:〔続〕ウサギの日記

:以前「ウサギの日記」と言うブログを書いていました。事情あって閉鎖しましたが、強い要望に押されて再開します。よろしく。

★  世界史の奇跡?=ユダヤ教とキリスト教の和解(そのー5)

2015-06-17 17:25:37 | ★ シンフォニー《イスラエル=ガリレア》

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  世界史の奇跡?=ユダヤ教とキリスト教の和解(そのー5)

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ドームスガリレアのレセプションのテーブルの上の生け花は ユダヤ教の7枝の燭台を摸している

 

前日の朝は ユダヤ教の慣習に従って一同は祈った 最後の日の朝は カトリックの教会の朝の祈りの形式に沿って行われた

ウイーンのシェーンボルン枢機卿が祈りを司式した ユダヤ教のラビたちが共に祈ったのは感激だった

 

もちろんユダヤ教の祈りも付け加えられた ニューヨークのユダヤ教会堂の歌手 ラビ・シャーマンの歌も

 

朝の祈りが終わると キコは出席のラビたちに この3日間の体験の率直な感想を求めた

最初に発言したこのラビは このような日が来るなんて まるで夢のようだ

ユダヤ教のラビたちとカトリックの高位聖職者たちが一堂に会し

火を囲んで共に踊る日が来るなんて 一体誰が想像しえただろうか(もう涙声だった)

兄弟の諸君! 待望のメシアの到来は 諸君が考えているよりはるかに近いのかもしれない・・・と

 

 

別のラビが妻の肩に手を置いて立ち上がり 話し始めた

私が今日ここに居るのは カトリック教会のおかげだ

私の両親がナチスのゲシュタポに捉えられたとき 私はまだ小さな子供だった

そのゲシュタポは逃げていく小さな私を哀れに思い 射殺することなく見逃してくれた

その私を ユダヤ人の子と承知の上で 近所のカトリックの夫婦が 自分たちの命を賭けて匿ってくれた

(ユダヤ人をかくまうことがどんなに大変なことだったか「アンネの日記」を読めばわかる)

しかもその夫婦は 私のユダヤ人としてのアイデンティティーを尊重して 私にキリスト教の洗礼を強要しなかった

妻と出会って結婚したが 妻も全く同じような境遇だった (彼は話しながら涙を流していた)

この話 私の古いブログ 聖教皇ヨハネパウロ2世に関する「ちょっと爽やかなお話し!」に通じるものがある

http://blog.goo.ne.jp/john-1939/e/af28860920e0e8f809dab37c43c1cbdb

 

キコの今回の試みを 歴史における画期的な試みとして 驚きと感謝を隠さない発言があった

 

キコの招待に応えてこの集いに参加したユダヤ人教師 つまりラビたちの間には

互いに大きな立場と信条の違いがあった

キリスト教の間でも カトリックが司祭・司教は独身の男性に限るとするのに対し

英国国教会では 女性の司祭のみならず 女性の司教までも認めようとする流れがある そして両者は絶対に相容れない

同じユダヤ教の中でも 女性の教師 女性のラビの存在を認める立場と 絶対に受け入れられない立場とがある

この集いの中に女性のラビが招かれていることを知ったら

同席を嫌う出席者の三分の二以上が 憤然として席を蹴って 帰ってしまう恐れさえあった

そんな中 女性のラビは 某研究所の博士・教授という紹介で からくも事なきを得た場面もあった

どんなにに小さなハプニングで どんな大きなパニックが いつ突発しても不思議ではない集いだった

キコは不安と恐怖で3日間眠れぬ祈りの夜を過ごしたと後で知った

 

中には辛口のコメントもないわけではなかった

然し 大勢はこの画期的なイベントの価値を評価し 同様の試みが続けられることを望む声が大多数を占めた

 

 

昼食でこの会議はスケジュールを終えることになっていた

食事も佳境に入り 早い人はデザートのビュッフェにケーキや果物を取りに立つ頃合いに

またサプライズが演出された

おなじみ ドームスガリレアの「黒い羊」たちの一団が ギター ヴァイオリン ボンギなどを奏でながら

 食堂に押し入ってきた

キコの作曲した歌には ユダヤ教の歌から曲想を取ったものが多数ある

やや哀愁を秘めた懐かしいメロディーに 昨夜の焚火を囲む踊りですっかり心が柔らかくなっていた一同は

自然に立って輪になって歌い踊り始めた

食堂の中の窮屈な空間は 踊るラビたちで沸き返った その中にカトリックの枢機卿もまじっていた

 

心が一つに融け合っていた

みんなヘブライ語で歌った

こんな場面は世界史上初めてのことだ

ラビ夫人たちも 手を打ちならして男たちの踊りを見守っている

お終いには みんな列をなして 前の人の肩に手を置いて 百足(むかで)のように

ほとんど売り切れたデザートビュッフェのテーブルの周りを回り始めた 緊張も警戒心も完全に消えた 兄弟の喜びの踊りだった

  

無事昼食も終わり 皆帰り支度に入った 名残惜しくて記念写真を撮った

(左から) 韓国の共同体責任者のジュリアナ ソウルの枢機卿 私 中国人の銀行家

 

玄関ホールの受付で テルアビブ空港行きの各バスの時間と乗客を確認するスタッフの後ろにも

ユダヤ教の祭儀で使われる7枝の燭台を象った生け花が

(おしまい) 

 

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★  世界史の奇跡?=ユダヤ教とキリスト教の和解(そのー4)

2015-06-09 17:24:48 | ★ シンフォニー《イスラエル=ガリレア》

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世界史の奇跡?=ユダヤ教とキリスト教の和解(そのー4)

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キコがデザインしたドームスガリレアは モダンな造形に満ちている

この球面のガラス窓の向こうは図書館になっている

図書館の中は広い四角い吹き抜けなのだが さらに その吹き抜けの下の壁寄りに お椀を伏せたような半球形のガラスの空間があって

その一部が壁に食い込んで外にはみ出す形になっているのが

上の写真の黒い球面のガラス窓だった

 

そして その半球形のガラスの部屋の中心に 何やら四角い台が見える

 

その台の上に厳かに安置されているのが 羊皮紙の巻き物 旧約聖書のモーゼ五書を記した 

トラーと呼ばれるユダヤ教の経典だった

しかも ただの巻き物ではない

600年前(もっと前だったかな?)に黒海のほとりで発見された稀少なヴィンテージもので

ユダヤ人が喉から手が出るほど欲しがる逸品なのだ

このドームスガリレアが 年間10万人とも言われるユダヤ人の訪問者を惹きつける要因の一つにもなっている

 

この会議の間 何度か話すうち ソウルの枢機卿様とすっかり親しくなった もちろん来年の東京のシンフォニーに御招待申し上げた

 

午後の部では 2-3名の著名なラビたちの話の後

ラビ・ユージーン・コーン博士の「キリスト教を再考する」と題する講義があった

 

コーン博士はあくまでもユダヤ教の立場から 2000年のキリスト教との歴史を再検討した

 

その中で この半世紀の間のカトリックの教皇たちの行動がまず取り上げられた

 

 

聖教皇ヨハネパウロ2世が歴史上はじめて バチカンから2キロと離れていないローマのシナゴーグ(ユダヤ教会堂)に最高位のラビを訪問したこと

 

引退前の教皇ベネディクト16世(まだ存命中)は ドイツ人教皇として初めてアウシュヴィッツを訪問

 

そして スクリーンへの20枚ほどのプロジェクションを駆使して 講演の要旨を紹介した

神の太祖アブラハムとの契約:

天と地の神の証人となること 人類に神からの道徳を教えること 世界の民々に祝福をもたらすこと

 

(神の)契約のパートナーたち:

世界は 人類の歴史にかかわりを持つ愛である神の被造物であり 神は命を超越する権威者である

 

(神の)契約のパートナーたち:

すべての人は神の似姿として創造され 神聖さと尊厳とを内に秘めている

宇宙の神は 人間の命を愛し 死を忌み嫌う

 

我らの契約の希望:

主の教えはシオンから 神のみ言葉はエルサレムから出る…

人々は剣を打ち直して鋤とし 槍を打ち直して鎌とする。

国は国に向かって剣を上げず もはや戦うことを学ばない。

人はそれぞれ自分のブドウの木の下 いちじくの木の下に座り 脅かすものは何もないと…

どの民もおのおの 自分の神の名によって歩む。 我々はとこしえに 我らの神、主のみ名によって歩む。

(旧約聖書 ミカ書4章2節-5節)

 

長い講演のなか 歴史の中の恨み つらみ 非難 憎しみの欠けらもなかった。

赦しと兄弟愛の 穏やかな 前向きなトーンで終始した。

そして、この日はたまたま ユダヤ教のラビ・アキバ予言者・殉教者の祭りの日 「ラクバ・ホメール」の日だった。

夕食後 ドームス・ガリラヤの入り口前の広場の焚き木に あかあかと火が入れられた。

 

そして ユダヤ教の偉いラビたちと カトリックの枢機卿たちと司教たち 男も女も 参加者全員が

焚火を囲んで ユダヤ教の哀愁に満ちたメロディーに乗って ダンスを踊った 

 

そのダンスを 焚火の火に黄金色に映える聖教皇ヨハネパウロ2世の像が 風にマントをなびかせ 

右手を上げて祝福していた。

2000年の恩讐を超えて 兄弟として肩を抱き合い踊るユダヤ人とキリスト教徒を!

 

ユダヤ人のラビたちの妻も カトリックの宣教女性たちも分け隔てなく・・・。

 

 大きく輪を描いて踊る 旧約のイスラエルの民と新約のイスラエルの民 同じ太祖アブラハムの子供たち

兄のユダヤ人と 弟のキリスト教徒たち

キコの曲に合わせて 夜の更けるのも忘れて その歌声は 炎と共に ガリレアの満天の星空に昇っていった。

 

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私は上智の学生だったころ 霊的指導者のホイヴェルス神父様に 世の終わりの前にどんな印がありますか? と訊ねたことがあった。

師はこたえた。

ユダヤ教徒が 民族として キリストがメシアであったと認める時だ!と。 私はそれを生涯忘れない。

この集いの中で ある著名なラビは言った。 

私たちの待望のメシアは ユダヤ教徒とキリスト教徒が一緒になって踊る日にやってくる と。

この二つ どこか同じことを言っているようには聞こえないか?

キコは招待状の中で集いのプログラムについて一切触れていなかった。

だから この火を囲む踊りは 参加者にとって全くのサプライズだったのだ・・・

 (つづく)

 

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★  世界史の奇跡?=ユダヤ教とキリスト教の和解(そのー3)

2015-06-03 23:22:34 | ★ シンフォニー《イスラエル=ガリレア》

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 世界史の奇跡?=ユダヤ教とキリスト教の和解への道(そのー3)

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 シンフォニー「罪のない人々の苦しみ」の感激と余韻がまだ冷めやらぬ翌朝

ローマ教皇フランシスコからこの集いに宛てられたあいさつが披露された

 

 

本物は一枚しかない これはコピーを写真に取り込んだもの それにしても何とも可愛い素朴なサインだ

 

教皇フランシスコはこう書いた 

私は この集いに参加したすべての皆様に挨拶を送り、精神的に皆様のそばにいることを約束します。

皆様の出会いが 兄弟としてのきずなを強め、

音楽の言語を通して、罪のない人々の叫びを世に知らせる熱意を深める機会となりますように。

私は、主がこの叫びを聴き、

苦しんでいるすべての人の苦痛を癒して下さるよう、あなたたちと心を一つにしてに願います。

そしてまた、人々の心が世界中の罪なき人々の叫びに対して開かれるように祈ります。

このような思いをこめて、平和と強さを祈念しつつ、皆様の上に神様の豊かな祝福を祈り求めます。

フランシスコ 

 

キコは この朝 思いがけないプログラムを発表した 

総勢300人ほどの参加者を たくさんの小さなグループに分けて 4つの質問に沿って話し合うことを提案したのだ

各グループは どうやら言語圏ごとに編成されたようだ 

 

ウイーンのシェーンボルン枢機卿が その関連の話をした

 

私はたまたま 英語を話すハンガリー人のラビたちと一緒のグループに割り当てられた

同じラビでも 左の若いのは進歩派 真ん中の髭は中道派

話し合いの中で二人の考えに大きな違いのあることが明らかになった ユダヤ教徒は一枚岩ではないのだ 

右のご婦人はラビの奥さん ご主人は他のグループに?

 

このグループも半分はカトリックで ブダペストの大司教がその中に居て 自然に座長になった

写真はないが 他に2人のカトリックのイタリア人がいた

質問の趣旨は 同じ唯一の神を信じる兄弟として

世俗化した神不在の現代社会に 如何にして神の愛と救いのメッセージを伝えるか と言うような内容だった

まずは 互いの自己紹介に多くの時間を裂いた 全体の持ち時間の殆どがそれで消えた

私の歴史 銀行マンからカトリックの神父への転向について ハンガリー人のラビ夫人が強く反応した

ラビの妻として 独身のカトリック司祭の私に向かって

情熱的で気性の激しいハンガリー娘と出会っていたら 彼女はあなたを一人にしておかなかったでしょうに と言った

言外に 「私のような」 という挑発的な意味が込められていた

 

 

なるほど 若い時に彼女のような娘と出会っていたら 捕まってしまったかもしれないな と思った

それほどの魅力を彼女は醸していた 

 

 昼食後 ドームスガリレアの敷地の外に出てみた 荒涼とした世界だった

   

左の方がガリレア湖の北にあたる 対岸はシリア方面  このあたり 春の初めまでは美しい緑だったろうが

今は黄色に枯れて 夏は暑い 自然が厳しいので 地表の草は棘でいっぱいだ

  

   

  

ここで一区切り この日の午後の内容豊かな展開は 次のブログに譲ることにしよう

(つづく) 

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