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男性不妊症専門医が学術活動ならびに雑感を徒然と綴ります。

2013年手術統計

2013-12-31 17:37:50 | 日記
2013年12月の男性不妊手術件数
micro-TESE 24件
simple TESE 10件
精索静脈瘤手術 9件



2013年のmicro-TESEデータを公表いたします。

2013年精子回収率
TESE全体142/292=48.6%
simple TESE 60/60=100%
micro-TESE 82/232=35.3%


2013年micro-TESE症例における精子回収率の詳細

特筆すべき点として、2012年はクラインフェルター症候群(non-mosaic)の精子回収率が20/26=76.9%と非常に高かったのですが、今年は13/26=50%と伸び悩みました。原因としては他院で施行され、回収できなかった後の2回目の症例がほとんど採取できなかったことが挙げられます。やはりクラインフェルターの2回目以降は厳しいです。
他、今年は抗がん化学療法、骨髄移植後の症例で2例精子回収がありました。まだまだ可能性があることを示唆しています。
micro-TESE全体としても今まで自身が執刀した通算1000例のmicro-TESE精子回収率が42%程度に比して、2013年は35.3%と非常に苦しい戦いであったことが示されてます。

手術による合併症は陰嚢内血腫4例(保存的治療で回復)、創感染2例でした。

2回目、3回目の症例が非常に増えて、やはり厳しい症例が増えてきています。
精子回収ができず、つらい思いを患者さんと共有することも多いですが、少しでも皆様の期待に応えることができるよう、来年も頑張っていきます。

2013年精索静脈瘤手術件数113件

今年はグランフロント大阪にて、夫婦ともに同時に治療できる「リプロダクションクリニック大阪」をオープンしました。多くの患者さんに来ていただき、順調にスタートを切りました。さらなるレベルアップができるよう、スタッフ共々頑張っていきますので、来年も宜しくお願いいたします。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
MD-TESEの成功率についての質問です。 (ぴーす)
2014-01-08 16:24:50
クラインフェルターの精子回収率が高いのですが、年齢の幅はどんなものなのでしょうか?
あと2回目以降だけの回収率はありますでしょうか?
お忙しいところ申し訳ありませんが返事よろしくお願いいたします。
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ピースさんへ (本人)
2014-01-10 10:28:42
世界的に見ると、さほど高い値とは思いません。一昨年が良すぎました。年齢は44才と49才の症例で精子回収でき、若い方が取れやすいのはもちろんですが、高齢の方でも諦める必要がないことを示唆しています。昨年のクラインフェルター2回目以降の成績は1/6の16%でした。更に詳しくお聞きになりたい際は受診してください。これ以上は個人がとくていされかねなくなってきますので。
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成績 (ろくろう)
2014-01-17 19:28:02
勇気ある成績発表、本当に頭が下がります。昨年より成績が悪くなっておられるのは、困難症例が全国から集まってきているからではないかと予想しますが、昨年のように症例別の精子回収率と精巣の大きさ別の成績を出してもらえないでしょうか?本当にお忙しい中、恐縮ですが、お願いします。
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ろくろうさんへ (本人)
2014-01-18 14:19:42
コメントありがとうございます。昨年は一昨年に比しても、数多くのクリニックでTESEを行いました。さらに少々忙しすぎて、データ解析の時間がほとんど取れておらず、一昨年のように詳細のデータがまだまとめきれていないのが実情です。とりあえずの詳細だけ公表することにしました。できる限り早いうちに一昨年のように詳細をまとめて、新しいスレッドで公表いたします。しばしお待ちください。その中に複数回数施行後の成績も出します。いい結果も悪い結果も全て透明感をもって出していくスタンスです。もったいぶっているわけでもなく、隠そうとしているわけでもありませんので、、。
なお、精巣容量による精子回収率は、以前から幾度となく出していますように、micro-TESEのデータのみでは有意差は出ません。これはもう周知の事実です。差があるといっているのはsimple TESEのデータも含めたものではないでしょうか?もし有意差があるようなデータを出している施設では、simple TESEとmicro-TESEの適応がごっちゃになっていて、専門施設ではないと考えますよ。この点に関してもまた詳細なデータを出すことにします。
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