:〔続〕ウサギの日記

:以前「ウサギの日記」と言うブログを書いていました。事情あって閉鎖しましたが、強い要望に押されて再開します。よろしく。

★ ポーランド巡礼記-1

2008-09-06 11:54:41 | ★ ポーランド巡礼記

ポーランド巡礼記

= オシフィエンチム から ジャスナゴーラ =

又は


二人の聖人

= ヨハネ・パウロ2世  マクシミリアン・コルベ =


全世界に75あるレデンプトーリスマーテルの姉妹校では、復活祭明けの1週間に巡礼の旅をする習慣がある。
高松の神学校でも、毎年キリシタンの殉教の跡を慕って、九州、関西、東北まで、くまなく巡ったものだった。

今回は、ローマに移転・仮遇している「日本のための神学院」(元高松の神学校)は、
ワルシャワとロシアのキエフともう一か所のレデンプトーリスマーテルの神学生たちと、4校総勢80人余りで、
ポーランドを巡ることになった。

意思疎通は、イタリア語とポーランド語を軸にロシア語と日本語が混じる、時に二重通訳を必要とする複雑な構成になった。

巡礼を無事終えてローマに戻ってみると、たった1週間前とは打って変わり、神学校の庭では、燃えるような新緑の中、
梨の花が終わり、サクランボの花が盛りを過ぎようとしていた。



サクランボの花はソメイヨシノより遅く、白く、花弁には皴がある。5月にはまた甘い実がたらふく食べられると、
平山司教様はご満悦だ。



昔住んだデュッセルドルフでもそうだったが、ポーランドでも寝室の二重ガラスの外に寒暖計があって、
それで朝一番、外気の温度が一目でわかるようになっている。クラカオの朝は1度から4度だった。



これが日本の景色でないことは、寒暖計の目盛りがマイナス53度まで切ってあることでわかる。
かつて、ポーランドはルブリンでクリスマス休暇を過ごしたことがあるが、
マイナス20度で「今朝は暖かいね」という挨拶を聞いたのが印象的だった。

柳はうっすらと緑だが、他の木々はまだ冬枯れのまま。
黄色のれんぎょうがどこでも目に止まる他は、地面にクロッカスがやっと咲き、チューリップはまだ葉っぱだけだった・・・。



ベンチの後ろの地面をよく見てください。無数の花。少しわかりにくいかな?



足掛け6日の巡礼は、無論一回では紹介しきれない。
三幕・五場ほどの楽劇風に構成して、最後のどんでん返しまで、途中で飽きられることなくご案内できれば、
成功のうちではないだろうか。
今回はまず・・・・

序 曲

去年の秋ごろだったと思うが、日本の為の神学院の副院長アンヘル神父が、実に奇妙なことを言い出した。
デンマークの女子トラピストの修道院の院長様から突然電話があったそうだ。
それによると、戦争末期にナチスドイツのアウシュヴィッツ強制収容所で殉教した聖マキシミリアノ・コルベ神父から、
そこの若い一人のシスターにお告げがあったという。

私はそういう類の話にきわめて弱い。春の花粉症以上に苦手なのである。

ブラックホールの発見者として有名なスティーブン・W・ホーキングと言う車椅子の宇宙物理学者がいるが、
彼は自分のベストセラーの中で、「この本の中に数式を一つ入れるたびに、売れ行きは半減する」と書いている。
私もそれを真似て、私がものを書くとき「奇跡やお告げのたぐいの話を一つ入れるたびに、
キリスト教を信じない友人の半分を遠ざけてしまう」と言いたいのだ。

神様、どうかお止しになってください。
私には一冊の聖書と、欠点だらけのただの人間にすぎないローマ法王だけ、もうそれだけで十分ですから。

マリア様が現れたとか、聖人のお告げがあったとか、おどろおどろしい話は大概にしてください。

ところが、私の祈りをよそに、副院長はお構いなしに続けた。
電話の主は、大真面目で、その若いシスターへのお告げによれば、
「元高松の神学校の神学生たちが、そろって聖マキシミリアノ・コルベ神父の殉教の地と生誕の地へ巡礼をするならば、
聖人はあなたたちに大きなプレゼントを下さると約束された」というのである。
そして、ご丁寧にも付け加えて、「このシスターの頭は、正常で正気です。後は、皆様次第です」とも言った、とか。

「これはヤバイことになるぞ」と不信心者の合理主義者は直感的につぶやいた。
しかし、私の不安をよそに、事はどんどんエスカレートしていくではないか。
ワルシャワの神学校を巻き込み、キエフと、最近出来たばかりのロシアのもう一つの神学校も巻き込んで、
総勢80人余り(大型バス2台分)の大巡礼団が結成された。

「僕、もう知らないからね!」と拗ねて見ても、私が秘書としてお仕え申し上げる平山司教様まで、
勇気凛凛ご老体に鞭打って全行程参加を宣言されたのだから、万事休すである。もう行くしかない、と腹を括った。

復活祭が明けた週の火曜日、ローマからの一行を乗せた格安のライアンエアー機はクラカウの飛行場に無事着陸した。
一体何が待ち受けているのか。
少しわくわくしてきませんか?




《つづく》

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