桜田淳子の悲劇～芸能界交歓図裁判から思うこと

１９７６年芸能界交歓図裁判が、刑事事件として、取り上げられた。
桜田淳子、山口百恵、西条秀樹らが、芸能雑誌を訴えたものだ。
それは、芸能プロダクションの代理戦争の様相を呈していた。

問題の記事は、明らかに、名誉毀損にあたるものであり、争点は、告訴した芸能人の本心によるものかどうかだった。

彼ら、彼女らが、被告人に有罪を求めるといえばそれで、裁判は終わる程度のものだった。
が、そもそも、それまでなら民事裁判で、損害賠償と、謝罪広告の掲載という名誉回復方法で、十分だったともいえる。

その点については、次の動画を観てもらいたい。

桜田淳子・岡崎友紀 芸能界交歓図裁判


そして、証言後の反応については
桜田淳子 芸能界交歓図裁判詳報


二人の証言内容への評価は、淳子さんに厳しかったようだ。

ここで、桜田淳子と山口百恵の人間性が衝突することになる。
建前を貫く淳子さんに対し、本音をぶつける百恵さん。
すでにアイドルから脱却した百恵さんに対し、アイドルの使命を終えつつあった淳子さん、二人の背負ってきたもの、それは生まれに遡らなければならないのかもしれないが、到底私のいうべきことではない。

彼女らの下した結論は、正反対のものだった。
淳子さんは、『罪を憎んで人を憎まずといい』『人は人を裁けない』と言った。
百恵さんは、二人の被告に、キッパリと刑法的処罰を求めた。

この瞬間、被告人二人の有罪が確定したと言っていい。
マスコミも含めた芸能界の判定は、百恵さんに上がった。
それは、時代というものの変化を表したものだったと思う。

淳子さんの歌手としてのレコードのセールスは、この時期の『サンタモニカの風』を境に落ち着いた。

しかし、そこには、人間としての淳子さんを感じるようになったのではないかと思う。

百恵さんにも同じことが言える。裁判での証言の後、数ヶ月で、交際宣言をし、引退への歩みを加速することとなる。

この裁判は、世代交代を加速した。
極めて逆説ながら、この裁判の意味は、彼女ら二人を成長させるとともに、人の内面の醜さを痛感させ、こういう形でしか、次の世代が育たなかった現実は、彼女らの存在の大きさを実感させたことにある。

しかしながら、淳子さんにとって、裁判での証言は、無防備すぎるものであったのに対し、用意周到な弁護人の誘導に近い尋問によるものだった。

これにより後の百恵さんの備えは十分用意されたともいえるのだが。

淳子さんは、被告人二人を前に、法廷において罪を求めなかったが、この時、後々訪れる芸能マスコミによる執拗な攻撃を予想できたものはいない。

次回以降伝えなければならないが、９２年以降の芸能マスコミの包囲は、彼女の口から、やがて聞かれる霊感商法擁護とも受け取れる発言を聞くまで続けられた。
そして、それにより、彼女が芸能活動を停止したのを見極め、霊感商法バッシングは終息を迎える。

彼らの心理状態は、異常だったと思う。



そこで、霊感商法とは何かを考えてみたい。
図式はこうだ。1980年以降、統一協会が行っていた『開運商法』に対し、共産党系『しんぶん赤旗』が報じ、朝日ジャーナルが広めたのが、霊感商法という言葉である。

統一協会が、勝共運動を推進していたことに対し、共産主義からの逆襲の構図がある。
つまり、イデオロギーの対立があった。

この対立は、ベルリンの壁の崩壊で終了するのだが、最後の一矢が霊感商法バッシングだったと思う。
そして、それをセンセーショナルに伝えるのに、桜田淳子という１９７０年代の国民的アイドルを貶めることは、格好のターゲットだったに違いない。

いずれにしても、１９９４年以降、統一協会の活動は極めて制限されることになる。

しかし、霊感商法の衰退とともに、朝日新聞が報じた従軍慰安婦問題を社会党系が推進し、この奇妙なカードを統一協会に持たせるというねじれ現象が生まれる。
統一協会の幹部はこの神風を喜んだこといわれている。

統一協会は、１９９０年代から朝鮮南北統一を推進し、そのための資金を日本に求めたのだが、いまだに韓国が強く従軍慰安婦問題への謝罪を求める理由はここにある。

統一協会は、桜田淳子が入信したとされるときとは、性格を異にした別の団体へと変貌したのは、１９９２年文鮮明氏が来日してからだったと思う。

いまだに、韓国で謝罪する日本人妻らしき光景を目にする。

彼女らが日本人なら、その光景を見るにつけ哀れでならない。

それと同時に、芸能雑誌記者への刑罰を求めなかった淳子さんが、芸能マスコミの餌食になったのは、運命のいたずらだったのだろうか。

これは、あくまで序論に過ぎない。さらに詳細を提示したいと思う。