忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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若さ溢れるハイスピードサスペンス[SAW]

2004年10月30日 | 作品紹介(映画・ドラマ)

■DVD:「SAW ソウ DTSエディション」


最近公開されたサスペンス映画はどれも期待外れだった。
「テイキングライブス」に怒り、「ツイステッド」で呆れた私の乾きは、
ジョニー・デップ×スティーブン・キングという顔合わせの
「シークレットウインドウ」でも満たされることはなかった。
しかし、オーストラリアが生んだ若干27歳の若手監督が私の心を鷲掴みにした。

「SAW」は、「π」「メメント」「ブレアウィッチプロジェクト」など、
ホラー、サスペンスの傑作を見出すことに置いては一目置かれている
サンダンス映画祭で今年1月に上映され、絶賛を受けた作品である。
そのためか、広告記事には「CUBE」や「セブン」の名前がよく引き合いに出されている。
言いたいことは分からないでもないが、私に言わせればちょっと違う。
これはズバ抜けて出来の良い「フォーンブース」(コリン・ファレル)ではないか。
薄汚れたバスルームで目覚めた二人の男。
どうやら”ジグゾウ”と名乗る男に監禁されたらしいが原因も目的も不明。
閉塞された空間で僅かな情報を頼りに脱出を図るが、
ジグゾウは常に二人の先を読んでいる。。。
バスルームか電話BOXかの違いはあるが、やはり「フォーンブース」に似ている。

固定された空間で物語を展開していく手法はシチュエーションスリラーの定番だ。
が、この映画はバスルームだけでは終わらない。
ジグゾウを追う警察や、ジグゾウが過去に狙ったターゲットなど、
バスルームをメインにはしているものの、周辺にも気を配っている。
ここの部分を「厚みが出た」と思うか、「蛇足だ」と思うかは
観る人によって意見の分かれるところだと思うが、私的には「蛇足」だと思った。
いっそのこと警察関係者も出さず、過去のターゲットのエピソードも丸ごと削って
バスルームの二人 vs どこかで成り行きを見ているジグゾウ、
という密室劇に的を絞った方が遙かに緊迫感が上がったと思う。

映画が始まる前の解説で
「監督が憧れる人物はデイヴィッド・リンチ、大好きな作品は『シャイニング』だそうです」
と言っていたが、この映画は上に挙げた巨匠達の影響をさほど強く受けているとは思えない。
リンチほどの美学は持っていないし、キューブリックほどの不可思議な魅力もない、
物語の組み立て方もヒッチコックやキング、デ・パルマにはまだまだ遠く及ばない。
しかし、それでもこの映画は傑作である。
なぜか?
老練な監督には絶対に出せないスピード感に溢れているからだ。
ロケットスタートの映画なので中盤は絶対にダレると思っていたのだが、
結局最後まで若さをバネにして走り通してしまった。
この辺の猪突猛進具合は「テキサスチェーンソー」などに通じるものがある。
撮影期間がたったの18日間というのも信じられないが、
だからこそ、これほどまでのスピード感が出たのかも知れない。

「あいつはずっと【最前列】にいる」

というチラシの言葉に秘められた謎。
その謎の意味を全て知った時、最高の快感を味わうことが出来るはずだ。
この手のジャンルは生理的に受け付けない、という人以外は是非劇場で観て欲しい。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:SAW ソウ
    配給:アスミック
   公開日:2004年10月30日
    監督:ジェームズ・ワン
   出演者:ケアリー・エルウェルズ、リー・ワネル 他
 公式サイト:http://sawmovie.jp/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
コメント (3)
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