監査役の権限

非公開会社は定款により範囲を変更できる　これまでの商法では、大会社および中会社の監査役は、業務監査権限と会計監査権限を有するものとされていました。一方、小会社および有限会社については、会計監査権限のみを有するものとなっていました。



　新会社法では原則として、監査役は業務監査権限と会計監査権限の両方を有するものとなります。それに伴い、いつでも取締役や会計参与などに対して事業の報告を求めることができるものとされています

非公開会社は定款で定めることにより、監査役の権限の範囲を会計に関するものに限定することもできます。ただし、この場合、監査役設置会社や会計監査人設置会社は除かれ、定款で定めることはできません。


会社の定款自治にゆだねられた結果としての制度に　もともと中小規模の会社における監査役の権限としては、実態からすると会計監査よりは、むしろ業務監査のほうがふさわしいという意見がありました。その一方で、業務監査権限を付与するかどうかは、会社の定款自治にゆだねるべきではないか、という考えもありました。今回の改正は、その両者の考えを加味したものだといえます。



　ちなみに、業務監査権限というのは、取締役や会計参与の職務執行を監査することを指します。会計監査権限とは、取締役が株主総会に提出しようとする会計に関する議案などを調査し、株主総会に意見を報告することを意味します。

なお、大会社とは商法特例法上で定められた、資本金が5億円以上であるか、または最終の貸借対照表の負債合計額が200億円以上の株式会社をいいます。