ロードマップを提示してきた「デックソン(悪ガキ)派」の切り崩しに備えて、強固な防御態勢を固めることにした。
写真は、その要塞である。
というのは真っ赤な嘘で、これは宿の玄関である。
老夫婦で管理を行っているせいか、彼らは夕方6時前になると重い鉄の扉を閉めてごつい錠前をかけてしまう。
外に出るときは、いちいち重い鎖を持ち上げてロックを解除し、また元に戻し、帰ってきたらまた同じことをせねばならぬので、面倒なことこの上ない。
外出するたびにひとりでぶつくさ文句を言っていたのであるが、昨夜はこの厳重な戸締まりに救われることになった。
*
今朝起きると、部屋の鍵が見つからないのだ。
いつもはテーブルの上に乗せているので、別の場所に置くことは考えらない。
重い錠前を開けているときにでも、うっかり落としたのだろうか?
しかし、それなら部屋のドアは開けられなかったはずだ。
あわてて外に出ようとすると、なんとドアの外側のノブに鍵がぶらさがっている。
あちゃーっ。
昨夜、部屋を開けたときに鍵を抜くのを忘れていたらしい。
酔っていたわけでもないから、きっと考え事でもしていたのだろう。
ドアは2重ロックになっているとはいえ、悪意の侵入者でもいたら危ないところだった。
*
ロードマップに関する協議のため、ラーに電話をかけた。
「明日、チェンマイに来るか?」
「え、行ってもいいの?」
「だって、もうすぐ誕生日だろう?」
「うん、分かった。明日、行く。・・・でも、チェンマイには何日いるの?」
「それは、話し合い次第だ」
「一緒にオムコイに戻るんでしょ?」
「それも、話し合い次第」
「うーん。でもね、このところ毎日お客さんがいっぱい来てくれるの。だから、店は閉めたくないんだ」
「ふーん、そうか。それはいいことだ」
以前はなにかといえば店を閉めたがっていたのに、変われば変わるもんだ。
「でも、スープ用の薬草がそろそろ切れるし、オムコイで買う麺は質が悪い。やっぱり、チェンマイに行って仕入れようかな。うーん、でも店は閉めたくない。どうしたらいい?」
「じゃあ、とりあえず専門店に電話してバスで送ってもらったらどうだ?」
「クンターが支払いに行ってくれるの?」
「ああ、仕方ないだろう」
「ありがとう!じゃあ、すぐに電話で注文するね」
やれやれ。
*
支払いを済ませて、定宿に顔を出した。
主人のウイさんが、ニコニコして出迎えてくれる。
「3日前にもここに電話があったけど、『クンターは元気だから、心配ない。すべてはあんた次第だ。とにかく余計なことは考えずに、クッティアオ屋の仕事に打ち込め。あんたが変われば、クンターは必ずオムコイに戻ると思うよ』って言っておいた」
「迷惑かけて、すまんなあ」
「お互いさまだよ」
*
宿に戻ると、すぐに電話がかかってきた。
「クンター、ありがとう。品物は、午後2時のバスに乗せてくれるって」
「まずは、ひと安心だな」
「じゃあ、明日チェンマイでね」
「え、チェンマイに来るのか?」
「だって、クンターが行ってもいいって言ったんだよ」
「店は?」
「へへ、姪っ子と甥っ子をしっかり教育したから、2日くらいだったら任せても平気だよ」
「まったく。俺はお前さんが店に残ると思ったから、バスで送ってもらえって言ったんだぞ」
「クンタ~、あたしは変わったんだから。お願い、その目で確かめて。ね、ね」
「・・・」
どうやら、謀られたようだ。
敵の奸計に、強固かと思われた要塞はもろくも崩れ去りそうな気配。
*
でも、今日は子供の日だ。
「デックソン(悪ガキ)」に塩ならぬ飴を送るのも、やむを得ないか。
タイでは、国王戴冠60周年記念のめでたい日でもあることだし。
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お会いになっても冷たく接しられますか?
40年前に私もこのようなことがあったような記憶が。。。
こちらは藤が満開です。
自分の事を本当に思ってくれる人って
死ぬまでに何人かしかいないと思いますよ。
読んでてホント楽しいなあーーって感じます。
写真,外界は日が燦々とし,内側は薄暗く,暗示的な気がします.考えすぎ?
ラーさんは日本女性より慎ましく感じます
元気で良い奥様ですね
HAPPY BIRTHDAY!!
ラーさんに『お誕生日おめでとうございま~す!(^o^)』ってお伝え下さいね!
久々に会うラーさんはクンターさんの眼にはどう映ったんでしょうね...。
ご心配をおかけしました。
「戦況」は、本日の記事にて。