耳を洗う

世俗の汚れたことを聞いた耳を洗い清める。~『史記索隠』

“枇杷(びわ)”の効能

2007-06-18 08:58:45 | Weblog
 梅雨に入ったというのに、今年は雨が少ない。借りた畑の周囲に色づいて実をたわわにつけた“枇杷の木”が数本ある。腰の曲がった地主のおばさんが収穫がままならず、私に頼りきりである。近くの木は大抵採り尽くし、ちょっと離れた本家の裏にある大木はまだ手つかずのままだった。昨日、おばさんと二人でこの大木から今にも落ちそうに熟した“枇杷”を買い物籠三杯採った。

 大木だから木に登って採るしかないが、じかにもぎとることはとても難しい。そこで、枝下ろすをするのである。枝をばっさり切り落としては、熟した実が剥がれ落ちてしまうから、切り落とす枝の伐り口付近にロープの一端を巻きつけ、他の一端を伐り残しの部分に結わえる。こうした前準備のあとゆっくり鋸を入れ、枝が宙吊り状態になるようにするのである。下から届くのを採った後ロープを解いて枝を下ろす。一本の枝で大方籠一杯収穫できる。今がいちばんの食べ時で、まだ随分残っているので、今日、最後の収穫にかかる予定である。

 山崎郁子著『中医営養学』(第一出版)の“枇杷”をみてみよう。

 性味=涼、甘酸
 帰経=肺、脾経
 効用=肺を潤し、咳をとめ、気を下降させて口渇をいやす。胃の調子をととのえて水液の分泌を増す。

 さらに鈴木昶著『薬草歳時記』(青蛙房)には以下の記述がある。

 <江戸のころ、天秤棒で荷を肩にした枇杷葉湯(びわようとう)売りが、夏の町を流し歩いたという。それは渇(かわき)をいやすだけでなく、暑気あたり、下痢止めの薬でもあった。枇杷葉に肉桂や甘草など七味を加えて煎じたのが枇杷葉湯で、それは京や浪花から江戸に伝えられたとか。夏を告げる風物詩でもあったのだろう。>

 昔から「屋敷内に枇杷の木を植えるものではない」と言われてきたが、理由は定かでない。おばさんは「枇杷は水がわり」と言って、のどの渇きを癒す。水分が多く、甘味たっぷりだから、5~6個食べれば十分。昔の俗諺に惑わされず、庭木に一本植えておくのもいいかも知れない。

 『薬草歳時記』には別の薬効も記載されている。

 <漢方でいまも枇杷葉を配合している処方に辛夷清肺湯がある。この処方は枇杷葉のほかに石膏、麦門冬(ばくもんどう)、辛夷(こぶし)、百合など九味から構成し、効能は慢性鼻炎、蓄膿症など、とくに蓄膿症は治りにくく、鼻汁が喉にまわると咳が多くなり、気管支炎も併発する。漢方ではたとえ耳鼻科の疾患でも腹部の診察も行なう。これは全身の症状や体質を考えて処方するからだ。

 ところで枇杷の産地では、薬用酒づくりが盛んだという。焼酎1.8リットルに対して小粒で新鮮な枇杷の実1キロ、砂糖200グラムを加えて密閉するだけ。三ヶ月後から飲めるが、半年以上経た方が香気も風味もいい。中味は半年後に引き上げる。枇杷の果肉にはブドウ糖や蔗糖のほか、リンゴ酸、クエン酸、ビタミンC、ミネラルも含まれており、疲労回復、食欲増進、不眠などに効く。枇杷酒はストレートで飲んでも甘酸っぱい香りがあっておいしいが、洋酒とカクテルにしてもいいだろう。>

 おばさんは知人から「薬にするから枇杷の種をとっといてくれ」と頼まれたらしいが、種が何の薬になるのか聞いていないという。また、ここらでは「枇杷灸」を使っている人がいる。現物を見たことはないが、一種の「温灸」らしい。上に紹介されている「枇杷酒」については知らなかった。早速おばさんにも教えて完熟の枇杷で作ってみることにしよう。


 


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1 コメント

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びわの実効果で 聞きたくて… (まるちゃん)
2009-06-22 19:55:46
今年 始めて びわの実を 沢山 貰いました〓
びわの実 美味しいですね〓

だけど 何か トイレに行く 回数が 増えた ような きがするんです

そういう事も ありですか〓
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