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善管注意義務

2006年08月27日 | 価値向上
<善管注意義務>

この「善管注意義務」とはどのようなことでしょうか。

善管注意義務とは、「委任を受けた人の、職業、地位、能力等において、社会通念上、要求される注意義務」であり、管理会社は単に受託業務を処理するだけでよいのではなく、専門家、そのプロとしての平均的な注意を尽くす必要があるということです。管理会社は、専門家、プロとして一般的にこれぐらいは払うであろうと思われる注意をもって管理業務を行わなければなりません。

ちなみに、管理組合の管理者である理事長にも区分所有法第28条により、上記委任に関する民法の規定が準用されています。

<例えば>
・建物の一部、管理設備などの損傷、危険性、不具合などを知っていながら管理組合に通知しなかった。
・修理、補修を依頼していたが、失念より放置され、事故につながった。
・管理事務についての報告が、期日通りにされない。
・管理費滞納の督促が行われているのか分からず、報告もない。
・会計処理が適切ではない。等々

「善管注意義務」を怠った管理業務は、軽過失、過失でもあり債務不履行、不法行為に関連し、そのことで損害が発生した場合は、管理責任を問えることにもなります。

※ 債務不履行には、管理会社に責任があることを前提として、下記があります。
<債務不履行の成立には、管理会社の責に帰する事由(故意、過失)が必要です>  
履行遅滞・・・可能である約束が遅れている。
   不完全履行・・約束が完全ではない。
   履行不能・・・約束ができなくなった。

上記の場合、状況に応じて履行の請求、損害賠償(損害がある場合)、契約解除ができることになります。

尚、「善管注意義務」は抽象的、流動的な概念であるのも事実であり、やはり契約の内容が重要になってきます。
管理委託契約を締結する祭に、後日のトラブルに発生しないように極力、業務内容並びに範囲、責任の所在を明確にしておく必要があります。

「善管注意義務」に関連して、委任について

委任契約・・・委任者が相手方(受任者)に法律行為を行うことを委託する契約。
       法律行為ではない事務処理の委託も、準委任として委任を準用され
       ます。
       管理会社への委託等が準委任にあたります。

管理組合においても、理事会の理事長が区分所有法の管理者であれば、この委任の規定が準用されます。
区分所有法第28条に「管理者の権利義務は、委任に関する規定に従う」とあり、標準管理規約第36条2項に「理事長は、区分所有法に定める管理者とする。」と明記されています。つまり、理事長と組合員との関係は委任の規定が準用されていることになります。

委任契約での、受任者は委託された業務、事務を誠実に処理する義務はありますが、その完成までを義務とされていません。仕事の完成が義務とされている「請負契約」とは区別され、「代理」とも区別されます。委任契約の解除について、当事者はいつでも契約を解除できますが、相手方に不利な時期に解除した場合に、その損害を賠償しなければなりません。
尚、やむを得ないことでの解除では賠償する必要はなくなります。

今後、管理会社との委託関係は、マンション管理法の施行により、益々、その契約内容に基づいて行われる訳ですから業務内容を契約書に明記して、組合員全員への広報と、理解と協力が必要になります。契約期間についても長期とせず、常に見直しができるようにしたいものです。
管理会社の「善管注意義務」を理解する事は、管理会社の業務遂行へのチェックと組合業務の委託管理の質、サービスの向上につながるものと考えます。




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