甚六ぶらぶら日記

岩手の穀潰し主婦・甚六の覚書

南昌荘

2008-01-20 13:21:22 | 盛岡散歩

 真冬日が続く中、南昌荘を訪れました。庭園が有名な場所ですが、庭園はすっぽり雪の中。また建物も改修工事中。でも他に来客がない分、建物を独り占めして堪能して来ました。 


 ・南昌荘 清水町
 
 まずは南昌荘の歴史を。

 ・盛岡出身の実業家・瀬川安五郎が明治18年頃邸宅として建造。 
 ・明治40年に時の盛岡市長大矢馬太郎に売却され、別荘として使用される。  
  この頃原敬が1ヶ月間をここで過ごす。
 ・明治43年実業家金田一国士へ、 
 ・昭和7年豪商赤澤多兵衛へと所有者が変わる。  
  書家新渡戸仙岳により「南昌荘」命名、玄関や各部屋の看板が書かれる。 
 ・昭和62年、大手マンション業者の買収により庭園が維持できなくなりそうになり、盛岡市民生協が購入決定。 
 ・地域生協の合併を経て、現在いわて生活共同組合が維持管理している。  

 120年程の歴史の中で、次々と所有者が変わっています。それぞれの好みに応じて少しずつ趣を変えてきているそうなのですが、いずれの所有者にも愛され、大切にされてきたことがうかがえます。

 現在はいわて生協が大切に管理しています。玄関を入ると、優しい親戚の家を訪れた時のように笑顔で温かく迎え入れられました。「寒いんですよ」と、なんと靴下カバーを貸してくれました。(正直これには助かりました。)一室に暖房を入れて「寒くなったらここで休んでください」と。

 中2階の「南昌の間」。板張の大きな部屋。20畳以上あるのではないかと思います。床板が美しく磨かれています。

  「南昌の間」の周囲は広い廊下に囲まれています。この椅子に座って庭園を楽しむ、という趣向です。新緑や紅葉の時期などは素晴らしい眺めになるのでしょう。雪を楽しむのも一興。ただし寒いです。

 できることならこの廊下の角の椅子に座って、夏の一日を読書に費やしたいです。

 廊下の突き当たりなどにはこのような調度品や現代的な手工芸品が飾られています。訪問客を歓迎する主のいる家、といった趣。

 10畳の座敷が3間続いている「松鶴の間」。ふすまや障子といった建具で区切り、別々の部屋としても、大広間としても使える間取りを考えたのは日本人の知恵ですよね。一番奥に見えるのはホワイトボード。これは現代の建具でしょうか。

 「どうぞ休んでいって」と言われた「香葉の間」は8畳間ですが、他の部屋を見た後ではこじんまりして見えます。黒い扉は階段下を利用した収納。重厚な扉ですが、金庫でしょうか。

 座布団と盆卓がかわいらしくセッティングされていて、柱時計や障子の雪見窓もいい感じ。くつろげます。ヒーターも入って暖かいですし。ここでコーヒーとお菓子をいただきました。400円。可能であればこの部屋で湯豆腐と熱燗なんていうのもいいですね。

 

 きちんと手入れの行き届いた家に温かく迎えられること、これが本当の癒しなのかもしれません。疲れてしまった人、温かく迎えるばかりで迎えてもらえない人におすすめの場所です。

 

 ・開館時間  夏季(4~11月)10時~5時  冬季(12~3月)10時~4時

 ・休館日   月・火曜と年末年始

 ・入園料   大人200円、子供(小中学生)100円

 ※2月8日から3月3日まで、「南昌荘のひなまつり」が行なわれます。他にも様々な展示会等のイベントもあり、また借室もできるようです。

 ※入園券の半券を3枚集めると1回無料で入場できるそうです。



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