:〔続〕ウサギの日記

:以前「ウサギの日記」と言うブログを書いていました。事情あって閉鎖しましたが、強い要望に押されて再開します。よろしく。

★ 〔加筆〕 神父の独白 (そのー1)

2017-02-25 08:29:04 | ★ ローマの日記

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〔加筆〕神父の独白 (そのー1)

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(2017年2月11日に書き始め、25日に加筆) 

深夜、机の前の窓から見上げると、空はむら雲に星もなく真っ暗だった。

数時間前には黄色い満月が雲間に見え隠れしていたのに・・・

満月を見ると思うことがある。懐かしい思い出が・・・

 

2月14日は満月からはや3日後の月

この2か月間、ほとんど外出することもなく、

神学校の広い敷地内に閉じこもった。

もうすぐ93歳の平山司教の老々介護の他は、

キコの新刊「アンノタチオネ」( “Annotazione”)

「覚え書き」とでもしておこうか-

の翻訳で時が流れる。

 

僧院の修道僧のように世間を絶った静かな時間、

昨日10ページ、今日4ページと、むら気な進捗ながら、

4月には最後まで通しの粗い訳が出来上がるだろうか・・・

 *****

午後遅めのお茶の時間は、司教様との至福の時間。

日々工夫を重ねながら、煎茶の美味しい入れ方を追求する。

貴重な虎屋の羊羹が底をついたら、中村屋の柚子羊羹も悪くはない。

先輩の教訓に満ちた昔話に時は静かに流れる・・・

***** 

夕食の後は、

「メンドーサ枢機卿様にご挨拶」???

・・・は、二人の合言葉。

そう、司教様のお部屋に戻って、クリスタルの丸いクグラスで、

「カーディナル・メンドーサ」という銘柄のブランデーを戴くのだ。

 

証拠写真が欲しくて、午前2時、そっと忍び込んで戴いてきた

深夜、キコの本の翻訳をしながら、

私は何者か、と問うてみた。

キコに影響されたか:

お前は、傲慢で、利己主義で、

好色で、淫蕩で、嫉妬深く、怠慢で、

恩知らずで、裏切り者で、人殺しで、

金に汚く、嘘つきで、盗人で、

食い意地が張って、酔っ払いで、

すぐにカッとなり、強情で、残虐で、

猜疑心が強く、・・・

と、リストはまだまだ続くが、全部そのまま自分の身に当てはまり・・・

要するに、わたしは救いようのない大悪党であることが

身に染みてよく分かってきた。

外資系銀行を辞めて、せっかく神父なったけど、

「日暮れて、道遠し」とはこのことか?

 *****

高松の神学校がローマに移されて早くも8年になる。

その間に、この神学校を出た若い神父たちは、

カトリックの最高学府、グレゴリアーナ大学などで、

神学修士、博士の学位を取って、

アジア各地の第一線で宣教・教授活動に励んでいる。

日本の田舎の小さな神学校は、

いつの間にかアジア全体の宣教の拠点に育ちつつある。

 

司教様は、神学校の日本帰還まで死を見ない、と楽観しておられるが・・・。

哀れみ深い神様!彼の最後の願いをどうか聞き届けてください。

お願いします、神様!

 *****

ローマに来てよーく分かった。バチカンの中は俗世の組織と選ぶところがない。

例外もあろうが、押しなべて能力もモラルも凡庸なお役人たちによって、

旧態然とした効率の悪い肥大した官僚組織の中で、

多数派の保守と少数派の革新がしのぎを削っている。

嘘も、怠慢も、誹謗中傷も、罠も・・・暗殺も、なんでもありの世界だ。

何も昨日、今日に始まった話ではない

http://blog.goo.ne.jp/john-1939/e/54748ace9ce6f15f2de45317dbce5eb5

忘れられた中世の町「アナーニ」への郷愁

「教皇ボニファチウス8世の屈辱」

(ブログ2014年3月17日参照

2000年前、無学なガリレアの漁師たちに託されて以来、

中世を経て教会はずっとそうだった。

宗教業界ナンバーワンの規模と暖簾の古さを誇るカトリック教会が、

こんなに肥大したおんボロ船でありながら、

2000年の歴史の荒海を乗り切って沈没を免れたきたことは、

神の存在とそのご加護が無ければ、

全く説明不可能だ。

これほど明白で強固な神の存在証明が他にあるだろうか?

 

コメント (3)
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