アイ!サラマッポ in バギオ

フィリピン人介護者のケアを受けながらの、フィリピンでのインディペンデント・リヴィング…、心の赴くまま、ここに記します。

『スーパーマン』-クリストファー・リーヴ

2009-02-06 11:55:03 | せいずい損傷

「私の姿を見て、『見ろよ。クリストファー・リーヴみたいだ・・・。』と言う声もたまに耳に入った。
 
クリストファー・リーヴ(Christopher Reeve)は、映画『スーパーマン』(Superman)の元主演男優で、九六年五月、乗馬中にハードルを越えようとした際に落馬して頸髄(C2)を傷めた。奇跡的に命は救われたが、四肢麻痺の体となり、以後二〇〇四年一〇月に亡くなるまで呼吸器をつけながら生きた。『頸髄損傷』(High Cervical Spinal Cord Injury)という名称を世界に知らしめた人であったろう。まだまだ未知の部分が多いせきずい損傷の分野の研究推進基金を設立し、自らその神経の回復の可能性を追い求めた人であった。受傷前は映画の中で、そして受傷して以降も、人々に勇気と希望を与え続けたクリストファーは、フィリピンにおいても有名だった。『クリストファーみたいだ・・・。』と言われるのは、自分がスーパーマンになったようで悪い気がしなかった。

(拙著『アイ!サラマッポ~フィリピン人介護者と生きて~』下巻より抜粋)

 


ヒトiPS細胞移植治療-せきずい再生への道

2009-02-06 11:12:31 | せいずい損傷

 一昨日、慶応大学の岡野栄之教授の再生医学研究グループが、ヒト(人間)のiPS細胞(様々な細胞や組織に分化する人工多能性幹細胞)を使って、せきずい損傷のマウスの運動機能を回復させることに、世界で初めて成功した、というニュースがありました。
 せきずい損傷で後ろ足に運動障害のあるマウスに、ヒトのiPS細胞から作った神経幹細胞を移植し、1か月半後には、すべてのマウスが後ろ足を使って動き回るようになったということです。解剖して、神経細胞が確かに再生されていることも確認されたということです。
 そのせきずい損傷で後ろ足がマヒしていたマウスが、その移植治療によって動き回れるようになった映像には、かなり鼓動が高まり、目を凝らしてしまいました。「その日」が近くなったような気がしました。今後は、サルへの移植実験等で、さらに安全性の確認をしながら、ヒトへのヒトiPS細胞移植治療へと進んでいくのでしょうが、それが、それほど遠い日ではないように思えたニュースでした。

 再生医学は、特にここ数年で急激な進化を遂げてきたようですが、その間、ヒトの受精卵から摂取したES細胞(胚性幹細胞)による神経細胞の生成等、センセーショナルで偽りの報告が発表されたこともありました。そんな中で、今回の研究成果の公表は、ずい分期待を持たせられるものであるような気がしました。

 もともとせきずい損傷の神経再生による治療の可能性を訴えて自らその研究・推進のための基金「リーヴ財団-CRPF」を設立し、活動し続けた先駆者は、あの映画『スーパーマン』で有名なクリストファー・リーヴ(Christopher Reeve・初代スーパーマン・1952-2004)でした。

 

 そういえば、リーヴ氏の専従看護師も「ドリー」というフィリピン人でした。夫人のダナさんは、一年半後に後を追うように肺ガンのために44歳の若さで亡くなりました。

<写真> 日本せきずい基金事務所(東京都府中市)の事務所に掲げられているクリストファーとダナさんの写真。

「日本せきずい基金-JSCF」(NPO法人)は、今年で設立10周年になりますが、日本のせきずい損傷に関する研究や啓もう活動を推進、けん引してきた団体です。そのホームページでは、直接リーヴ氏から送られたメッセージが、映像とともに見ることができます。↓

http://www.jscf.org/jscf/index.htm


(さて、私自身は床ずれの状態があまり良くならず、一度日本へ帰って治療に専念することも検討しながら今後動きたいと思っています。)