風に吹かれても!雨にうたれても!

桜田淳子さんの幸せを願うとともに、良き70年代の心を少しでも残したいと思います。

支え合う気持ち

2012-08-12 09:29:14 | 日記
『もう一度だけふり向いて』

改めて聴くと、淳子さんの将来性には何も疑う余地のないことを感じさせる。

この歌は、透き通った声、高音の延び、共に申し分がない。桜田淳子の成長は著しいと感じさせる一曲だ。

しかし残念なことに、76年当時、高校2年の私には、この歌の良さが判らなかったというのが情けない。

同時代で進んでいる僕らの青春とはかけ離れて、遠いところの高嶺の花という感じになってしまった。
汗にまみれた高校時代の僕には、理解できなかった曲の一つだった。

しかし、今、改めて聴くとこの曲は、名曲に値する。

先づは、1977年1月17日『夜のヒットスタジオ』での収録を観てみたい。
出演者
OPメドレー
島倉千代子……(ほんきかしら)
桜田淳子………(もう一度だけふり向いて)
千昌夫…………(流れ雲)
前田美波里……(よまいごと)
ザ・リリーズ…(恋に木枯らし)
島倉千代子……(おじいさんおばあさんありがとう→東京だよおっ母さん)
森田健作………(兄弟)
野口五郎………(むさし野詩人)
ちあきなおみ…(酒場川)

ありがたいことに桜田淳子さんの歌唱シーンがYouTubeにUPされている。

現場にいて観ている人たちの反応がこの曲のプロとしての評価なのだろう。

右手から、ちあきなおみさん、島倉千代子さんが並んで観ているが、同じ表情をしている。
幼くデビューした淳子さんを知るベテランの二人が、澄んだ目をして見つめている。
急速に進歩する淳子さんを目の当たりにして、見入っている。『わぁ』という声が聞こえてきそうだ。
このまま歌手として成長したら、島倉さんタイプだっただろうか。それとも、ちあきなおみさんのようになったのだろうか。どちらにもなりうる可能性をひめていた。さらに魅力的に。

その左のリリーズは、憧れるようなまなざしでいつまでも拍手をしているのが印象的だ。

後列左に森田健作さんだ。事務所の先輩、兄貴分として、その目つきはやはり人とは違う何かを持っている。
妹の将来を感じようとする目だ。
しかし、珍しく淳子さんが猫背気味に歌唱しているのがやや不満といった風だ。更なる成長を望む厳しい表情だ。

後列右の千昌夫さんは、同じ東北の先輩として淳子さんと仲良しだ。
やはり好意的に応援する目だ。
しかしその後の動きに注目して欲しい。
千昌夫さんは胸ポケットからメガネを取り出し両手で掛けている。成長を確かめたかったのだろう。やはりこの人の心は人に暖かい。

三列目の野口五郎さんも、御三家として、真剣に覗き込んでいる。

指揮するダン池田さんは、淳子さんを支えた一人だ。指揮する姿に乱れはない。歌唱か伴奏か、どちらが合わせているのか判らない位、正に一糸乱れね様相で、ニューブリードのメンバーを引っ張って行く。只々恐縮するばかりだ。

曲が終わって、伏し目がちにマイクをもらいに行く井上順さんの腰の低さが、この曲の全てを物語る。
そこに佇んでいたのは、淑女だった。

淳子さんは、この曲を挟む形で名曲が並ぶが、この曲では、ランクインに僅か及ばなかったが、それでもレコード売上は文句なし、ファン層を女性に広げられうる楽曲であろう。

この曲の時代にピンクレディが登場して、歌謡界のトレンドが急速に加速したように思う。

時代を読める阿久悠さんにも作品の変化が生まれ、淳子さんへの提供楽曲も変化したように思う。

パンドラの箱を開けた影響は、よくも悪くも大きい。低年齢層を中心に、時代は彼女たちを追いかけて行くことになる。

もう少し、時代の進み方が緩やかだったら、と今にして思う。

それにしても、この楽曲で、気持を歌い上げられる確信を淳子さんも持ったことだろう。
翌年の『しあわせ芝居』につながっていく。歌唱法は異なるが。

それにもまして、嬉しいのは、スタジオの先輩、同僚、後輩、スタッフのみんなの暖かい目だ。
支え合う気持がにじみ出ている。

とかく芸能界は、華やかな表舞台の裏でダーティなイメージが囁かれるが、それを割り引くにしても、淳子さんを囲み支えるこの映像を見るにつけ深い感銘を受ける。

そして、そういった支えを受け、淳子さんは、成長していったに違いない。感謝したい。

追伸
ロンドンオリンピックの日本選手の活躍をみると、その成績もさることながら、団体競技はもちろん個人競技でも同じように『絆』の重要性を感じた。

メダルを逃した北島選手のためにと思って、メダルを目指した水泳陣にしてもそうだ。

苦しくても支え合ってきたこの国の伝統が思い起こされる。
こういった人を思う心が広がって欲しいと思う。それが、勇気と希望を与えてくれると思うから。

今の国会の状況には、耐えられないが。

イワタヤイセタン

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