蝉とメガネとポニーテール

昼間公園でランチをしていたら、
喧嘩をしてる2人連れの女の人がいた。
一人はメガネ。
一人はポニーテール。

「○×△!!」
何か大きな声で言ってる。

顔をチラ見したら、２人とも真顔。
…喧嘩？

メガネがいきなり立って走り出して、また戻ってくる。
ポニーテール無表情。

ま、いっかと思いおにぎりを食べる私。

「○×△!!」
メガネがまた何か叫んだ。
「○×△!!」
だんだんヒートアップするメガネ。
ポニーテールも何か言い返した。

だんだん私も耳がダンボになってまうやろ！とおもいつつ知らん顔。

メガネ。
「○×△!!…なかったんや…」

ポニーテール。
「違うなぁ」

メガネ。
「お○×△…なかったんや!!」

ポニーテール。
「もっと最後を○×△!!」

私。
（何がなかったんや？!）

メガネ。
「お金がなかったんや!!!」

私。
（?!）

ポニーテール。
「ええやん。今の」

メガネ。
「ハッピーバースデーツーユー」

ポニーテール。
「あ。ええなぁ。歌とかええよな。プレゼントなくてもこういうのは嬉しいわ。」

私。
（?!?）

２人はコントの稽古をしていた。

蝉が鳴き始めた。
多分このあとは、親友の誕生日に金欠でプレゼントを買えなかったメガネが、
歌を歌って盛り上げようとしたが、
ハッピーバースデーディア…名前のところで、
親友の名前を知らなかった。
というオチなんだろう。

ポニーテールの
「…って知らんのかいっ！」

という突っ込みが、今年最初に聞いた蝉の声にかき消された。