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JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

映画 「砂の女」

2007-08-27 | 映画(DVD)
中学生の頃から岸田今日子おばさまを贔屓にしていた身としてはこの作品を見ておかないわけにはまいりません。

昨年亡くなられた岸田今日子さんを偲んで・・・

「砂の女」1964年東宝 監督:勅使河原宏 原作・脚本:安部公房

世界各国で翻訳された安部公房の小説の忠実な映画化。
安部公房の不思議で不条理、SFチックな作風に曳かれ10代の頃に何冊か読んでいたが、文章の裏にいかに社会だとか女性だとかの考えが見え隠れする様にちょっと辟易して遠ざかった。今回、映画を見てもう一度何か読んでみたいと思った。

昆虫採取に砂丘を訪れた男。砂に生息する虫を集めるのが専門。
蟻地獄をいたぶっていると・・・
砂丘で終バスを逃した男が村人の配慮で砂の底の未亡人が棲む家に泊めてもらうが、そこは砂に対する概念も通常の常識とちょっと違っていて・・・
さぁ、「貴方の目は貴方の身体を離れて・・・」なんて石坂浩二が言い出しそうなミステリー・ゾーンの世界。

この時代に邦画でこれほどまでのミステリー映画があったのか。
安部公房の世界を再現してみせるのはモノクロ画像の美しさ。砂丘の砂紋の美しさ、恐ろしさ、(特に砂の動的な映像は圧巻)水の表現。渇きの表現。加えて武満徹の現代音楽が決まる。
そして何と言っても岸田今日子。
濡れ場では砂と汗でぞくぞくする妖艶さを見せる。反面日常生活では色気とは縁のないそぶりで淡々として(砂かきの時の「アイヨッ!」の掛け声が一層不気味)
泥とか砂とかを使った性表現、男は大好きで古今東西数あれど、中でもこの作品は秀逸。
また、常に砂と汗にまみれて暮らしているのかと思うと、突然、きれいさっぱり美しく佇む岸田今日子が恐ろしい。
「砂が無ければ、私なんかどうせ誰にもかまっちゃもらえないんだから・・・」

最近流行りの監禁者でもあるが女が蟻地獄のような家で男を監禁する。実際は村人が2人を監禁している差別社会なんだけど。

脱出が可能になった時には敢えて脱出する気も失せて・・・

後半ちょっとダレたけれど傑作には違いない。

タイトルバックは粟津潔。出演、スタッフ名に印鑑をあしらったのはこの原作の一つのテーマとあいまってグッドアイデアだ。

8月25日
京橋 フィルムセンター

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1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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PCが壊れました (こーじ)
2007-08-28 22:43:09
 先日ブックマークのお願いをしましたが、こーじ苑にも書きました通りPCが壊れまして更新を一時できません。
 新たに購入してつなぎができたら改めて行いますので悪しからず、ご了承ください。
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