北信濃寺社彫刻と宮彫師

―天賦の才でケヤキに命を吹き込んだ名人がいた―

■新諏訪神社の神楽屋台(長野市新諏訪町)-山嵜儀作

2020年10月11日 | 01 山崎儀作

明治17年、山嵜儀作。瓜割神楽保存会(新諏訪町)

 獅子舞神楽は、祭礼の際に地元の神社、家々をまわって獅子舞を奉納、披露し無病息災を祈願することである。地域を練り歩くときに神楽屋台を伴うことが一般的である。神楽屋台は「太神楽」(単に「神楽」)と呼ばれ、箱型の長持に貫を通して、その上に社殿形の祠を載せ、後部に太鼓が取り付けられた形態である。以前は担いで移動したが、近年はリヤカーに載せて移動している。屋根上部に「一万度」と墨書された角灯篭が立てられ、軒先に祭提灯が吊るされる。神楽屋台がいつ頃からあるかは不明であるが、幕末以降、地域の誇りとして屋台本体の装飾性が高まり、龍、獅子、七福神、古事記等の様々な題材の彫物が付けられるようになってきた。この神楽屋台は、水内地方以外では確認できず、当地方で独自に発展してきた文化といえる。

 この神楽は、一間社流れ造で、彫物のみケヤキ製、総高一五〇㎝、正面柱間 四八㎝、母屋側面幅四五㎝になっている。現在は獅子舞に使用される神楽屋台は新調したもので、儀作の神楽屋台は保管され、最近では平成二十九年の地元の文化祭で公開された。

細部の彫物の題材について

1.向拝部

向拝部前部  水引虹梁「八岐大蛇退治」、木鼻「龍」、向拝柱「龍」

*よく確認すると龍が8匹確認できる。(八岐大蛇に関連)

・水引虹梁―『素戔嗚尊の八岐大蛇退治』 ―神楽屋台のメインの彫物、右には「

櫛名田比売」

右側面

飛龍(海老虹梁)+松に鷹(手挟み

身舎正面―扉の上部「玉巵弾琴」

身舎正面 扉の周囲「山鵲」

身舎 右側面

 

身舎 左側面

左妻部  力神

右側面:妻下部(力神の下)

最上部『瑞雲』、上部中備『松に鶴』、下部欄間『七福神』

 

左側面:妻下部(力神)

最上部『瑞雲』、上部中備『松に鶴』、下部欄間『七福神』

右側面下部  縁下の獅子

右脇障子「獅子」

 


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