ヒストリカルロマンスアワー

Historical Romance Hour

Pleasuring the Prince

2007年01月08日 | F-G
Patricia Grasso. 2006. Pleasuring the Prince. Zebra Historical Romance.

Story:   
Dialogue:
Hero:     
Heroine: 
Sensuality:

お子様向け。カバーは好きですが。
とにかく「王子様」という言葉を使いたかっただけなんじゃないでしょうか…。

Miss. Fancy Flambeauはロンドンでデビューしたての人気女優。とある公爵と女優だった母親の間にできたFancy。母親と自分と妹達を見捨てた公爵を許せないばかりか、そんな勝手なことばかりする貴族は全て大嫌い。それに母親と同じ人生だけは歩みたくないので、誰の愛人にもならない!というのが彼女の信条。

彼女を一目見て自分のものにするぞと決心したロシア出身の王子様Stepan Kazanov。彼女をなんとしてでも自分のものにしようと執拗にせまります。

 
Wallpaper Historicalでも悪くないものもあるのですが、今回のは「王子様」を夢見る夢子さんのためのお話で、Historical Romanceとはこれまたちょっと違うような…。
王子様と舞台女優というありえない設定なので悲恋のお話になるかと思いきや、まるで普通に起こりえることのようにお話が進みます。
それに、Stepanの、結婚は考えてないけどFancyをただの愛人としては考えていない、(舞台女優と!)真剣に付き合いたいという思いは、当時の時代背景を考えると矛盾しています。
登場人物たちの会話もかなり幼稚です。

新年最初のレビューはあまり面白くないものになってしまいました
でも、こういうのが好きな人もいるんでしょうね。Amazon.comではかなりいい評価が出てます。

His Wicked Kiss

2006年08月31日 | F-G

Gaelen Foley.(1996) His Wicked Kiss.
Ballantine Books.

The Knight Miscellanyシリーズの最終回です。あまりにファンからの「終わらせないで欲しい」という要望が多いため、Foleyはあとがきの中でスピンオフを出す約束をしています。

Story:    
Dialogue: 
Hero:     
Heroine:  
Sensuality:

1818年
病気で妻を亡くし世捨て人になってしまったDr.Victor Farradyとその娘でありこのお話のヒロインEdenと、助手のConnerの3人は、Dr.Farradyのリサーチのためベネズエラのジャングルで生活をしていました。
12年間ジャングルで過ごしたEdenですが、本当はロンドンに帰りたくて帰りたくて仕方ありません。いとこが送ってきてくれるLa Belle Assembleを眺めてはイギリスを思うばかりの生活にある日突然、Lord Jack Knightが現れます。

南アメリカ周辺の航路を牛耳かねない程の大手船会社の経営者であり、カリスマ性を持ち備えたちょっとワル(死語?)な船乗りでもあるJack。実は極秘任務も背負っていました。

彼の生い立ちはロンドンではいわゆる「公の秘密」。どんなに表向きはハンサムでカリスマ性があってRogueで船員達から慕われていても、幼少時代のつらい経験のせいでJackの心は堅く閉ざされています。

Jackがロンドンへ向かうと聞いたEdenは自分も連れて行って欲しいと頼みますが、Jackは極秘任務のため拒否。
ジャングル育ちのEden、サバイバルには自身アリ。ということで、ここでイギリスに帰るチャンスを逃すまいかとこっそりとJackの船に忍び込みます。

出航してから2週間後、Jackは必死にたのむEdenを港に置き去りにしてきた罪悪感に苛まれていましたが、船内でEdenを見つけびっくりするやら、怒るやら。でも彼女とまた会えてうれしかったりも・・・。
        
それにしても密航した罰だと言ってJackがEdenにしたことはちょっと許せませんでした。

    

前半は、二人のロマンスはすぐに燃え上がるし、会話や心理描写がいいので、Jackが徐々にEdenの純粋さにとろけていく様子が見ものでした。
でも前半の勢いの良さに反して、後半ロンドンへ渡ってからは勢いがなくなります。前半で見た二人の魅力的な面や二人の関係のロマンチックな様子が希薄になってしまっています。

Edenの美しくて魅力的で純粋な面と、一人で簡単に大蛇を退治できて肉食動物が接近しているかどうかを察知できて、ターザンのように木のツルにぶらさがったり、なたを正確に使いこなせる面とのギャップに、すんごいことやっておいて「ホヨヨ」と純真なアラレちゃんを思い浮かべずにはいられませんでした。Edenのサバイバルスキルはクロコダイルハンターも真っ青だし。
だから、コテコテリージェンシーファンの私は、最初に読み始めた時にすぐに他の本に移ってしまい、今回他の本が届くのを待っている間にやっと読み終わりました。
あと、オーストラリア人助手のConnerですが、アメリカ人からみたオーストラリア人男性のステレオタイプが少し出ていておもしろかったです。ジャングル(アウトバック)、サバイバルスキル、野性的、無口・・・。
ふと、うちのGを見ると「この短パンもう一回はけるかな」って匂いかぎテストやってました。洗濯機があるんだからSniff Testは禁止って何度も言ってあるんだけどね。
ちなみに、Connerのほうはちょっと頭がおかしくなっちゃいます。

船乗りのお話は好きですが、このお話はリージェンシーとはあまり関係がなかったし、後半でスローダウンしてしまったのでハートマークは4つにとどきませんでした。


Almost a Bride

2006年08月18日 | F-G

Jane Feather (2005) Almost a Bride
Bantam

Jane Featherは個人的に今回で4冊めになります。過去の3冊と同様、ガツンとくるものではありませんでしたが、ナカナカでした。

Story:    
Dialogue: 
Hero:     
Heroine:  
Sensuality:

ジョージア期。
Jack Fortescu, St.Jules公爵は復讐のためDunston伯爵をギャンブルの果てに自殺に追いやります。そして借金のかたに「全て」遺産相続します。伯爵領も異母妹のLady Arabella Laceyも。
Dunstonのしたことの罪をArabellaに償わせるため、彼女に形だけの結婚を申し込みます。結婚して何もかも自分のものになったという満足感を得ることと、Arabellaを田舎に放っておいて自分は好きな人生を歩むことがJackの真の目的でした。

28歳でスピンスター、でも芯がしっかりしていてチャーミングなArabellaは、最初は全くの見ず知らずの公爵と結婚なんてできないし、なぜここまで公爵が自分との結婚にこだわるのか理解できません。でもすぐに、Jackとの形だけの結婚の利益を見出し同意します。

復讐目的で接近したJackですが、実は一目見た瞬間からArabellaに惹かれていて、結婚してロンドンへ出向いてからも彼女を束縛したい気持ちは強まる一方です。
Arabellaは、Jackがこの結婚にこだわった理由のが気になるし、秘密を持っている彼を信頼できないと思いながらも恋に落ちていきます。
そして公爵夫人としてふさわしいようにドレスから身のこなしまで一生懸命Jackのメガネにかなうように努力する側ら、Jackは愛人のところへ入り浸っているし(とArabellaは思っている)、パーティーで愛人と出くわせばArabellaの言動に横から茶々を入れるばかりか、Jackは愛人の見方をする(とArabellaには見えた)始末。
Arabellaの我慢強さには感服っす

「形だけの結婚」「復讐のためにヒロインに接近」「ヒーローの閉ざされた心を開くヒロイン」というありきたりの筋書きです。
AARではこれをFeatherらしく新鮮なお話に仕上げてあると書いてありますが、私は特にオリジナリティーは感じませんでした。ロマンスはまあまあでしたが。
後半は、フランス恐慌時代のドサクサでギロチンの露と成り果てたはずのJackの妹の消息がわかり、二人はフランスへ渡り大救出作戦。前半とは全く違ったものになっています。

その他
         
      Vice
(1996)
性病で死にかけのいとこからある領地を取り返すため、Redmayne公爵は売春宿からある処女、Julianaを買います。Julianaといとこを形だけの結婚をさせ、同時に彼女を公爵自身の愛人とし、「いとこの跡継ぎ」を生ませることで、領地を取り戻そうとします。

             

               
The Bachelor List (2004)
The Bride Hunt (2004)
The Wedding Game (2004) [未読]
3人姉妹のマッチメイキング・トリロジー。珍しい1900年代の設定です。
独立心旺盛なヒロイン達が紳士達にマッチメイキングのお手伝い。


She's No Princess by Laura Lee Guhrke

2006年07月06日 | F-G

Laura Lee Guhrke (2006) She's No Princess.
Avon

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Heroine:  
Sensuality:

このシリーズの1作目は「
Guilty Pleasures」。
2作目は飛ばしてこの3作目を読みました。
Amazon.comでは今のところかなり評価高いですが、まだ現時点で5人しか評価してないのでこれからどう変化するかな。

このお話のヒーローは2作目「
His Every Kiss」のヒーローの兄で、生真面目で完璧な紳士、そして有能な外交官でもあるSir Ian Moore。
海外で仕事をしていたところを急に英国に呼び戻されます。
どんな重要な令が下されるのかと思えば、Bolgheri王国の皇太子の隠し子Luciaの縁結びをするようにとのこと。
長年母国に使えてきて立派な成績も収めてきた結果がこれかと愕然としますが、とにかく早々と終えてしまおうと嫌々ながら承諾。

Luciaは根っからの掟破り娘。高級娼婦を母に持っているだけではなく、自らもスキャンダルを次から次へと起こす問題児。
とうとう皇太子も音を上げ、Luciaの将来をIanに託したことが分かると、自分の将来は自分で決めると、これまた反乱の決意。
        
美しくセクシーで情熱的そして破天荒なLuciaが、Mr.PerfectのIanを少しずつ「壊して」いくお話ですが、そういう展開ならRaquelさまが勧めてくださった「
Lord Perfect」のほうがおもしろかったです。(Raquelさまの記事

最後がどうしても気に入らなかったのですが、全体的には楽しめたのでハートマーク評価は「普通」のハート3つです。


Guilty Pleasures by Laura Lee Guhrke

2006年06月28日 | F-G
Laura Lee Guhrke (2004) Guilty Pleasures.
Avon

Story:     
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Heroine:   
Sensuality:

ヒーロー、Tremore公爵に考古学者として雇われて依頼、ずっとハンサムな公爵に片思いしてきたDaphne。緊張して話はできないけど、せめて遠くから見つめるくらいなら・・・と切ない日を送っていました。
しかしある日、Tremoreが「Daphneは女としての魅力なんか一つもない」など、ケチョンケチョンに言っているのを聞いてしまい、Daphneは無残にも失恋。
こんなひどい男のところで働く必要なんかない!と仕事をやめる決心をします。

ただ黙々と仕事をこなすだけの機械のようなDaphneが、仕事をやめると言ってびっくりしたのはTremore。さらに、やめたい理由というのが「I don't like you」。
彼が主催する博物館がオープンするまでは彼女が絶対必要なので、なんとしてでも彼女を引きとめておきたいTremore。

Tremoreに対する王子様のようなイメージがくずれてから、Daphneは言いたいことを何でも言うようになり、Tremoreはたじたじ。
でも、これがきっかけでDaphneの魅力が一気に表に出ることになり、Tremoreが彼女を自分の下にとどめておきたい理由がだんだんと変わってきます。

                  
ロマンスノベル専門店のお姉さんのオススメで買ったGuhrke(ガークって発音するのかな?)のリージェンシーもの。全体的にはまあまあかなぁと思い始めたら、後半が良かったので、ハート4つです。

この次に出したGuhrkeの「His Every Kiss」は、Tremoreの友達で、苦悩する作曲家Dylan Mooreがヒーロー。音楽家がヒーローのリージェンシーものもめずらしいので、また今度読んでみたいです。

さらに、Guhrkeの3作目は「She's No Princess」です。これは買いました。
完璧な紳士で有能な外交官でもあるSir Ian Mooreが、オテンバなLuciaの手のひらの上でくずれていく様を堪能しようではないの ムフフ。

The Perfect Rake

2006年05月12日 | F-G
The Perfect Rake
By Anne Gracie (July, 2005) Berkley Sensation Historical Romance

自分のこと、もう少しでも「かわいかったらな」「美人だったらな」って思ったことありませんか?

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Sensuality: 7

Merridew姉妹のPerfectシリーズ第1作目。Writers of America RITA AwardsのBest Long Historical Sectionの最終審査まで残った作品です。
去年11月に出ている2作目「The Perfect Waltz」のレビューRaquelさまのブログで読んでください。TBいただいてます。
要チェックの3作目は6月出版です。

Jane Austenを意識した語り口調で、1ページ目からRegency Splendourの世界へタイムトリップ。

ラブコメではありませんが、こんなにおもしろい会話のあるお話は久しぶりです。とにかくヒーローのセリフがおもしろくて、そこだけ拾い読みしたくなります。ヒロインの家族背景が暗いだけに、ヒーローのWittyなジョークはお話の中でとてもいい効果をもたらしています。

ヒロインPrudenceと姉妹達はなんと、祖父から虐待されていました。なんでもないことを理由に気が狂ったように暴力を振るう祖父から逃れるため、プルーはある計画をします。

ヒーロー、ギデオンは突如現れたプルーを一目見て魅了されてしまいますが、彼女はギデオンのいとこである公爵の婚約者だとプルーの大叔父さんにウソをついてしまったようです。しかも、ギデオンのことを公爵だと勘違いしてしまったので話はこじれます…。

「別に今の自分に文句はないけど、もう少しかわいかったらな」とちらっとでも思ったことありませんか。プルーの容姿はあまりきれいではないと何度も何度も繰り返し描写されいてかわいそうなほどですが、ギデオンの目には最初から最後までこの世で一番美しくて魅力的な女性としか映りません。「彼といると本当にこの世で一番きれいになったように思える」というヒロインの気持ち、ロマンスファンの心に響きます。そんな気持ちにさせるヒーローは、ヒロインの真の美しい姿しか最初から見えてなかったんですね。
点数高いっす。

一つ疑問もあります。ヒーローのギデオンのLord Carradiceという敬称ですが、彼の爵位が一体何なのかさっぱりわかりませんでした。ギデオンの父は先公爵の弟なので世襲の爵位はないはずです。なのでLordにはならないはず…。House of Lordだったのかな???彼が一体普段何をしているのかの記述がありませんでした。
       
オススメです。

Jude's Law

2006年04月27日 | F-G

Jude's Law
By Lori Foster (2006) ローリ・フォスター

Story:   
Dialogue:
Hero:     
Heroine:  
Sensuality: 8


今回は現代ロマンスです。

元プライズ・ファイターでもあり元ハリウッドスターでもあるマッチョ!マッチョ!でセクシーなジュードは、何もかも捨てて1年半ほど前にオハイオのスティルブルックという小さな町に引っ越してきていました。以来、その町の画商、メイ・プライスに激しく片思いしていましたが、彼の誘いはことごとく冗談扱いされて一蹴される毎日。とうとうジュードのガマンも限界に…!

ジュードが見慣れているようなハリウッド女優とはまったく違うし、ぽっちゃり体型だし、家族にも問題を抱えているような自分を、まさか本気で誘ってるわけじゃないよね、とメイは、ジュードの思わせぶりなセリフやお誘いは笑ってはぐらかします。

ですが、メイの弟ティムがトラブルに巻き込まれたとき、二人の関係は大きく変わります。ティムの巻き起こしたトラブルのせいで、ジュードやメイの命までも危険さらされていることが分かると、メイはジュードに危険を知らせるためにアプローチします。

             
お話のプロットは特にオリジナルとは言えません。ヒーローの設定はクサすぎるし、男性陣のセリフがキザかマッチョ路線で、私の好みとは言いがたいです。
でも全体的には楽しく読めます。

ラブシーンは、ジュードのこれまでのガマンが報われるので、ホット、ホットっす。

脇ででていたメイの友人アシュリーのロマンスもナカナカで、このあと二人がどうなったか知りたくなります。

オススメの一冊。

フォスターの過去の作品、ノアとベンがそれぞれヒーローのお話「秘めやかな約束」(Too Much Temptation)と「一夜だけの約束」(Never Too Much)が日本で出版されているようなので、これもきっと翻訳されでしょうね。


The Lion's Lady

2006年02月25日 | F-G
The Lion's Lady
By Julie Garwood (1988, 1991)

かなり古いのですが、再出版されたようです。知り合いから薦められて買いましが、Garwoodは初めてです。
Story:  
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Hero:    
Heroine:  
Sensuality:6

お金持ちのアメリカ人令嬢が主人公である話があまり好きでないので避けていると、ネイティブアメリカンに育てられたという狼少女のようなヒロインのお話に当たってしまいました。これもあまり好きな設定ではありません。上流社会で育った上品さに欠けるからです。
あらすじにヒロインの生い立ちが書いてなかったのでだまされたような気分です。あらすじと内容が違う本はたくさんありますが、これもその中の一つです。

ヒロイン・Christinaはワケがあってあるネイティブアメリカンの部族に育てられますが、亡くなった母の遺言どおり社交界デビューします。そして女神のようにあがめられるほどの成功をおさめます。
ヒーロー・Lyonwood(ライオンウッド)侯爵はヒロインに一目ぼれしますが、以前に亡くなった妻に裏切られたことから結婚願望は一切ないので、愛人にしようと行動を開始します。

クールだけどヒロインを一途に求め、敵から彼女を守る侯爵はHRヒーローの模範生です。クリスティーナはというと、基本的にインディアンに育てられているので英語は完璧ではないし西洋の社会、特に規律の厳しい上流社会には馴染めません。大事な会話をしている途中に侯爵がクリスティーナの英語を直さなくてはいけないのにはちょっとイライラします。

Christinaが育った部族の文化や哲学に基づいた言動がお話を占めていて、ヒーローとヒロインが異星人同士のようなコミュニケーションをし混乱するのを楽しむか、Christinaの狼少女のような奇妙な言動を楽しむかは、読者によって好き嫌いがあると思いますが、私は楽しめませんでした。ヒロインの奇妙さを楽しみたかったのなら、このお話はリージェンシーが舞台でなくてもよかったと思います。

あと、名前の選択のセンスも私の好みではありません。ギリシャ神話やサクソンやケルト民族などの民話の登場人物の名前にちなんだものはまだいいのですが、ヒーローのニックネームが「ライオン」というのはちょっと少女趣味が強すぎます。ロマンチックなお話というのは当たり前なのですから変なところでこだわらなくてもいいです。あとエピローグで生まれた息子の名前はクリスティーナが育った部族の名前そのままですが、この作家の名づけのセンスには閉口します。 この本は買わずに図書館で借りるか、古書で手に入れるかをおすすめします。