アイ!サラマッポ in バギオ

フィリピン人介護者のケアを受けながらの、フィリピンでのインディペンデント・リヴィング…、心の赴くまま、ここに記します。

外国人看護師、日本での明暗が…。

2009-07-29 20:38:00 | フィリピン人看護師・介護士(Caregiver)

 今朝のNHKニュース「おはよう日本」で、久しぶりにインドネシア人看護師の近況を伝えるニュースがありました。去年8月に来日したインドネシア人看護師たち、夢と希望を抱いて渡った日本での生活ももうすぐ1年です。ほとんどがイスラム教徒…、いろいろな意味で新しい環境、日本社会へ適応するのは大変だったことでしょう。
 受け入れ先の病院、医療現場での研修に入ってから半年以上…。しかし、日本の看護師資格のないインドネシア人看護師に与えられる仕事は、食事介助やリネン交換といった、日本の看護師の補助的なものです。来日中のインドネシア人看護師は、3年以内に日本の看護師国家試験(日本語)に合格できなければ帰国せざるを得ない、というのが、現在までの日尼間(日本・インドネシア間)のEPA(経済連携協定)合意です。看護師は、3度受験のチャンスがある訳ですが、去る2月の試験では合格者はゼロでした。(介護福祉士候補者は、4年間滞在できますが、3年間の実務経験が受験条件の一つである介護福祉士の試験を受けるチャンスは、4年目の1度だけです。)
 ニュースでは、一人のインドネシア人女性看護師が取り上げられていました。まだ表情に明るさはあるものの、一方でその寂しげな表情も印象的でした。私には、慣れない国で過ごす寂しさ以上に、看護師としての自分と、研修中とはいえ看護師とは程遠い仕事しかできない自分とのギャップを感じながら、現実をどう受け入れるか、彼女なりに葛藤しているように見えました。しかし、彼女をもっと不安にさせているのは、残された2度の看護師試験に合格できる可能性が極めて低いことを、1度目の受験で彼女自身が知り、「きっと合格して日本の看護師に…!」という意欲すら失いかねない、ということでしょう。研修であっても勤務は勤務、疲れて、日本語や看護師の専門用語を勉強するのに十分な時間もない中、不安と焦りだけが募っていくことでしょう。

    

 それでも、ギリギリのところで彼女を支えているのは、看護師としての彼女のプライド、母国で期待して待っている家族への思い…といったものなのでしょう。自国で、4年間看護課程で学び、難しい看護師国家試験に合格、その後、正看護師として3年間以上、病院での実務経験を持つ人たちですから…。
 今後、外国人看護師や介護福祉士候補者に対して、何らかの対策が取られることを待ち望んでいるのは、本人たちだけでなく、受け入れ先の病院や介護施設等の現場や、周囲の多くの関係者の方々もそうだと思います。

 そのニュースの中では、日本の医療現場で正看護師として働くベトナム人女性の姿も取り上げられていました。彼女は、インドネシア人看護師とは対照的に、自信を持って堂々と日本の病院での勤務をこなしているようでした。日本の国家試験をパスし、日本の医療現場で正看護師として働いているベトナム人が、もう「56人」もいると知り、大変驚きました。そこには、政府のEPAを通しての受け入れとは全く違う、AHPネットワーク協同組合(アジアン・ヒューマン・パワー・ネットワーク)という民間の「現地の事情を知り、周到に準備されたプログラム」の中で育て上げられたベトナム人看護師たちだったのです。圧倒されそうなインパクトのある映像でした。

 http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/9792.html (参考)

(NHK視点・論点「ベトナム人看護師とEPA・人の移動」-2008617日)

…さて、フィリピンでは、先週末に6月の看護師国家試験の合格者が発表されましたが「合格率100%」という大学が2校、ネグロス島ドュマゲッティ市の「セント・ポール大学ドュマゲッティ校」(112人全員)とマニラ・ケソン市の「フィリピン大学(国立)」(61人全員)でした。そして合格率「99%」の大学が5校、バギオ市の「セント・ルイス大学」(SLU)もその一つでした。303人の受験者のうち299人合格…、すごい合格率ですが、不合格だった4人は肩身の狭い思いをしていることでしょう。バギオ大学(UB)の合格率は20%台だったそうです。厳しい世界ですね…。大学が、卒業生の受験資格の条件を設けて(成績上位者のみ受験させて)合格率を上げようとするのも仕方がないような気もしますが…。

 http://www.boardexamresultsph.com/top-nursing-schools-june-2009

(フィリピン看護師国家試験の合格率上位の大学)

 それにしても「看護課程」を選んだものの、経済的な理由などで中退する人たちも少なくなく、「4年間」を修了、卒業することさえ難しいのに…。

 http://blog.goo.ne.jp/isshin3_ph/c/1ae6f2406bb8beed3975d057ca1e19c3

(ブログ内の関連記事:カテゴリー「フィリピン人ケアギヴァー・介護士」)

※インドネシアとのEPA(経済連携協定)に基づき、今年11月に来日予定のインドネシア人看護師・介護福祉士候補者(第2陣)が約370人であることが27日明らかにされたようです。インドネシアとのEPAでは、去年と今年の2年間に看護師候補者400人、介護福祉士候補者600人を上限として受け入るという合意でしたが、最終的に6割以下にとどまりました。仕方ありませんね…。
 フィリピンもインドネシアと同じ内容ですが、来年はどれくらいの看護師・介護福祉士候補者が来日できるでしょうか…。



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