1分で読める小さなお寺の法話集

子育て、人材育成に関する法話を実話と歴史から紐解いて書いております。

【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 地獄の釜の蓋が開く、とは、どういう方便による言葉なのかな。

2024-08-14 20:42:26 | 法話

【8月15日投稿分】


明日、8月16日は『薮入り、宿下り(やどさがり)』と言って、奉公人(修行に出された子供)さんが、草深い田舎の実家に里帰りするを許される日、という事から、この様な名称に。『許される』という言い方を聞くと、昨今、巷(ちまた)で大流行りの『〇〇ハラ、コンプラ』を想像し、訳もわからず吠え立てまくる人も出てきそうですが、これは奉公に出した側の親が「里帰りを許してもらえる様に、一人前の仕事が出来るまで、最低3年は里に帰らず、頑張る様に」という親心を受けて、奉公先の主人が『里帰りを許す時期』を見定めての言葉にて。この時には、里帰りをさせる奉公先の主人の方も「この子は、常日頃から、しっかりやってくれていますよ」という気持ち(状況報告)も込めて、お小遣いやお土産をたんと持たせて、帰らせてあげるそうです。これは8月(7月)のお盆月だけでなく、お盆の三ヶ日と正月の三ヶ日が同義(ご先祖の帰省)という事から、1月の16日もやはり『薮入り』と。昨今では、もうこの習慣は、形としては残ってないでしょうけどね。


因みに、この薮入りの日は『地獄の釜の蓋が開く日』であるとも言われております。よって、正月の1月16日、お盆の7月16日(8月16日)は、閻魔大王の縁日とされております。特に1月16日は、初閻魔の縁日法要が方々の寺院で。また、この16日以外でも、8月の1日を『地獄の釜の蓋が開く日、釜蓋朔日(かまぶたのついたち)』と定めている地方も。地獄の釜の蓋を開ける様に命じるは、もちろん閻魔大王にて。何故、1日に開けさせるかといえば、あの世からの道のりは遠く、1日(ついたち)に開けなければ、1日に出発しなければ、13日のお盆に間に合わないから、という事の様で。


この説に対しては「えっ、地獄の釜の蓋が開かないと、先祖は里帰りが出来ないの。じゃ、先祖はみんな、地獄にいるんかい」と色々、様々、突っ込みどころはありまっしょうが、そこはそれ、方便として聞き流してもらえたらと。これは何に対する方便かといえば『働き詰めの人を休ませてあげよう』という優しさからきた方便にて。「この日は、閻魔はんも、地獄の鬼さんも、仕事を休んでるんだから、みんな(働き者)も働かずに休もうよ」と呼び掛けているもの。夏場は暑いし、疲れるしね。この呼び掛けは、浄土宗さんから始まったとの事にて。浄土宗の用語などを網羅した、浄土宗大辞典の中に、その言葉が記載を。


子供時代に奉公に出されたといえば、わが寺が長年に渡り、お世話になっている仏壇店の店長さんの話をここで一席、しておかにゃならんですかね。その店長さんは、現在76歳、欽ちゃんファミリーの齋藤清六さんに極似でして、若い人達はわからんでしょうな。興味があるなら、その名でググってみて下さい。その店長さんは、母1人、子1人で、15歳の時に熊本から北九州の仏壇店へ丁稚奉公に。北九州に来てからは、親孝行が出来ないからと、毎月欠かさず母親に小遣いを送金。その返礼として母親から毎月、手作りの野菜が。「この野菜のお陰か、家族は皆、健康で」と、嬉しそうに店長さんが。


その母親が、この世を旅立つ時が。「お前に渡さにゃならんものがあるから、来てくれんか」との連絡があり、店長さんが病院へ見舞いに行くと、手渡されたが通帳と印鑑。中を見てびっくり。15歳の時から送り続けていたお金が1円も使われておらず、店長の名義で入金されていたと。なんとその額、1千数百万円。母親の死後、店長さんは「親とは有難いものですね。が、このお金は贅沢には使えませんので」と、国に申し入れて、外国人受け入れのホームステイの費用に使用を。結果、娘達は外国人と会話が出来た事で、2人ともが英語がベラベラに。店長さんが拙僧に「人というは、何の見返りを求めなくても、誠意を持って動いていれば、動いただけの結果が、付いてくるもんですね」と。


【余談】

この話は余談ですが、パリオリンピックの陸上、リレー競技を家内と見ていた時に拙僧「何万年も昔から、母が子を産み、産んでもらったその子が大人になって、また、子を産み、と、1人が1人に1つの命を延々と途切れさせる事なく、バトンタッチしてきてくれたお陰で、自分達は今現在、命を頂けてここに。先祖さん達に感謝せにゃならんですわな」と。対し、家内が「ほんとですよね。陸上のリレーを見ていると、バトンを受け取った選手は、一生懸命に自分の番を走っていますよね。親から命のバトンをもらった私達は『今度は、私の番だ』と一生懸命に人生を走って、わが子にバトンを渡せましたかね。こういう姿(懸命に走っている陸上競技選手)を見ていると、考えさせられますよね」と。職業柄(寺院勤め)ですかね、どうしても夫婦間では、この様な会話になっていきますよね。


【付録】

拙僧はこれまでに、約10年間でSNSに3000話の長短法話、また、法話の本を3冊、世に出させて頂きました。そのご縁がきっかけとなり、テレビ(約半年、週1回)、ラジオ、新聞、雑誌などや、教育委員会、学校、幼稚園、病院、老人ホーム、デイサービス、町内会老人の集い、倫理法人会、他宗寺院、葬儀斎場、社員研修などへの講演(北九州在住の拙僧が、遠方では九州南部、関西、関東、北陸、東北まで。尚、檀家は千葉県にも)にも呼んで頂き、方々で法話交流を。あらゆる話とまでは言えませんが、様々なジャンルである程度(仏教仏事系の他にも、癒し系、漫談系、人生系、目から鱗系、子育て系など)の話が出来ると思いますので、何かのお役に立ちそうでしたら、時間調整の許す限り、集いの大小問わず(参加者数人でも)足を運ばせて頂きますので、お気軽に、facebook、X、Instagram のメール(コメント欄)で、お声を掛けてくださいませ。勿論、この様なお話でいいなら、でございますが。拙僧も今年で62歳です。父親の他界年齢を基準にすれば、あと僅かに10年。これより先の残された時間は、1人でも多くの人のお役に立てれば、との思いです。『今、自分に出来る事を、今やる』ですね。


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【追伸】尚「法話が長い」と不快感を示されておられる方々には、大変心苦しく申し訳ないので、拙僧の法話が目に入らない様に『ブロック』をさせてもらっております。楽しみにされている方々もおられますので、ご理解頂きまして、それでどうか、ご容赦くださいませ。


次回の投稿法話は、8月20になります。