今年は、岡倉天心が茶の本を書き、出版されて100周年を迎えるということで記念行事が組まれている。何故そんなに私がいきんで「岡倉天心」と叫ぶのか、天心自身は、横浜生まれであることは皆様もよくご存知だと思うが天心のご両親が福井県出身ということはほとんどの方がご存知ないのではないだろうか。
横山大観や菱田春草に繋がりNEW YORKでの大観の朦朧体での大成功などを知る方々にとっては福井県はどうしたのとは言わないまでもどんな存在になるだろうか。福井県の人々は天心にとって福井県は心の故郷で間違いないと多くの方々は思っている。
茶の本と言えば、茶の湯を通じて禅のこころ、日本文化の素晴らしさを世界に向けて、英語を駆使して紹介した本であると理解できるものです。そして、28歳で現在の東京芸術大学の校長になり、「東洋の理想」や「日本の覚醒」なども英文で欧米にて出版され、日本の文化芸術のオリジンや東洋から世界に向けて積極的に国際的視野での芸術論を展開されたことは私達福井県人ならずとも知識されておられる方は多いと感じています。
又、天心のご両親が福井県出身ということで幼い頃より福井藩士の橋本左内のお話は養母さんからつねづね繰り返し聞かされて育てられたということです。自筆の履歴書などにも「郷里福井」と揮毫されておられて福井をアピールするには天心の「郷里福井」の文字は世界に通用するものだと感じています。
そして茶の本にも書かれているように茶の湯は禅のこころに通じることであり、正に日本文化そのものであるということから福井と言えば道元禅師が開祖となり、曹洞宗大本山永平寺を開かれ、700年以上の大名刹を持つものです。この厳しさと茶の屋を結びつけ、「茶の本」出版100周年記念として色々な催しが開催されようとしています。
2006年10月9日(日・祝)大本山永平寺にて大茶会と座談会が開催されるということです。座談会の方は「日本の文化~禅の心~」となっていて108歳を迎えられた大本山永平寺・宮崎奕保貫主から御垂示を賜って永平寺の教育長的存在の天野鐡心後堂様もご出席され、又、福井県知事の西川一誠先生も出席ということで岡倉天心と茶と禅のお話が色々とお伺いできそうであります。
大講堂には先刻の我師・稲村雲洞先生の大扁額「喜悦心」もあります。是非御高覧・御拝聴をお願いいたします。