明日は短編にいきたいと思います。

2007年のベスト本

2008-01-01 00:40:18 | そのほか
2007年のMYベスト本を紹介します。

今年は忍者小説ばかり読んだ年でした。というより、池波さんの忍者もの&真田ものを読んだ年でした。予定では、他の作家の忍者小説も読むつもりでしたが無理でした。

なので、来年も忍者小説を読もうかなと思っています。

で、順位を発表します。



1位 列藩騒動録 海音寺潮五郎

興味のある「伊達騒動」が掲載されていたので買いましたが、正直、期待はしていませんでした。なので、うれしい誤算?です。上下2巻ですが、あっという間に読めます。過去、ちょっと内容を紹介していますが、江戸時代のお家騒動を紹介している本です。この本が面白かったので、本屋で「寺田屋騒動」も買っちゃいました。

2位 一豊の妻 永井路子

これは短編です。「へー永井さんも一豊の妻を書いているのか」という好奇心から買いました。司馬さんの「功名が辻」の千代とまったく性格が違いますが、見事に成立しています。これは面白い。「功名が辻」とともに読むと、作家の解釈で主人公の性格がこうも変わるものかと感心させられます。

3位 張込み 松本清張

最近読んだ本です。歴史ものではありませんが表題作や「腹中の敵」「五十四万石の嘘」など、清張らしいサスペンス的なアプローチが新鮮でした。

4位 黒幕 池波正太郎
もしかすると、池波さんの作品で一番印象に残った本かもしれません。主人公の黒幕ぶりと、人生の達観ぶりが良かったですね。

5位 忍びの旗 池波正太郎

池波さんの忍者ものでいうと一番印象に残っているのは「忍びの旗」です。当時はまだ池波さんの同じ内容の短編を読んでなかったので、純粋に楽しめました。

図解雑学 剣豪列伝

2007-10-30 01:30:08 | そのほか


幕末剣豪伝を読んだので、ついでに本棚から本書を取り出して一気に読みました。
司馬さんの剣豪ものを読むうち、剣豪を勉強しようと思い、買った本です。

前読んだ時は、剣豪といえば宮本武蔵、柳生一族、新撰組、千葉周作しか知らず、かなり苦痛を感じました。

しかし、今回はかなり知識が増えていたのでスラスラ読めました。

<内容>☆☆
イラストとともに、日本の剣豪を2ページずつ紹介しています。なかには、徳川家康や豊臣秀吉など剣豪? と言いたくなる人も紹介されています。

個人的にはそんな有名人を載せるよりは、さまざまな剣豪を紹介してほしかった感じもします。

たとえば、司馬さんの短編で出てくる「上総の剣客」の主人公「おだやかさま」こと森要蔵なんかも紹介してほしかったですね。

<気になる剣豪>
本書で一番気になったのは、欄外で紹介されていた明治の剣豪・得能関四郎という人です。

彼は井上馨の警護をしていて、彼を殺そうと10人ぐらいの人間が真剣を持って鹿鳴館に乱入したことがあったそうです。

得能関四郎という人は、近くにあったステッキを使い、賊10人の小手をうち、刀をことごとく打ち落としたそうです。

すごい使い手ですね。欄外ではなく、きちんと紹介してほしかった気もします。

<武蔵と吉岡憲法>
宮本武蔵といえば、京の剣術の名家・吉岡憲法を破り、復讐しようとした彼の一族を破ったことで有名です。

司馬さんの短編「真説宮本武蔵」や長編「宮本武蔵」では、この有名なエピソードは武蔵の嘘で、吉岡憲法は江戸時代まで生きていたし、武蔵が殺したという吉岡一族の名前は実在していないというくだりがあります。

これは、吉岡憲法の短編「京の剣客」でも触れられていたと思います。

もちろん、オレにはどちらが正しいのか分かりませんが。

ただ、本書は武蔵も憲法も、司馬説ではなく、一般的な説が採られています。

幕末剣豪伝

2007-10-26 02:18:30 | そのほか


本屋で見かけて面白そうだなと思い、買ってしまいました。けっこう、こういう本を買ってしまいます。

なんか、マンガ感覚で音楽を聴きながら読めるんですよね。「真田太平記」はいつ読み終わることやら…。

<内容>
幕末の剣豪を紹介した雑誌です。4章からなり、

1章 江戸三大道場編
千葉周作、斉藤弥九郎、桃井春蔵といった道場主
桂小五郎、武市半平太といた師範代

2章 新撰組

3章 暗殺者

4章 幕府側の剣客

からなっております。

<買った決め手>
なぜか、鏡新明智流の上田馬之助です、プロレスラーではありません!

司馬さんの短編で「斬ってはみたが」という話があります。馬之助の話で、非情に興味深い内容です。いつか、ここでも紹介したいと思います。

その馬之助の話を思い出し、買いました。彼は練習では無類の強さを見せるのに、真剣ではからっきし弱かったという内容だったと思います。

あと松田屋での戦いの真偽を知りたったのも決め手です。

小説では、馬之助は世話になっている商家の子供とウナギの松田屋に食べに行ったところ、絡んできた天童藩の剣術指南役が階段で襲ってきたところを返り討ちにします。

ここで、馬之助は「剣の奥義をつかんだ」と思ったものの、何もつかんでいなかったという話で終わります。

本書では、馬之助の剣の達人としてのエピソードだけが語られ、松田屋事件は彼の名前を轟かせた事件として紹介されています。

<ほか>
興味深かったのは、神道無念流の仏生寺弥助(この人知りませんでした)と、斉藤&桃井、新撰組、人斬り河上彦斎でした。

<感想>☆☆
前に読んだ剣豪本より、読みやすく、分かりやすかったです。

意外と、岡田以蔵や河上彦斎、田中新兵衛、中村半次郎ら「人斬り○○」が、単独で暗殺をしていないのは驚きでした。しかも、そんなに殺していないんですね。

新撰組

2007-10-09 01:19:37 | そのほか
新撰組

とりあえず、忍者ものを紹介し終えたので、次回から新撰組ものをレビューしていきたいと思います。

<きっかけ>
もともと幕末が苦手でしたが、司馬さんの「新撰組血風録」を読んでから、大いに興味を持つようになりました。「血風録」以外にも、司馬さんは「理心流異聞」や「ただいま十六歳」などの新撰組ものをけっこう書いています。

長編では「燃えよ剣」が有名ですね。新撰組ものといってもいいかもしれない「胡蝶の夢」は読んだことはありません。

<池波作品>
じつはほとんど読んでいません。池波さんもけっこう書かれています。とうぜん、いつか読もうと思っています。オレが読んだのはひとつで、土方歳三の短編「色」です。タイトルあってましたっけ?

<そのほかの作家の作品>
こちらもほとんど読んでいません。読んだのは、子母澤寛の「新撰組物語」です。これは新撰組三部作のひとつで、司馬さんは大いに参考にしたと言い、子母澤さんにもその旨を伝えていたそうです。

<子母澤寛>
オレはよく知らないのですが、子母澤さんは永倉新八ら新撰組の生き残りから実際に話を聞いて三部作を書き上げたそうです。けっこう昔の人なんですね。昔の人にしては、かなり読みやすい文章です。それはそうと、歴史上の人物と話をしたというのもすごいことですね。

<壬生義士伝>
浅田次郎さんの小説で、映画は見ました。けっこうウルウルきました。ちょっと驚いたのは、子母澤さんの小説に、壬生義士伝とまったく同じ話があったことです。しかも、子母澤さんは吉村貫一郎の遺族(娘?)から聞いた話だと書いています。浅田さんはこの小説を基に書いたということなんでしょうか…。原作は読んでないですが、映画の内容とほとんど同じでした。

<新撰組と剣客もの>
オレ的には、剣客ものというジャンルがあって、なぜか新撰組ものと別ジャンルになっています(笑)。理由はフィーリング的なものです。

なので、新撰組が終わったら剣客ものを紹介しようと思います。ほとんど司馬作品しか読んでいませんが…。








忍者失格

2007-10-05 01:04:15 | そのほか



本日は、藤沢周平さんの短編「忍者失格」です。

え~、藤沢さんの小説は今作が初めてです。初めてで、いきなりどマイナーな本ですが…。たまたま、藤沢さんも忍者の短編を書いているというのを知り、読んだしだいです。

<藤沢周平>
オレはほとんど知らないのですが、スタイル的には池波さんのような感じでしょうか。歴史もの、時代ものを書いているというイメージがあります。

「たそがれ清兵衛」は、映画で見ました。ちょっとウルウルきたのを覚えています。そんな話ですよね…?

<本書>
とにかく、ひたすら探しました! すでに廃刊になっているとかで、図書館に行ったのですが、常に貸し出し中! 藤沢人気のすごさを痛感しました。オレはズボラなので、予約とかはしようと思いませんでした。だから、地元の横浜や勤め先の東京の図書館に何度も顔を出すのですが、ま~貸し出し中。しかも、ネットでいつ検索しても貸し出し中。すごいっすね。藤沢周平、恐るべしです。

てな感じで、通いつめて2カ月後ぐらいにゲット(レンタル?)して、コピりました。

藤沢さんの無名時代の、未刊の短編を集めた作品集です。

<内容>
伊賀、甲賀の話ではありません。東北の忍びで、どちらかという浪花節的な話だったと思います。ちょっと、読み返して内容を書きます。以下です。

田沢の豪族、雪江氏の砦を、草の一団が襲撃し、一族を皆殺しにした。
一人生き残ったのが、雪江氏の跡取りとなる赤子。草の一人、木兵衛は赤子を拾い、育てることに。

仲間から浮いている木兵衛は、みんなの反対に耳を貸さず、赤子を雪太郎と名づけ、忍びの技を伝授していく。

月日は流れ、木兵衛と雪太郎は、大宝寺の武藤氏の新しい城を探る役目を負う。ところが、木兵衛は相手の忍びに包囲される。木兵衛は雪太郎に真実を伝え、息絶えた…。

そして雪太郎。頭領の娘といい仲になっていたが、棟梁にばれ、逃亡しようと決意。そんな雪太郎を、体を許しあった義理の妹が追いかけてくる…。

<評価>☆☆
めちゃくちゃ探したので評価は☆☆ですが、ちょっと、話が1本にまとまっていない気がします。

雪太郎が亡き武将の息子と知った時点で次の展開を期待したのですが、このエピソードはここで終わって「?」と思ってしまいした。

後半はまったく関係のない二人の女との絡みで終わります。最後もなんだか…という感じです。

あと、無名時代に書いたからでしょうが、文章が硬く、やたら難しい漢字を使っている印象があります。

ま、本人は出すつもりのなかった小説ですからね。

<今後>
ま、あまり藤沢さんは歴史小説を書いていないので、今後読もうと思うのは「一茶」ぐらいでしょうかね。

いつか俳句を勉強したいと思います。

<東北忍者>
これってどうなんでしょうか。オレが知っているのは、伊達家の忍び集団「黒脛組(くろはぎぐみ)」ぐらいです。彼らは諜報活動専門だったとはいえ、純粋に忍びだったのかというと疑問が残ります。

思うに、東北の忍びは、伊賀や甲賀の人間が日本各地に散らばり、土着し、地方で忍び働きをしたのではないでしょうか。

もしかしたら、そのひとつの例が服部半蔵かもしれませんね。伊賀では上がり目のない彼の父が、地方で出稼ぎしようとして、当時無名の松平家のために三河に土着して働きはじめる。結果的にはラッキーだったわけですが。

なんか、そんな感じがする今日この頃です。