サロン中央アジア

中央アジアの自然と人々

中央アジア水質専門家の来学

2008-11-25 23:37:28 | 中央アジア日誌
18日に京都学園大学バイオ環境学部を「中央アジア水質モニタリング研修団」が訪問された。 政府開発援助による研修員受け入れ事業としして、水質分析技術の研修に来日中の中央アジア4ヶ国(カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン)の水質調査専門家9名が来学した。私が「中央アジアの飲料水水質」について講演し、世界でもっとも塩分濃度が高い水をカザフスタンのアラル海流域の住民が飲んでいると指摘し、関係国の水質専門家の役割の重要性を議論した。彼らは自国の水についての一般的情報をほとんど知らない様子で、アラル海問題の原因と現状についても同じだあった。たぶんこれが現実だろうと思う。分析した結果を中央に送るだけで自ら解析してこなかったソ連邦時代の仕事ぶりは今でも改まっていないのだろう。 . . . 本文を読む

カザフでの日本語学科の閉鎖

2008-11-23 23:41:19 | 中央アジア日誌
九州国際大学の友人が3年間引き受けてくれたカザフからの国費留学生が京都にやってきた。来春から京大で博士過程に編入するための打ち合わせである。来日する前から実に上手な日本語を話せた彼はますます日本語が上手になっていた。彼のようにカザフの日本語学科を卒業した学生はずいぶんといたが、最近、日本語学科が閉鎖されつつある。日本語を習得しても就職先がなく、在カザフの日本の商社でも、日本語を話せる者よりも英語を話せるカザフ人を雇用しているから、就職先がほとんどなく、日本語学科への進学者が激減した結果である。今は英語、中国語と朝鮮語が人気学科である。アルマティ市内を走る乗用車の8割は日本車となり、日本国内よりもアルマティの方が多くの車種が見られるのに、日本語学科の衰退や閉鎖は寂しいかぎりである。 . . . 本文を読む

沙漠のカエル

2008-11-20 23:16:34 | 中央アジア日誌
カラテレン村植林サイトはカラテレン村の近くにあり、川も池もない。村の飲料水はシルダリアの水か深井戸の水である。植林サイトでの苗木の活着率の調査を終えて村に戻る途中で、突然足下にカエルが現れた。カエルは水の中にいるものと決めてかかっていること自体を動物学者から笑われ、叱られそうである。沙漠では亀に会うこともあったが、カエルに会うのは運河以外では初めてである。このカエルくんがいずこに行ったかを見極めていない。カエルの分類が分かる方がいたら名前を教えてほしい。 . . . 本文を読む

旧湖底サイトの植林を終えて

2008-11-19 23:40:08 | 中央アジア日誌
旧湖底沙漠の植林サイトは寒風が吹き、風よけと言えば乗ってきたジープだけである。植えられた苗木は灰色の枯れ木にしか見えない。10月末は冬の初めである。震えながら苗木の様子を植物学者と見て回る。土寄せをしばらく続けるという地元住民を残して村に帰ることにした。これですべての作業が終わり、ジープでノボカザリンスクに戻り、列車でアルマティに向かった。今回の植林旅行の報告は以上で終了とする。来年の春に苗木の様子を見に行く予定である。 . . . 本文を読む

旧湖底を走る

2008-11-18 23:38:13 | 中央アジア日誌
植林を実施する旧湖底サイトまで車で走る。1970年代に干上がった辺りには少々の植生が見られる地域もあるが、植物はまったく生えていず、旧湖底に棲息していた貝の殻が散在しているだけの地域もある。添付の写真はそんな旧湖底を走っていると一本の条が現れたので、車中から慌てて撮影したものである。一条の貝殻の線はかつての干上がり過程の一時の湖岸線を示してくれている。 . . . 本文を読む

カラテレン村での植林

2008-11-11 12:19:44 | 中央アジア日誌
それほど寒くない朝、村の子供20人ほどと大人数人が植林を始めた。その場を取り仕切ってくれているのは、バルサケレメス自然保護区委員会副委員長のザウレッシュさんである。昨年の植林は、冬期の気温が例年になく厳しいものであったので、よい結果を残せなかった。その分も取り戻すべく、子供たちも一生懸命に植えてくれた。今年の苗木は沙漠に生えているサクサウール林付近で採取してきた実生苗である。苗木場で育てられている苗木は地上部と地下部のバランスが悪く、昨年の失敗を繰り返す可能性があるので敬遠して、実生苗の植栽となった。水を遣り、土を軽く固めて植林は終了した。 . . . 本文を読む

やっと看板を架けた

2008-11-09 23:52:59 | 中央アジア日誌
カラテレン村の植林サイトは、家畜の侵入を阻止するために柵で囲んでいる。しかし、賢明な家畜(とくにヤギ)の知恵にはなかなか勝てず、部分的に柵をくぐって侵入され、せっかく伸びたサクサウールの新芽を喰われている。有刺鉄線の張り方を見直し、監視人によく見張るように依頼してきた。今回、この柵に写真のような看板をようやく架けた。「アラルの森プロジェクト」もやっと地域の人々にもなじみのものとなりつつある。 . . . 本文を読む

旧湖底植林サイトはこんなところ

2008-11-06 23:43:15 | 中央アジア日誌
バルサケレメス島から宿泊地のカラテレン村に戻る途中に旧湖底植林サイトがある。どんなところにサクサウールを植えようとしているかを添付写真で見ていただきたい。この日は秒速12mほどの風が吹いており、さすがに寒い。砂が地面を這うように飛ばされていく。この当たりは遠浅の海岸だったのだろう。どこまでも平らな旧湖底沙漠が広がる。なんとかこの当たりに最初のサクサウールを生やしてやれば、そこが種子源となりこの平らな沙漠に植物が侵入してくれるのではと期待しての挑戦である。 . . . 本文を読む

廃屋と砂地の滑走路

2008-11-05 00:16:20 | 中央アジア日誌
バルサケレメス島には幾棟かの住宅があり、気象観測人の家族が住んでいた。その隣にはレニングラード大学の植物学研究室と資料館があり、毎年夏休みには多くの学生と先生がこの島の生物観察にやって来た。彼らがこの島に降り立つのは、すぐ横にある滑走路であった。私も複葉機でこの飛行場に降り立ち、アラル海の水を調べ、野生の馬(クラン)を見たのは1990年の7月である。いまではレニングラード大学の資料館の窓は壊れ、観測人も住んでいない。この島の頂きに立ってもアラル海の湖面はどこにも見えない。 . . . 本文を読む

バルサケレメス島(今は丘)に行く

2008-11-03 23:01:25 | 中央アジア日誌
植林の村に到着し、今年の植林実施について現地スタッフと打ち合わせをする。苗木場の苗木の質はどうも良くないので、昨年の失敗を繰り返すことになるかもしれないので、天然の実生苗を苗木として使用することにする。サクサウールの自生地のひとつに、かつてはアラル海最大の島の一帯があり、苗木採取の候補地である。今は干上がってできた旧湖底沙漠の中の丘にすぎない。まず、その地帯へ苗木採取に出向く。村からは100キロ近くの距離で、沙漠の踏みつけ道を走る。 . . . 本文を読む