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ADR japanの紹介について

2005年11月17日 | 法律一般
 ADR(裁判外紛争解決)という団体をご紹介します。
http://www.adr.gr.jp/index.html

 メーリングリスト
http://www.adr.gr.jp/maillist.html

 訴訟件数は着実に増えていますが、裁判官の増員は多くはなさそうです(正確には、退官者を補充分と若干の増員だと思います。)。訴訟を提起せざるを得ない場合は当然あるでしょうが、裁判外で法律知識をよく承知されている方からの助言に基づき、和解されることがあくまでも一般論ですが、当事者にとっては、最もベストな手段だと思います。

 ADRのメリットについて、京都産業大学の中野貞一郎教授は、『民事裁判入門』37頁(有斐閣、2002年11月10日発行。現在は第2版補訂版が刊行されています。)で、次のように述べられています。
http://www.yuhikaku.co.jp/bookhtml/012/012388.html

「ADRのメリットとして、次のような点が挙げられる。
① 手続が簡単・迅速であり、費用も低廉で、訴訟への途を事実上、閉ざされてきた多くの人びとに救済のルートが拓かれる。また、手続が非公開なので、プライバシーや営業秘密が保持される利点もある。

② 個別の紛争の実態に即した、柔軟な解決基準を求め、実質的に妥当な処理が可能である。

③ 法律家以外の人たち、とくに各専門領域のエキスパートの関与による紛争処理が可能である。

④ 行政系・民間系のADRの活動により、裁判所の過重な負担を軽減し、司法の健全化を促すことができる。

⑤ ADRは、国家の司法権の作用ではないので、国際的・渉外的な紛争に対応した解決を導くことができる。

 しかし、その反面、ADRでは、相手方を強制的に手続に引っ張り込むことができず、手続の開始なり決着について相手方の同意がなければならない。また、手続のうえで十分な主張・立証の機会が確保されるかどうか、あるいは紛争処理機関の中立性などについての懸念も、なくはないし、上訴の制度をもたないので1審限りとなる点に格別の注意を要する。
 ADRの展開と盛行は、常に、訴訟による実態法規を基準とした強制的紛争解決が正常に機能しうることを必須の前提とするといわなければならない(なお、後述(4))。」