梅雨に入ったというのに、今年は雨が少ない。借りた畑の周囲に色づいて実をたわわにつけた“枇杷の木”が数本ある。腰の曲がった地主のおばさんが収穫がままならず、私に頼りきりである。近くの木は大抵採り尽くし、ちょっと離れた本家の裏にある大木はまだ手つかずのままだった。昨日、おばさんと二人でこの大木から今にも落ちそうに熟した“枇杷”を買い物籠三杯採った。
大木だから木に登って採るしかないが、じかにもぎとることはとても難しい。そこで、枝下ろすをするのである。枝をばっさり切り落としては、熟した実が剥がれ落ちてしまうから、切り落とす枝の伐り口付近にロープの一端を巻きつけ、他の一端を伐り残しの部分に結わえる。こうした前準備のあとゆっくり鋸を入れ、枝が宙吊り状態になるようにするのである。下から届くのを採った後ロープを解いて枝を下ろす。一本の枝で大方籠一杯収穫できる。今がいちばんの食べ時で、まだ随分残っているので、今日、最後の収穫にかかる予定である。
山崎郁子著『中医営養学』(第一出版)の“枇杷”をみてみよう。
性味=涼、甘酸
帰経=肺、脾経
効用=肺を潤し、咳をとめ、気を下降させて口渇をいやす。胃の調子をととのえて水液の分泌を増す。
さらに鈴木昶著『薬草歳時記』(青蛙房)には以下の記述がある。
<江戸のころ、天秤棒で荷を肩にした枇杷葉湯(びわようとう)売りが、夏の町を流し歩いたという。それは渇(かわき)をいやすだけでなく、暑気あたり、下痢止めの薬でもあった。枇杷葉に肉桂や甘草など七味を加えて煎じたのが枇杷葉湯で、それは京や浪花から江戸に伝えられたとか。夏を告げる風物詩でもあったのだろう。>
昔から「屋敷内に枇杷の木を植えるものではない」と言われてきたが、理由は定かでない。おばさんは「枇杷は水がわり」と言って、のどの渇きを癒す。水分が多く、甘味たっぷりだから、5~6個食べれば十分。昔の俗諺に惑わされず、庭木に一本植えておくのもいいかも知れない。
『薬草歳時記』には別の薬効も記載されている。
<漢方でいまも枇杷葉を配合している処方に辛夷清肺湯がある。この処方は枇杷葉のほかに石膏、麦門冬(ばくもんどう)、辛夷(こぶし)、百合など九味から構成し、効能は慢性鼻炎、蓄膿症など、とくに蓄膿症は治りにくく、鼻汁が喉にまわると咳が多くなり、気管支炎も併発する。漢方ではたとえ耳鼻科の疾患でも腹部の診察も行なう。これは全身の症状や体質を考えて処方するからだ。
ところで枇杷の産地では、薬用酒づくりが盛んだという。焼酎1.8リットルに対して小粒で新鮮な枇杷の実1キロ、砂糖200グラムを加えて密閉するだけ。三ヶ月後から飲めるが、半年以上経た方が香気も風味もいい。中味は半年後に引き上げる。枇杷の果肉にはブドウ糖や蔗糖のほか、リンゴ酸、クエン酸、ビタミンC、ミネラルも含まれており、疲労回復、食欲増進、不眠などに効く。枇杷酒はストレートで飲んでも甘酸っぱい香りがあっておいしいが、洋酒とカクテルにしてもいいだろう。>
おばさんは知人から「薬にするから枇杷の種をとっといてくれ」と頼まれたらしいが、種が何の薬になるのか聞いていないという。また、ここらでは「枇杷灸」を使っている人がいる。現物を見たことはないが、一種の「温灸」らしい。上に紹介されている「枇杷酒」については知らなかった。早速おばさんにも教えて完熟の枇杷で作ってみることにしよう。
大木だから木に登って採るしかないが、じかにもぎとることはとても難しい。そこで、枝下ろすをするのである。枝をばっさり切り落としては、熟した実が剥がれ落ちてしまうから、切り落とす枝の伐り口付近にロープの一端を巻きつけ、他の一端を伐り残しの部分に結わえる。こうした前準備のあとゆっくり鋸を入れ、枝が宙吊り状態になるようにするのである。下から届くのを採った後ロープを解いて枝を下ろす。一本の枝で大方籠一杯収穫できる。今がいちばんの食べ時で、まだ随分残っているので、今日、最後の収穫にかかる予定である。
山崎郁子著『中医営養学』(第一出版)の“枇杷”をみてみよう。
性味=涼、甘酸
帰経=肺、脾経
効用=肺を潤し、咳をとめ、気を下降させて口渇をいやす。胃の調子をととのえて水液の分泌を増す。
さらに鈴木昶著『薬草歳時記』(青蛙房)には以下の記述がある。
<江戸のころ、天秤棒で荷を肩にした枇杷葉湯(びわようとう)売りが、夏の町を流し歩いたという。それは渇(かわき)をいやすだけでなく、暑気あたり、下痢止めの薬でもあった。枇杷葉に肉桂や甘草など七味を加えて煎じたのが枇杷葉湯で、それは京や浪花から江戸に伝えられたとか。夏を告げる風物詩でもあったのだろう。>
昔から「屋敷内に枇杷の木を植えるものではない」と言われてきたが、理由は定かでない。おばさんは「枇杷は水がわり」と言って、のどの渇きを癒す。水分が多く、甘味たっぷりだから、5~6個食べれば十分。昔の俗諺に惑わされず、庭木に一本植えておくのもいいかも知れない。
『薬草歳時記』には別の薬効も記載されている。
<漢方でいまも枇杷葉を配合している処方に辛夷清肺湯がある。この処方は枇杷葉のほかに石膏、麦門冬(ばくもんどう)、辛夷(こぶし)、百合など九味から構成し、効能は慢性鼻炎、蓄膿症など、とくに蓄膿症は治りにくく、鼻汁が喉にまわると咳が多くなり、気管支炎も併発する。漢方ではたとえ耳鼻科の疾患でも腹部の診察も行なう。これは全身の症状や体質を考えて処方するからだ。
ところで枇杷の産地では、薬用酒づくりが盛んだという。焼酎1.8リットルに対して小粒で新鮮な枇杷の実1キロ、砂糖200グラムを加えて密閉するだけ。三ヶ月後から飲めるが、半年以上経た方が香気も風味もいい。中味は半年後に引き上げる。枇杷の果肉にはブドウ糖や蔗糖のほか、リンゴ酸、クエン酸、ビタミンC、ミネラルも含まれており、疲労回復、食欲増進、不眠などに効く。枇杷酒はストレートで飲んでも甘酸っぱい香りがあっておいしいが、洋酒とカクテルにしてもいいだろう。>
おばさんは知人から「薬にするから枇杷の種をとっといてくれ」と頼まれたらしいが、種が何の薬になるのか聞いていないという。また、ここらでは「枇杷灸」を使っている人がいる。現物を見たことはないが、一種の「温灸」らしい。上に紹介されている「枇杷酒」については知らなかった。早速おばさんにも教えて完熟の枇杷で作ってみることにしよう。
びわの実 美味しいですね〓
だけど 何か トイレに行く 回数が 増えた ような きがするんです
そういう事も ありですか〓