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離婚後に出産し、不倫が発覚。慰謝料はいくらか?

2005年11月07日 | 民法(親族、相続)
 某MLに東京の行政書士の方から次のような質問がありました(一部事実を変更しています。)。

 Q 元妻は離婚後6ヶ月経過し、300日以内に出産しました。その事実から元夫に婚姻中の浮気を知られて、元夫から慰謝料を請求されています。慰謝料を支払う必要はあるのでしょうか? もし支払う必要があるなら、いくら支払えばよいのでしょうか? 探偵事務所のサイトには、第二東京弁護士会(二弁)が、浮気の慰謝料として120万円という金額を提示しているのですが?
 それから、結婚をしていても、実質的な婚姻関係が破綻していたら、慰謝料は支払う必要がないという最高裁判例がありますが、それと今回の場合はどうなるのでしょうか?

 A 原則として支払義務はあります。
   慰謝料の金額については、元妻の所得・資産、婚姻期間等でかなり異なりますので、正確に具体的な金額を出すことはできません。あえて標準的なことをいえば、あくまで私見ですが、離婚後に婚姻時の浮気だけの問題でしたら、数十万円の金額だと思います。
 ただし、この件では、浮気相手の子供を出産という事実が存在しますから、50万円ぐらいが妥当ではないかと考えます。
 それから、二弁に問い合せましたが、「過去にそのような基準を試案として提示したことはあるが、慰謝料額が120万円である、という見解を表明したことはない。」という回答をいただいています。

 また、私の上記の回答に対して、他の行政書士の方が、「100万円、いや200万円ぐらいの支払義務がある。」と述べられていました。
 では、なぜ、私と慰謝料額について、このような開きがあるのでしょうか? あくまで、一つの推測として、それは、訴訟になれば、原告である元夫から被告である浮気相手(現夫)の行為によって、良好な婚姻間関係を破綻されたと主張される可能性が高く、それが立証されれば、300万円ほどの金額になるからではないでしょうか?

 しかし、逆に,被告側(現夫・元妻)から、すでに婚姻関係は破綻していたと主張・立証があれば、質問者が指摘しているように慰謝料を支払う義務はありません(最判平8年3月26日民集50巻4号993頁)。このように、どちらの立場に立つかによって金額が異なりますから、他の行政書士の方と見解が異なる可能性があります。
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