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『使命と魂のリミット』 東野圭吾

2013年03月21日 21時59分00秒 | ■読書
「東野圭吾」の長篇医療サスペンス作品『使命と魂のリミット』を読みました。


ナミヤ雑貨店の奇蹟片想い分身天空の蜂に続いて5作品連続で「東野圭吾」の長篇作品です。

-----story-------------
心の限界に挑む、長編サスペンス!

あの日なくしたものを取り戻すため、今日、私は命を賭ける。

「医療ミスを公表しなければ病院を破壊する」突然の脅迫状に揺れる帝都大学病院。
「隠された医療ミスなどない」と断言する心臓血管外科の権威「西園教授」
しかし、研修医「氷室夕紀」は、その言葉を鵜呑みにできなかった。
「西園」が執刀した手術で帰らぬ人となった彼女の父は、意図的に死に至らしめられたのではという疑念を抱いていたからだ……。
あの日、手術室で何があったのか? 
今日、何が起こるのか? 
大病院を前代未聞の危機が襲う。
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読み終わった後、胸が熱くなり、鳥肌が立つほど、感動した作品… 人の使命とそれを全うしようとする使命感、仲間の絆・信頼感について、改めて考えさせられましたねぇ。

物語は、研修医「氷室夕紀」、電子機器メーカー技術者「直井穣治」、刑事「七尾行成」の三人の視点から交互に描かれます、、、

「氷室夕紀」は、胸部大動脈瘤の手術中に死亡した父親の執刀医「西園陽平」に意図的な医療ミスがあったことを疑い、事実を確かめるために、自らも医者への道を選択し、帝都大学病院に勤務し「西園陽平」のもとで研修医として働く、

「直井穣治」は、結婚を約束した恋人を事故で失った過去を持ち、その間接的な原因となったアリマ自動車の社長「島原総一郎」を憎み、「島原総一郎」が胸部大動脈瘤手術のために入院している帝都大学病院の看護師「真瀬望」に近づく、

「七尾行成」は帝都大学病院に届けられた脅迫状の捜査のため、現場に赴き、新米の頃に世話になった警部補「氷室健介」の娘「氷室夕紀」と再会する… そして、警視庁の組織的な捜査から離れ独自の捜査を進める、

三人が、それぞれ、自分の使命を全うしようとして、葛藤しつつ、最善の方法を選択して行きます。

三人とも、とても魅力ある人物として描かれており、それぞれに感情移入してしまいまいたが… イチバン、その気持ちに近づいたのは「直井穣治」ですかねぇ。

過去に最愛の女を失った哀しみ、復讐を実現するために騙した女に芽生えた愛情、そして無関係の人を傷付けたくないという優しさ、、、

分かりますねぇ… その気持ち、人間の感情って、単純じゃなくて、常に揺れ動いている… 心の動き、機微が巧く表現されていましたね。

犯行当日を描いた最後の100ページ余りは一気に読んでしまいました。

そして、様々な人が使命を全うしようとすることで被害が最小限に留められ、感動的なエンディングにつながります。

こんな気持ちを持った医師に診てもらうことができたら幸せだろうなぁ… いや、医師に限らず、使命感を持って、仕事に取組む人と出会えることが幸せなことなんでしょうね。

自分の使命って何なんだろう… 考えさせられました。

使命を全うしているとはいえない「島原総一郎」は、使命を全うしようとした医師たちのお蔭で一命を取り留めますが… この事件を契機に改心してくれることを祈るばかりですね。

印象に残った「氷室健介」の台詞を記録しておきます。

「ぼんやり生きてちゃだめだぞ。
 一生懸命勉強して、他人のことを思いやって生きていれば、自ずといろいろなことがわかってくる。
 人間というのは、その人にしか果たせない使命というものを持っているものなのだ。
 誰もがそういうものを持って生まれてきてるんだ。」







備忘用に主な登場人物を記録しておきます。

氷室夕紀
 研修医、帝都大学病院心臓血管外科勤務

氷室健介
 故人・夕紀の父親・胸部大動脈瘤の切除手術中に死去

氷室百合恵
 夕紀の母親

西園陽平
 医師・帝都大学病院心臓血管外科の教授

元宮誠一
 医師・帝都大学病院心臓血管外科勤務

山内肇
 夕紀の指導医・帝都大学病院心臓血管外科勤務

福島
 医師・帝都大学病院勤務

小野川
 医師・帝都大学病院外科の教授・病院長

佐山
 医師・帝都大学病院麻酔科勤務

真瀬望
 看護師・帝都大学病院心臓血管外科勤務

菅沼庸子
 看護師・帝都大学病院心臓血管外科勤務

松田
 看護師・帝都大学病院心臓血管外科勤務

山本明子
 看護師・帝都大学病院手術室勤務

笠木
 帝都大学病院の事務長

田村
 臨床工学技士・帝都大学病院勤務

吉岡
 臨床工学技士・帝都大学病院勤務

直井穣治
 電子機器メーカーの技術者・身分を偽り真瀬望に接近

西園道孝
 西園陽平の息子・コンピュータグラフィックスの技術者

西園稔
 故人・西園陽平の息子・交通事故で死亡

中塚芳恵
 帝都大学病院心臓血管外科の入院患者

森本久美
 中塚芳恵の娘・他家に嫁いでいる

島原総一郎
 帝都大学病院心臓血管外科の入院患者・国内最大級の自動車メーカーであるアリマ自動車の社長・政財界に大きな発言力を持つ

岡部
 島原の秘書

神原春菜
 故人・フリーのノンフィクションライター

加藤和夫
 故人・帝都大学病院心臓血管外科の入院患者

小阪
 新聞記者

望月亜紀
 欠陥自動車が引き起こした事故で死亡・父親は被害者の会の代表

富田和夫
 弁護士・欠陥自動車被害者の会の補償交渉に携わる

七尾行成
 事件の担当捜査官・警視庁特殊班捜査二係勤務

坂本
 事件の担当捜査官・警視庁特殊班捜査二係勤務

児玉
 事件の担当捜査官・中央署勤務・警部補

本間和義
 事件の担当捜査官・警視庁特殊班捜査二係を統括

野口
 事件の担当捜査官・警視庁特殊班捜査二係勤務

寺坂
 事件の担当捜査官・警視庁特殊班捜査二係勤務

片岡
 事件の担当捜査官・警視庁鑑識課員





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