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主夫の徒然なるままに

毎日の夕食作りに奮闘する主夫の独り言

「中学受験はしないという選択」財部真一

2024年03月29日 | 入試


「塾講師が本音で語るー中学受験はしないという選択(財部真一)2024」 を読んでみた。

 東京では、小学生の5人に1人が中学受験をするそうだ。私の住む地方では、中学受験をする生徒は、少ない。が、大手の塾では、中学受験を活発に推し進め、利益をあげている。高校受験をメインにした塾で教えてきた経験上、中学受験は詳しくない。そこで、この本を読んでみた。

 私が教室長をしている教室では、年に数回、全体保護者会というものを実施した。個別に一人一人の保護者と面談するのではなく、30人前後の保護者の方々に来ていただいて、いろいろなお話をさせてもらった。そのなかで、いつも強調していたことは、今、「教育は、情報戦」だということである。『「知らない」「昔と同じと思っていた」では、子供たちは、たいへん損をすることになる』このことを強調して、保護者の方々に最新の情報を伝えてきた。


 そういう私も塾講師を引退して数年、教育界の最新情報に接すると、その変化に驚くことが多くなってきた。中学受験もいろいろな角度から情報を得たつもりだったけれども、この本から「なるほど」という部分に気づかされた。

 この本の<はじめに>では、中学受験を否定するために書いたのではないと述べられている。しかし、だれでもが中高一貫校を目指すべきかどうかは、一旦立ち止まって考えてみようと言うことだ。
 
 中高一貫校を目指す理由は、ずばり一言で言って「一流の大学に合格すること」につきると思われる。そのために必要なものは、

  母親の『狂気』と父親の『経済力』

 一流の大学に合格実績を持つ中学校に入学させるためには、算数の難問を解ける力が必要だが、その問題は、国立大学医学部生でも解けない問題が含まれる。計算だけとっても、

 植木算・周期算・集合算・和差算・差分け算・つるかめ算・差集め算・過不足算・平均算・消去算・年齢算・分配算・倍数算・相当算・損益算・濃度算・仕事算・のべ算・ニュートン算・旅人算・通貨算・流木算・時計算

 算数の計算だけでこれだけのものをこなす努力と時間。個人的にどうしても、中国の『科挙』を思い起こす。科挙に合格さえすれば、一族の安泰と高給が約束される。それも40歳でも50歳でも合格さえすれば。だが、清朝末期でにも科挙を続け、論語などを必死に勉強し、世界の強力な科学を学ばずして、西洋列強の餌食となった。その中学入試のための算数の勉強は人生と社会に有意義であろうか

 問題は、高校受験や大学受験と違い、中学受験は、「親主導」での勉強になるとである。 早ければ小3、だいたい小4で塾通いが始まる。 母親の『狂気』なくして一流進学中高一貫校の合格は難しい。 さらに、その母親の狂気を支えるのは、専業主婦を許す父親の『経済力』、年間100万円はかかる塾費用、3年で300万、中学3年でかかる私立中学費用100万×3年、計600万円の費用が9歳から14歳頃までに必要となる。 東大や医学部合格なら安いものかもしれないが。

 中高一貫校のメリットは解説不要だと思われる。一流の大学にはいるためにはベストの選択だと推測されるから。もちろん、アンチのこの本では、中学受験や中高一貫校での勉強や生活のデメリットにも多く解説されている。


 「深海魚」成績が全く上昇せず学校内成績がずっと下位にいる生徒をさす。 残酷な言葉である。私の教室は、高校受験をメインとする塾なので私立中学に通う生徒は多くない。それでも、時々、私立中学の生徒が入塾する場合がある。深海魚の場合である。
 いい塾だと友達から聞いて、お母さんと一緒に中2生がきた。教室にいる子供たちと比べても理解力が劣るわけでもなく暗記力もある。少しの努力で立ち直れるはずと見ていたが、まったくやる気がない。その理由を聞いてみると、「どんなに努力しても最下位の成績から抜け出せない」という。この教室なら、正直に言って彼より理解力の無い生徒もいる。少し時間をかけて見て行こうと思った。が、2カ月で母親が退塾させると言ってきた。母親には待ってあげる余裕はなかったようだ。



 近くの開業医の息子が医者と一緒にやってきた。医学部合格を何名もだす中高一貫校から公立中学にかわったので面倒を見てくれと言う新中3生である。お父さんには残念な感覚がにじみ出るいたが、本人は、これでサッカーができると明るい感じであった。塾では、人気者で明るい生徒であった。勉強は、公立3番手校レベルで大半が私立大学に行くレベルの成績であった。医大付属の高校へ推薦入試を目指すとのこと。筆記テストもあるので、英語は特に力を入れて指導していたが、そのテストがまるで私の作成した英熟語完成プリント問題そのままで、自信をもって合格を期待していたそうだ。後に知ったことだが、その高校では、3年間1000万円程度の費用がかかり、大学と合わせて4000万円の費用がかかるとのこと。開業医の息子であれば高くはない費用なのだろう。

 『お客さん』大手塾には、毎年、必ず多くの「お客さん」がいる。「お客さん」とは、多額の授業料をいただいていているにもかかわらず、能力的にみてムリだったり、やる気が全くない生徒で、先生が労力を費やしても無駄と思える生徒である。中小塾にはいないのかというともちろん必ずいる。ただし、大手塾ほどではない。大手塾は、名が通っている場合が多く、その塾の塾生であることが大人のステータスになっている場合があるからだ。大手塾では、クラスが下になれば、先生も下の先生があてがわれる。自分の子が「お客さん」かどうか、親はしっかりと見極めてほしい。不幸なのは誰なのかだ。

 第5章では、親世代とは大きく違う大学受験について書かれている。中高一貫校受験の目的が、大学受験を有利にするためならば、大学受験についてしっかりと認識しなければ、受験は失敗する。何度も言うように「受験は情報戦である。」

 ▼激変する大学入試方式

 「大学入試共通テスト」の毎年の各科目の平均点が変わっていない。このことは、テストの難しさが変わらないのでなく、難しくなっている、難化しているということだ。

 理由の一つが、平均点を押し下げている層が、受験しなくなったこと。私大の推薦入試などの活用で受験する必要がなくなった。

 もうひとつの理由は、選択科目の多様化や傾斜配点、国立でも3科目入試などが増えていること。つまり、より得意科目だけで勝負できるようになったからである。


 ▼私立大学入試「多様化の真実」

推薦入試などが私立大学で50%を超えたと事実を知らない方はいないと思う。底辺の大学は学生獲得が大変である。とのかく学生を確保しなければ存続にかかわる。しかし、底辺の大学に同情しているばあいではない。あの早稲田でさえも6割近くが推薦(AO入試など含む)での合格をだしている。理由の一つが、中学受験高校受験大学受験で入学する生徒が燃え尽きてしまっていること。目的が、大学合格であり、大学での勉強ではないからだ。推薦での合格者は明確に大学での勉強に目的意識をもち、入学後もアクティブに活動する。大学入学が目的ではない。

 ただし、これは<表の理由> つまり、<裏の理由>がある。

『大学偏差値ランキングの維持』

ペーパー入試結果で多くの学生を確保しようとするとどうしても合格点が下がってしまう。大学ランキングが下がる。そうすると大学ブランドに傷がつく。それを防止するためにテストでの合格者を絞り、高得点を獲得できる学生のみを合格とし、大学ランキングを維持する。結論として、上位の私立大学一般入試では、合格は難しく、希望するのであれば、一般入試以外での合格を模索せよ、となる。

 地域2番手の高校に進学した教え子が、お茶の水女子大に推薦合格したことを報告に来た。女子大の東大と言われるお茶の水女子大に合格したことに私は本当に驚いた。地域no.1の高校に進学しなかったことが幸運の獲得につながったのかもしれない。指定校推薦を勝ち取った。

 両親は離婚し、祖父に育てられた15歳の彼は、中3で反抗期にどっぷりとなり、公立高校も受けずに、私立底辺校に進学した。その後、青山学院大学に推薦で合格したと報告に来た。一緒に来た塾生の友達は、工業高校に行き、無事就職できたとうれしどうであった。あの高校からあの大学へ合格できるのか?というのが私の印象だ。もちろん努力もあるだろうが、親世代の大学入試とは、やはり、どこがが違うと認識せねばならなかった。


『6年後の大学入試はどうなる』

少子化の影響を我が子に照らしてみよう。18歳人口のピーク、1992年には、205万人であった。大学の入試倍率は、国公立私立とも6倍以上であった。6年後に大学受験する12歳の人口が105万人。去年生まれた子は約75万人。少子化が進む将来に、大学側の「学生獲得戦争」が激化するのは火を見るよりも明らかだ。今、10歳の子に現在の大学入試での合格を考えて1日中勉強させることが正しい選択かどうか、考える余地は十分ありそうである。

 さて、だからと言って、中学受験が正しい選択か否かを断言することはできない。中学受験がその子にとって素晴らしい経験になるかもしれないし、悲惨な結果になるかもしれない。親がしっかりと子供本位に子供を見守っていくしかないのが結論である。


 私の教え子には、高校生になってから医者を目指し、国立医学部に合格して医者になった子がいる。また、世界的に有名な医者の息子は、母から低学年で勉強付
づけにさせられ、調理師を目指す結果ななった子もいる。医学部合格者の多い中高一貫校に進学し、まともな礼儀作法も知らない傲慢な高校生を見てしまったこともある。優秀な子が集まると言うことで、ある塾講師が、長男をなんとかその中高一貫校に入学させて、結局公立中学の深海魚になった生徒も見てきた。子育てに正解はないが、やはり、子供の成長を子供の視点で見守るしかないかもしれない。


 中学受験を考えている親御さんは、ぜひ、一読することをお勧めします。







高校受験について 高校入試「特色化選抜」(2)

2024年03月05日 | 入試


 高校入試における「特色化選抜」とは、「学校の特色にふさわしい生徒の入学をより一層促進する観点から、生徒の多様な個性を積極的に評価する『特色化選抜』を導入し、県立高等学校の特色化及び活性化を図る。」 と説明する(福岡県教育委員会)。
 本音としての第一として、優秀な生徒の公立高校間での早期獲得を目指すことにある。<高校入試「特色化選抜」(1)参照>


 「特色化選抜」を実施する本音として、もう一つの大きな理由がる。私立高校の存在が大きい。

 保護者の時代では、私立より公立高校の方が「上」。公立を落ちた生徒が私立高校に行くと思っている親が非常に多い。時代は、変わり、第一志望が私立高校という生徒も多くなってきた。授業料が、公立より3倍の費用がかかっていた時代であれば、親としてはできるだけ公立に行ってもらいたいと思ってしまうが、現在では、私立高校無償化も進んでいるので、無償対象でなくても、以前よりは、経済的に軽い負担で済む場合が多い。また、私立高校も生徒に受ける個性を出して人気を得ている高校も多くなってきた。

 無償化になる年収制限は、590万円、910万円などが基本だが、東京都では、年収制限の撤廃を予定、大阪府も無償化を宣言している。大阪府は、段階的の無償化で、現中1生が完全に無償化になる予定だが、今年度においても公立高校受験生が激減している。正直なところ、公立底辺普通科高校に行くぐらいなら、ヤンキーのいない私立高校に行こうと思うのが自然だろう。

 ちなみに年収制限には、共働きの場合、両親の一方が働いている場合、子供の数などによって差がある。おおよそ、片方働きで年収590万~650万円で年額約39万6千円、年収910万~960万で年額11万8千円の支援。共働きで660万~690万円で年額39万6千円、1060万~1090万円でで年額11万8千円の支援となっている。共働きで年収1000万の家庭は結構多いのではないかと思われるし、その家庭が余裕をもって生活しているとは思えない。年収の壁をもう少し上げるべきではと個人的には思う。
 
 福岡県の「特色化選抜」は、1月の24,25日頃に実施される。私立高校専願入試が1月中頃、私立高校一般入試が1月最終~2月初旬に実施、公立推薦が2月中頃、一般入試が3月初旬である。私立高校に取られる前に生徒を獲得しようとするのが明白である。


 私立高校に受験生を取られる。

 魅力的な私立高校が増えたことが大きい。受験生の減少にいち早く対策を取ってきたのは、やはり、私立高校である。まずは、私立高校間において熾烈な戦いがあった。そこで、近代的な設備やICT機器の導入、男女共学化、難関大・医学科対象の特進科の導入、ネイティブ英語・英会話導入など目に見える魅力的な改革を実施してきた。その高校の名前を、卒業しても恥ずかしくないイメージとして獲得していった。
 
 また、兄弟で上の子が公立普通科、下の子が私立高校に通ったお母さんから聞いた話では、公立では、上から目線で話す。私立では、お客様目線で話す。その差に驚いたそうである。高いお金を払っているのだから当然と思っていたかもしれないが、同じ授業料ならばどうであろうか。

 30年前は、受験は一発勝負であった。受験の点数のみが勝負であった。一発勝負では、中学時代ずっと真面目に勉強した生徒が不合格の場合は可哀そうだ。だから、点数をあげようと「内申点」という評価が加わった。その優しさに嬉しいと思うかもしれないが、要するに荒れた生徒には、「高校に行けませんよ」という生徒管理を強める飴と鞭である。さらに「推薦入試」が始まる。学校の先生に気に入られた生徒には、入試がぐっと楽になりますよ、というお墨付きを与え、反抗する生徒をさらに無力化し、教室管理・生徒管理を強化した。

 では、「推薦入試」と「特色化選抜」の違いは何かと言うと、推薦入試では、学校長の推薦許可が必要で、特色化選抜では、高校の示された条件のもと生徒自身で選抜に臨むと言うことである。ただし、「推薦入試」での割合は、各高校の定員の10%~40%、概ね25%程度である。偏差値の高い高校ほど募集定員が少ない。「特色化選抜」では、地区ナンバー2の高校で定員240名中募集60で約25%だが、底辺の普通科高校では、160名中110名の募集で約70%近い募集枠、さらに下の商業高校では、160名中140名の募集、90%近い募集枠である。「推薦入試」と「特色化選抜」の両方実施の高校もあるが、どちらか一方のみ実施の高校もある。大学入試での50%が、テストを受けない推薦などの合格者を占めると言う時代であるが、高校入試も同じような選抜形態になっていくようだ。

 塾のチラシでは、「特色化選抜」の内申点のハードルの高さを引用し、「中3生になって急に内申点が上がるのは難しいですよ。早めに入塾して内申点対策をしましょう」と入塾を勧める。うまく制度を利用している。

 今日は、福岡県の一般入試日(3/5)である。新たな受験生が誕生する日である。

 受験の制度も趣旨も刻々と変化している。

 < 受験は『情報戦』である >

 新たな受験生とその保護者へ。


<台湾の街角>
作文教室と英語塾

 















高校受験について 高校入試「特色化選抜」(1)

2024年03月01日 | 入試


 一般入試があと数日となった福岡県の高校入試、現中2生が受験生に生まれ変わる日でもある。私が塾講師だったころ、「受験は情報戦だ」と保護者によく伝えたものである。知らなかったでは大損をする。


 福岡県の高校入試では、2019年から「特色化選抜」を実施している。当初は11校で実施、2022年で25校、2023年で50校、2024年で64校と実施高校が増加している。全国的には、2002年から始まり、現在、全国の半数の県で実施されている。実施をとりやめた県もある。

 「特色化選抜」とは何か。初めて中学生を持つ親御さんたちには、なじみの薄い入試方法だと思う。普通の試験を受ける「一般入試」、テストのない「推薦入試」、そして、「特色化選抜」である。「推薦」と「特色化」の違いは、一言で言うと、中学校(校長)の許可(推薦)があるかどうかである。「特色化選抜」では、生徒自身の判断で、受験できるという点にある。

 福岡県教育委員会は「特色化選抜」の趣旨を、「学校の特色にふさわしい生徒の入学をより一層促進する観点から、生徒の多様な個性を積極的に評価する『特色化選抜』を導入し、県立高等学校の特色化及び活性化を図る。」 と説明する。大義名分として、『生徒の多様な個性を積極的に評価する』としている。

 では、本音の部分ではどうであろうか。

 まず、少子化による受験生の減少。1990年頃、受験生は、140万人を超えていた。現在は、100万人程度、昨年の出生数は、75万人である。半減する子供の数で、どう生徒を獲得するか、大きな問題となる。

 地方の私立大学では、中国人留学生を大量に入学させて存続している大学もあるが、高校ではそうはいかない。各高校の入学数(クラス数)を段階的に減らして対応している。私が直接訪問した偏差値の低い普通科高校では、教室の半数が使われておらず、不気味な静けさに驚いた。工業系商業系高校では、入試倍率が1倍を切るところも多くなった。農業系では、少しでも質のいい生徒を集めるために高校教師が必死に遠方の中学や塾などを回って生徒集めに奔走していた。

 この「特色化選抜」に最初に手を挙げた高校は、そういう公立工業系商業系の高校、偏差値の低い普通科高校であった。実施する高校が段階的に増えてくると偏差値の高い高校でも実施されるようになった。地区ナンバー2の高校も手を挙げている。

 選抜の基準として、ある偏差値の低い普通科高校では、

 【 ① 中 学 校 生 活 に お い て , 学 習 活 動 , 運 動 競 技 , 文 化 活 動 , 生 徒 会 活 動 , ボ ラ ン テ ィ ア 活 動 等 に 真 面 目 に 取 り 組 ん だ 者 で , 入 学 後 も い ず れ か の 活 動 に 積 極 的 に 取 り 組 む 意 欲 の あ る 者 。 ② 出 願 時 に 提 出 す る 調 査 書 に お け る 3 年 次 の 評 定 合 計 が 2 5 以 上 の 者 。 ③ 出 願 時 に 提 出 す る 調 査 書 に お け る 3 年 次 の 各 教 科 の 評 定 に 1 が な い こ と 。 
 (※その他の選抜基準もある)】

 内申点25以上とは、9科目合計45(5×9科目)でオール3で合計27(3×9科目)、つまり平均に3足りない生徒はだめですと、くぎを刺している。「オール2程度の生徒はだめですよ」、つまり、普通レベルの生徒が欲しい、これが本音である。

 地区ナンバー2の高校では、

 【 内定基準 次の(1),(2)の要件をともに満たす者とします。 (1)出願時に提出する調査書における中学校3年次の評定合計が43以上である者 (2)次の4つのうちのいずれかの要件を満たす者 ・ 難易度の高い大学等への進学を積極的にチャレンジしたいと希望する者 ・ 中学校学習レベル以上の調査・研究を行い,その成果を上げている者 ・ 本校在学中に数学オリンピック等に積極的にチャレンジしたいと希望する者 ・ 本校在学中に実用英語技能検定準1級以上またはそれと同等の外部試験のスコアの 取得にチャレンジしたいと希望する者 

 内申点43以上とは、9科目合計45でオール5に近い生徒が欲しいと言っているのに等しい。私の教えた優秀な生徒でも、オール5の生徒はそう多くはなかった。その理由は、体育が3でそれ以外5という場合が非常に多かったからだ。だからと言って「頭がいい子は運動能力が低いんだ」と考えてはいけない。体育だけは、体育系部活の子に5を与えるために体育の筆記テストの点がよくても5はとれない仕組みである。ということは、地区ナンバーワンの高校に行く生徒を先取りしたいというナンバー2の高校の魂胆が明々白々であるということになる。

地区ナンバー3の高校では、

 【内定基準 次の内定基準をどちらも満たす者とします。 ア 出願時に提出する調査書の3年次の評定合計が41以上である者。 イ 出願時に提出する調査書の3年次の国語・社会・数学・理科・外国語(英語)の評定合計が23以 上である者。

 内申点41と言うのは、オール4プラス5で、これは、地区ナンバー1の高校の基準内申点と言っていい。5教科23以上とは、基本科目ほぼオール5を意味している。つまり、地区ナンバー1の高校に近い学力をもっている生徒を対象に募集をかけている。「早く合格したければ、私たちの高校に来ませんか」「その内申点があれば、不合格の心配なく、我が高校に合格できますよ」という誘い(いざない)と考えるのは行き過ぎであろうか。

 これらの基準は、「特色化」というカモフラージュの理想をもとに、現実として、より優秀な生徒、学力のあるまじめな生徒を先取りしようとする試みであると思われる。生徒個人で申し込める「特色化」選抜であるがゆえに、誰でも受けたくなるような入試であるが、現実は、壁が高く、入試倍率は、1.1倍程度の高校が非常に多く、2倍を超える高校は数少ない。「熱き希望を持つ生徒よ、来たれ」と言われても結局、内申点の高い、つまり、良い子で、学力のある子が求められているのであり、結局は、生徒の青田買いであると言い切れてしまう。

高校入試「特色化選抜」(2)に続く

カンボジアの小学校、放課後)







「一語一語ハッキリと読み」で次の絵本に挑戦
5歳の孫娘は笑いもせずに聞き入る。
日本昔話に興味がないのか?不思議だ!







公立中高一貫校に合格させるには

2021年11月05日 | 入試
 おおたとしまさ著「公立中高一貫校に合格させる塾は何を教えているのか」を読んでみた。彼の著作を連続して読んでみて、新しい教育の流れ、塾の流れを垣間見ることができた。幼児から小学生低学年の親御さんが読んでみると後々後悔しない情報が多く、ためになると思われる。現在の教育は、ある種「情報戦」である面が強い。「知らなかった」、「昔と同じと思っていた」では、後々ひどい目にあうこと必定である。



 北九州市には、公立中高一貫校として、「門司学園」がある。非常に不便なところにあるので、高い人気を誇っているわけでもなく、難易度もとても高いわけではない。ただし、中高一貫校のメリットを感じる親御さんも多く、片道1時間半かけても通わせる家庭もあった。高校進学を基本とする塾としては、どちらかというと中高一貫のデメリットを語ることが多く、高校入試のない中だるみ状態でいいのか、6年間同じ顔触れで過ごす人間関係は井の中の蛙状態にならないのか、いじめの問題はどうなのか、など語られてきた。ただし、近場の教室では、門司学園対策授業を実施しており、面接練習や作文指導などの手伝いもした。最終段階の面接練習を手伝ったみたが、公立高校の推薦入試の面接とは違い、しっかりとした目標や意見を述べていた。小学生にしては、すごいと感じさせる態度である。しかし、こういう練習の場合、想定していない質問を必ずすることにしているが、やはり、多少、しどろもどろになるのは、かわいい。
 2015年福岡、北九州のベッドタウンとして発展してきた宗像に宗像高校の併設中学として福岡県立宗像中学校が設立された。設立当時の倍率が8.08倍と東京の公立中高一貫校並みの人気となった。やはり、若い親にとって公立中高一貫校のメリットを強く感じたのではないかと思う。周辺の塾では、いち早く宗像中学対策コースを設立している。
 さて、公立中高一貫校に入学させるために何を教えているのか、何を学ばなければならないかには、大変興味深い問題だと思われる。この本では、「ena」という塾を基本に、授業風景なども踏まえて解説している。結論的には、私立中高一貫校入試対策のような知識の偏重、難易度の高い算数問題の対策などは、あまり必要ではないと言っている。ただし、幅広い知識への興味と深い思考力が要求され、小学校の教科書+20%以上の実力は必要であり、「適性検査」という響きとは決定的に違う高度な対策が求められている。塾での対策は必ず必要とされる。ここにも激しい競争が待っているわけである。
 私立中高一貫校の過酷な受験勉強が、その後の全員に幸せな学生生活を保障していないことはいろいろな記事によって報告されている。公立中高一貫校への受験勉強も、合格不合格がある以上、過酷な競争に飲み込まれることは当然である。しかし、公立中高一貫校への受験勉強は、けっして無駄になることはないと筆者は結論づけている。


「思い出の一枚」
 授業風景


※表題写真 紫禁城に座る人民服の人々、40年ほど前。

「主夫の作る夕食」
ハヤシライスと柿のサラダ、トウモロコシ

 






「受験と進学の新常識」どの塾がいい?

2021年10月01日 | 入試
 塾の仕事から遠ざかって数年になるが、TVでさかんに宣伝されるAI(人工知能)導入塾のCMを見ると疑問点が次々とわいてくる。全知全能の神のように扱われるAIだが、本当に神だろうか。神が手を差し伸べてくれることで成績が急上昇、合格という幸せが、すぐそこにあるのだろうか。無駄なお祭り騒ぎに終わった大学入試改革、言葉が先行するプログラミング教育、本当に必要かどうかわからない小学校低学年の英語教育。そんなことよりも日本人の日本語の読解力が先だとうったえる主張。いろいろな情報が巧みに顧客をと導いているが、AIで塾へ、塾こそが基本か、親たちの時代の塾と現在の塾は大きく異なるものようである。

 親として「どこの塾がいいですか」「どの学校への進学がおすすめですか」は、実際問題として切実である。我が子の将来がかかった重大問題であるから。そこで、現在の塾はどのようなものなのか、調べてみることにした。最近の「塾」について情報を集めようとした時に見つけたのが、この本「受験と進学の新常識(2018)」である。

 一読して参考になった点が多かったが、個人的になるほどと思ったところがいくつかあった。例えば、以下の点について。 
 地方では、あまり縁がないと思われがちな中学受験だが、公立中高一貫校の躍進と難関化については、説得力がある。地方での開校が増えている公立中高一貫校を考えている親御さんには、一読を勧める。知識型の入試ではないと言われているが、既に学校の知識以上のもの、例えばPISA型問題の解答力や思考力型入試問題での得点力が求められている。塾なしでは合格できない。
 9歳までの”最強”学習法、ここでは、公文をどう使いこなすか、ついて。さらに「塾歴社会」、つまり、どの塾に通うかが、学歴社会の勝ち組になるという事実。ただし、AIにも関連するが、塾やAIが示してくれる正道を淡々と進み、社会人になるとき、どのような問題解決能力がもって生きていくのかは、個人的には、考えさせられる。
 その他にも「男子校・女子校」問題や「インターナショナルスクール」の問題点など読んで面白い部分が多い。塾業界の再編や高校の変容など、参考になる本である。塾を考えている方は、一読を。



<主夫の作る夕食>
初めて「トンカツ」を揚げてみました。見た目はあまりよくありませんが、サクサクで美味しかった。



<想い出の一枚>
タイのダンス