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『天空の蜂』 東野圭吾

2013年03月18日 21時39分00秒 | ■読書
「東野圭吾」のサスペンス作品『天空の蜂』を読みました。


ナミヤ雑貨店の奇蹟片想い分身に続き「東野圭吾」作品です。

-----story-------------
奪取された超大型特殊ヘリコプターには爆薬が満載されていた。
無人操縦でホバリングしているのは、稼働中の原子力発電所の真上。
日本国民すべてを人質にしたテロリストの脅迫に対し、政府が下した非情の決断とは。
そしてヘリの燃料が尽きるとき…。
驚愕のクライシス、圧倒的な緊迫感で魅了する傑作サスペンス。
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600ページを超す長篇… 読み始めた頃は平日で仕事から帰るのが遅かったことや、原発(高速増殖原型炉)や最新鋭ヘリコプターに関する構造説明等の専門的な内容が理解し難かったことから、なかなかペースが上がりませんでしたが、途中からだんだん面白くなってきて、週末に500ページくらいを一気に読みました。

サスペンスとして、とても面白い作品に仕上がっており、日本では難しいかもしれませんが… 映画化しても愉しめそうな作品でしたね。

某年8月7日午前5時に始まり、同日の午後2時30分過ぎに終結するまでの、たった10時間足らずの時間を描いた物語ですが、とても密度の濃い内容でした。

それにしても、今から20年近く前の1995年に、原子力発電所の必要性と危険性について課題提起しているというのはさすがですねぇ… 東日本大震災における福島原発事故以降、全国的に感心が高まっていますが、それよりも随分前のことですもんね。

そして、本作品の意味は「三島幸一」「湯原一彰」に語りかける「一度は蜂に刺された方が良い」というひと言に集約されていると感じましたね、、、

最後の犯行声明に述べられる、

「彼等は様々な顔を持っている。人類に対して、微笑むこともあれば、牙を剥くこともある。微笑だけを求めるのは、傲慢である」

「沈黙する群集に、原子炉のことを忘れさせてはならない。常に意識させ、そして自らの道を選択させるのだ」


という言葉が重い… 読者に原発に関する無知や無関心を非難するとともに、原発の是非を突きつけて幕を閉じる展開。

エンターテイメント作品の枠組みを飛び出した社会派小説でしたね。

知らないこと、知ろうとしないことも罪なのかもしれませんねぇ、、、

松江市内には原発があるんだもんなぁ… 他人事じゃないですよね、少しでも感心を持とうと思います。



備忘用に主な登場人物を記録しておきます。
多いなぁ…


湯原一彰
 錦重工業航空機事業部本部、回転翼機研究開発課に勤務。
 「Bシステムプロジェクト」の開発責任者。

湯原篤子
 一彰の妻

湯原高彦
 一彰の息子

山下
 湯原一彰の部下
 「Bシステムプロジェクト」の開発メンバー

山下真知子
 山下の妻

山下恵太
 山下の息子
 彼の乗り込んだ「ビッグB」が奪取され、生命の危機にさらされる。

笠松
 錦重工業航空機事業部本部、技術本部長

三島幸一
 錦重工業原子力機器事業部、設計課勤務

三島智弘
 三島の息子

宮本
 錦重工業航空機事業部「ビックB」の整備士

岡部
 錦重工業航空機事業部本部、総務部課長

佐藤伸男 
 錦重工業重機事業本部長

赤嶺淳子
 錦重工業航空機事業部本部、エンジン開発一課勤務

友野
 錦重工業航空機事業部本部、エンジン開発一課長

中塚一実
 高速増殖原型炉「新陽」発電所所長

飯島
 高速増殖原型炉「新陽」発電所副所長

小寺
 高速増殖原型炉「新陽」発電所総合技術主任主任長

西岡
 高速増殖原型炉「新陽」運転課長

筒井
 原子炉・核燃料開発団本社理事

花岡
 原子炉・核燃料開発団本社企画部長

加藤幸弘一佐
 防衛庁駐在官

中林
 防衛庁技術研究本部航空機開発一部所属開発官

戸田
 防衛庁調達実施本部所属担当係官

大江
 防衛庁調達実施本部担当係官

楢山
 防衛庁技術研究本部航空機開発一部開発官

八神
 航空自衛隊小松基地航空救難隊長

大場
 航空自衛隊小松基地航空救難副隊長

根上
 航空自衛隊小松基地航空救難隊三佐

植草
 航空自衛隊小松基地航空救難隊一等空曹

上条孝正
 航空自衛隊小松基地航空救難隊二等空曹

金山滋
 福井県知事

山根
 副知事

長内
 福井県原子力安全対策課長

諸田
 福井県防災課長

石倉尚介
 官房長官

室伏周吉
 福井県警捜査一課勤務

関根
 福井県警捜査一課勤務

今枝
 福井県警本部勤務・警備部長

佐久間
 福井県消防本部勤務・特殊災害課長

木谷
 愛知県警刑事部長

吉岡
 愛知県警捜査一課長

石橋
 愛知県警公安一課長

高坂
 愛知県警捜査一課特捜班・警部

二瓶
 愛知県警防犯課勤務・電子工学科出身

芦田
 警察庁長官

結城
 警察庁捜査一課長

藤田
 資源エネルギー庁原子力発電課長

穂積
 資源エネルギー庁原子力発電運転管理室長

岩橋
 資源エネルギー庁公益事業部長

梅宮定彦
 帝都大学工学部助教授

浅川
 首相

土村
 ミニコミ誌の編集長

末野
 原発反対派の老人

吉倉
 帝都大学助教授・反原発運動の指導者

田辺泰子
 早世した息子(佳之)の労災認定を求める署名活動をしている

川村貴男
 田辺佳之の友人

九谷良介
 三島智弘の同級生

九谷賢次
 良介の父親・食料品の輸入会社勤務

九谷安恵
 良介の母親

雑賀勲
 田辺佳之の友人

藤井道雄
 放射能除染作業会社の現場監督

ハチダ
 掃海ヘリ強奪犯・恐喝犯の一人





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