投信メモ

調べたことをメモしてます
・『AI日本株式オープン(絶対収益追求型)(愛称:日本AI(あい))』03314172:JP

補足:転換点予測モデルによるウェイト変更が行われた期間について

2018-03-10 | 投信メモ:AI日本株式オープン

 

 

 

転換点予測モデル(非AIモデル)によって、ウェイト変更が行われたのは、月報によると9月、10月、11月であったと考えられます。

 

以下は、月報における「転換点予測モデル」のパフォーマンス寄与についての記述部分を抜き出したものです:

  • [2017.02]転換点予測モデルの寄与(⑤)は、ほぼプラスマイナスゼロでした。 (引用者注:原文ママ)
  • [2017.03]転換点予測モデル(⑤)の寄与は、ほぼプラスマイナスゼロでした。
  • [2017.04]転換点予測モデル(⑤)の寄与は、ほぼプラスマイナスゼロでした。
  • [2017.05]転換点予測モデル(⑤)の寄与は、ほぼプラスマイナスゼロでした。
  • [2017.06]転換点予測モデル(⑤)の寄与は、ほぼプラスマイナスゼロでした。
  • [2017.07]転換点予測モデル(⑤)の寄与は、ほぼプラスマイナスゼロでした。
  • [2017.08]転換点予測モデル(⑤)の寄与は、ほぼプラスマイナスゼロでした。
  • [2017.09]転換点予測モデル(⑤)は、株価上昇局面に転換したと判断し、実質国内株式組入比率を引き上げたことから、その後の株価上昇を捉えて大 きくプラスに寄与しました。
  • [2017.10]転換点予測モデル(⑤)は、先月に引き続き、実質国内株式組入比率を引き上げていたことから大きくプラスに寄与しました。また、下旬に実質国内株式組入比率を引き下げました。
  • [2017.11]転換点予測モデル(⑤)は、下落局面で実質国内株式組入比率を引き上げたことからマイナスに影響しました。
  • [2017.12]転換点予測モデル(⑤)の寄与は、ほぼプラスマイナスゼロでした。
  • [2018.01]転換点予測モデル(⑤)の寄与は、ほぼプラスマイナスゼロでした。

 

 

 

 

そして、以下は、現時点で最新月の月報に掲載されている「運用資産構成および東証株価指数(TOPIX)の推移」の図になります。

これをみると、確かに、9月、10月、11月にウェイトが大きく変更された日があったことがわかります。

 

 

 

 

また、転換点予測モデルのパフォーマンスへの寄与額をまとめたものが、下の図になります。

9月、10月の寄与が大きかった一方で、それに比べると11月は小さくなっています。
これは、11月はウェイトが大きく増えた日が1日だけだったことと整合的です。



 

 

 

 

 

 

下の図は、11月の月報の「運用資産構成および東証株価指数(TOPIX)の推移」から、該当部分を拡大表示して、対応する日付を埋め込んだものです。

 https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/252629/252629_201711.pdf

 

 

 

 

これをみると、転換点予測モデルによるウェイト変更が行われた日は、

 ① 9月25日~29日(5日間)

 ② 10月2日~24日(16日間)

 ③ 11月13日(1日だけ)

の22日間だけであったようです。

月報の記述にあるように、10月は下旬(25日)にはウェイトが引き下げられ、以前の水準に戻っています。




転換点予測モデルは、「売り or 買い」のシグナルを発するモデルのようなので、おそらく、買いシグナル点灯中は組み入れ比率を一定水準押し上げるものだと予想されます。

そのため

  1. 買いシグナル発生:09月22日(翌営業日に組み入れ比率を高める)
  2. 退出シグナル発生:10月24日(翌営業日に組み入れ比率を戻す)

 

  1. 買いシグナル発生:11月12日(翌営業日に組み入れ比率を高める)
  2. 退出シグナル発生:11月13日(翌営業日に組み入れ比率を戻す)

という感じだったのではないでしょうか。

 
出所:三菱UFJ信託銀行『人工知能を用いたファンド運用システム(特開2018-025851):審査書類情報:添付書類「人工知能(AI)を活用した絶対収益追求ファンド(ディスカッション資料)」』特許情報プラットフォーム

 

 

 

 

ただ、あくまでも、推測ベースではありますが。

とはいえ、転換点予測モデルについては、まったくと言っていいほど、一般には説明されてきませんでしたので、仕方ないのですが。

 cf. 月報での『非AIモデル(転換点予測モデル)』の扱いについて:AI日本株式オープン

 

 

 

 

 なお、該当する週のパフォーマンをみると、以下のような感じでした:

 

 

 

 

 

 

 

ここからは、話が、少し脱線して行きます。

 

 

『AI日本株式オープン(絶対収益追求型)(愛称:日本AI(あい)) 設定来の運用状況について』2018.2.27(pdf) によると、2018月1月末時点での要因分解結果は以下のようになっています:

 

設定時の基準価額は10,000円なので、転換点予測モデルが191円の増加要因になったという事は、リターンでみると+1.91%の寄与であったことが分かります。

 (※ 前出の転換点予測モデルの毎月の寄与額の累和190円と差が出ていますが、これは、実際のパフォーマンスは累積したものになるためです)

 

これは、各モデルの中で最大です。

また、モデルと実運用の乖離部分を表す「モデル以外要因(その他):-2.05%」のほとんどがAIモデルに起因したものだと考えられます。

実際、転換点予測モデルによるウェイト変更は、往復2回分だけだったと推察されます。

 

 

そのため、AIモデル全体のパフォーマンスへの寄与(実運用ベース)は

 0.7% ≒ 2.75%(モデルベース)- 2.05%(モデルと実運用の乖離)

に過ぎなかったのではないでしょうか。(モデルベースの評価のままでは、「絵に描いた餅」です)

仮に、甘く見積もったとしても、AIモデル単独では、信託報酬分(1.28%)すら賄えず、マイナスになってしまうと思います。

 

 

 

AI日本株式オープン(絶対収益追求型)は、AIが運用するファンドであると喧伝されてはいるものの、

実質的には、非AIモデル(転換点予測モデル)の影響が非常に大きくなっています。

せめて、AIが運用しているというのであれば、パフォーマンスは『AIモデル要因』と『非AIモデル要因』とに分けて報告して欲しいように思います。

 

 

また、その意味では、「安定高配当モデル」も「高配当戦略(MN)」+「AI活用効果」に分けるべきだと思います。

純粋にAI技術を活用することで、パフォーマンスにどの程度の影響を与えているのかは、公表すべきだと思います。

 

 

 

 

 

本来すべきこと(以前はしていたこと)をしていないということは、この世界では、「出来ない・まずいことがある」という意味に解釈できると思います。

  cf. ティーブレイク:日経新聞が「AI日本株式オープン」に見せた“忖度”!?


出所:三菱UFJ信託銀行『人工知能を用いたファンド運用システム(特開2018-025851):審査書類情報:添付書類「人工知能(AI)を活用した絶対収益追求ファンド(ディスカッション資料)」』特許情報プラットフォーム

 

 

 

 

そう思うと、AIモデルの効果を厳密に計測するとなると、かなりの部分がそぎ落とされる気もしなくもありません。

だから、「AIモデル」「非AIモデル」という区分をあえて止めてしまった?と思いたくなります

 

 

 

もちろん、❝金融商品❞ですから、パフォーマンスへの寄与がほとんどなくても、「AIが入っているんだから嘘ではない」とはなるのでしょうが、

一般の商品・製品では認められないロジックだと思います。

☞ 「AI(人工知能)を活用した運用で」とは言ったが、「AI(人工知能)によって」とは言っていない。という感じです。

 

なんだか、一部の投資信託が今一つ身近な存在になれない理由は、こんなところにもあるような気もしてきました。

 

 

 

 

 

 

● 2018年1月末時点

https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/252629/252629_201801.pdf

 

● 2017年12月末時点

https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/252629/252629_201712.pdf

 

● 2017年11月末時点

https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/252629/252629_201711.pdf

 

● 2017年10月末時点

https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/252629/252629_201710.pdf

 

● 2017年9月末時点

https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/252629/252629_201709.pdf

 

● 2017年8月末時点

https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/252629/252629_201708.pdf

 

● 2017年7月末時点

https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/252629/252629_201707.pdf

 

● 2017年6月末時点

https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/252629/252629_201706.pdf

 

● 2017年5月末時点

https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/252629/252629_201705.pdf

 

● 2017年4月末時点

https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/252629/252629_201704.pdf

 

● 2017年3月末時点

https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/252629/252629_201703.pdf

 

● 2017年2月末時点

https://www.am.mufg.jp/pdf/geppou/252629/252629_201702.pdf