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主夫の徒然なるままに

私の見た塾の興亡史(5)

中3生で10名ちょっと、多学年はすべて一桁生徒数の教室長を任された4月、この教室の基本方針を「基礎力主義」と「楽しいが力(ちから)」に絞る。すぐに中間考査、期末考査が始まるが、目先の高得点を狙わず、やるべきことをしっかり実行する方針にする。覚えること、理解することのスモールステップを毎日の課題として示すことから始める。
 私の担当する文系科目では、毎回必ず暗記テストを課す。宿題を必ずだす。当たり前だと思っていたが、ほかの教室では、英単語の毎回暗記テストなどは、ほとんどやっていなかった。理由の一つが、生徒の嫌がることを課すことで生徒数が減ることを懸念しているようであった。まるで遊びのような雰囲気で授業時間が過ぎていた。塾運営のひとつの在り方だと思ったが、それで授業料を払う親たちが納得するのかが難しい。と思ったが、しかし、TVやマンガ、携帯に無駄な時間を費やすなら、あるいは、夜に悪い友達とどこかに出かけるくらいなら、塾にいてほしい、これは、ある意味親の本音でもあるが、こういう形態を「子守り塾」という。
 きびしくしてもついてくる子供は多い。前年度の教室で、しっかりとした方針で数カ月頑張ってみた。お母さんがやってきて、嬉しい報告をしてくれた。
「子供が言うんですよ、『お母さん、へんよ!お母さん、へんよ!英語の問題がスラスラ解ける、お母さん、へんよ!』って。」 新教室でも毎回の暗記テストや宿題にぶつぶつと文句を言う生徒もいたが、まじめな生徒たちは、しっかりと基礎力をつけていった。
 
 さて、夏期講習の準備が始まる。この塾では、中3生の夏にはキャンプを実施していたが、3年ほど前にちょっとした事故で中止となっていた。中3受験生でキャンプというのに違和感を持っていたが、口コミの種になにかイベントを考えてみた。そこで、夏の勉強合宿の実施を社長に直談判。まわりの先生たちは、反対されると決めつけていたが、あっさりOKがでた。基本的なコンセプトを「ホテルでフランス料理を食べながら、勉強合宿」生徒たちの評判も上々、ただし、初めての企画なので生徒増への期待はあまりしていなかったが、以降の口コミには大いに貢献してくれた。
 マンション型のホテルを見つけ、個別指導のできるパソコン機をもって、勉強合宿を実施した。さすがに、フランス料理フルコースとはいかなかったが、洋風料理をナイフとフォークを使いながら(使い方を教えながら)食事も楽しく過ごした。休憩時間には、海辺で走り回る青春も堪能させた。

ところで、次年度もここで勉強合宿を予定しようと、春に申し込もうとすると、ホテル全館一週間貸し切り状態であることが判明、駆逐された。大手塾には、かなわない。

 夏が終わり、素晴らしい成績が残った。勉強しなかった生徒が勉強をコツコツと始めたのだから、当然の結果であろう。





<主夫の作る夕食>
毛羽中が大好きと聞いたので、3歳の子のために挑戦してみた。美味しいとバク食い。

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