一 題しらず よみ人しらず 一 伏ておもひおきてながむる春雨に花の下ひもいかにとくらん 増抄云。花はいつさかんと起伏におもひたれば、春雨 かふりて、花がさきたるとの義也。一説にはわれ はかく伏起におもへども、さかざりしが春雨とは 頭注 したひもとは花の つほみてある事也。 とくはひらく事也。 人のひもをとくに たとふる也。こゝにした ひもと云事は花を 人のごとくおもふよし をいふなり。 いかに契りおきたるぞ。一ふりふりたればそのま さきたると也。