九州と同じほどもある旧湖底沙漠全面に植林しようなどと考えているわけではない。植林したサクサウールの樹に花が咲き、種子ができ、それらが飛び散って林を創ってくれるきっかけとしての植林である。今見ている成功例の林の地面をよく見ると、なんと実生苗が生えている。これぞ求めていた成果である。植えた苗木が大きくなれば、樹と樹の間の地表の砂も飛びにくくなり、1年性の草も生えやすく、サクサウールの種子も定着しやすくなる。これを目指しての植林の成果が目の前にあった。 . . . 本文を読む
カラテレン村から30キロほど離れた旧湖底の植林サイトへと向かった。イタリアやロシアからのワークショップ参加者のツアーも兼ねての現地調査である。平坦な旧湖底を走ると前方に緑の連なりが見えてきた。2010年に植林したサイトである。はたしてどんなサクサウール林が見られるのだろうか。 . . . 本文を読む
アラル海が干上がって出現した旧湖底沙漠は広大である。日本の四国よりも広い。1970年代に干上がった所と1980年代、90年代の所では表面の塩類の量も異なる。年代ごとでもあるが、僅かな地形の違いや風の方向など気象条件や地下水位が大いに影響して、植生の進出は異なる。どこに植林をするかは現地の自然保護委員会や植物学研究所の研究者の判断によって決めざるをえない。 . . . 本文を読む
カザフにはシャシリクという焼き肉料理がある。トルコあたりのシシカバブーと言えば分かってもらえるだろう。この肉を焼くときの薪がサクサウールである。炭は火力がつよく、じつにおいしく焼き肉が仕上がる。その代わりに、この木の生長は極めてゆっくりであり、年輪幅は1ミリにもならない。カラテレン村でもっとも成長した木の写真を示す。これで植林後6年である。 . . . 本文を読む
2006年から始めたカラテレン村サイトでの植林は決して順調ではない。植えた苗木の半分ほどが生き残ってくれた年もあれば、2割もない年もあった。それでも毎年補植を続けた結果、写真で示すようなサクサウールの列ができた。 . . . 本文を読む
何を植林するかは対象地域の環境条件との兼ね合いで決まるだろう。アラルの森プロジェクトでは地域に自生する、耐乾性と耐塩性に優れるサクサウールを選んだ。地域に自生しないものを持ち込むつもりはなかったし、植林方式も地域にあるものだけで実施することにした。 . . . 本文を読む
カラテレン村は旧村と新村がある。1970年に旧村は砂嵐に教われ、学校が砂に埋もれて崩壊し、民家も砂に押しつぶされた。そこで新村に移転した。砂とのきびしい闘いを経験している村であり、アラル海旧湖底沙漠の最前線の村である。この村の人々と砂との闘い/植林を共にしてみようと思ったからである。カザフの植物学研究者やバルサケレメス自然保護区の委員会も同意してくれ、2006年から「アラルの森プロジェクト」を開始した。 . . . 本文を読む
アラル海を奪われたこの村の住人たちはヤギ、ラクダに頼って生きて来た。そしてコクアラルにダムが建設され、小アラル海の水位が安定し、魚類の生息数が戻ってきた頃からは小アラル海での漁業もすこしは戻ってきた。この村の朝は、それぞれの家で飼っているヤギの出勤から始まる。ヤギを追って村人が村はずれにやって来る。何軒かのヤギを連れて牧童が沙漠へと出かけて行く。そんな集まりが村にはいくつかあるという。 . . . 本文を読む