【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【家出終結】

2010年05月07日 | チェンマイに潜む

 今朝、ラーは5時に目を覚ました。

 完全な“村時間”である。

 カーテンを開けると、鳩が一斉に飛び立つ。

 彼女は、昨日からしきりにこの鳩の群れを気にしている。

 糞が臭いし、鳥インフルエンザが怖いというのである。

 まだ寝足りないが、仕方がない。

 シャワーを浴び、Youtubeでジョン・レノンやイーグルスを聴きながら荷造りを始めた。

 ほぼひと月世話になった『KENTゲストハウス』を出て、定宿に移ることにしたのである。

      *

 昨日は、11時前にミニバンの停車場に迎えに行った。

 クルマを降りたラーが、道路をはさんで待っている私に気がつき、手を振ってきた。

 心なしか、ほっそりとしたように見える。

 助手席に乗り込んでも、うつむいて何も言わない。

 照れているようだ。

 朝の7時に電話をかけてきて、プロパンガスのことで大騒ぎしたばかりなのに、今さら照れることもあるまいに。

「朝飯食ったのか?」

「ううん、プロパン屋が3軒とも古いボンベを交換してくれなかったから、頭にきて食べそこなっちゃった」

「2本ともガス切れか?」

「ううん、もう少しで切れそうだったから念のためと思って。でも、炭もあるから大丈夫だよ」

 ラーお気に入りのカオマンガイ(蒸し鶏ご飯)をテイクアウトして、定宿のタイウエイゲストハウスに向かった。

 今回の騒ぎでみんなに迷惑をかけたので、挨拶したいと言うのだ。

 同宿のKさんなどは、ラーに泣きつかれて一緒に私を捜しまわってくれたのだという。

 いやはや。

    *

 昼過ぎに、宿に戻った。

 部屋に入ると、泣きながら抱きついてきた。

「バカ、バカ、バカ・・・。あたし、怒ってるんだから」

「間違えるな、怒ってるのは俺なんだからな。だから、お前さんはここへきたんだろう?」

「・・・うん、そうだったね。ごめんなさい」

 泣き笑いになった。

 これ以上、もう、何も言う必要はない。

     *

 夜になって、再びタイウエイゲストハウスへ。

 やっぱり、ここが一番落ち着く。

 普段は飲まないKさんが、ビールに付き合ってくれた。

 ラーは、一滴も飲まなかった。

 今のところは、コントロールできているようだ。

 またまた、私の捜索活動の話になった。

「結局、どこにも逃げられないということですかね」

 Kさんが、笑う。

「せっかく、いい宿を見つけたのにね。今度家出するときは、整形手術してあの宿に逃げ込むかなあ」

「だったら、あたしも整形してクンターを見つけにいくよ。そうすれば、絶対に逃げられないでしょ?」

 莫迦な話に大笑いしているうちに、ついつい飲み過ぎてしまった。

     *

 今朝8時前に宿を移ってからも、同宿の面々とずっと駄弁りっ放しだ。

 おかげで、イミグレへの「90日以上滞在届け出」を忘れるところだった。

 あぶない、あぶない。

     *

 さて、今日はラーの誕生日だ。

 今夜は、宿の台所を借りて鶏鍋を作ると張り切っている。

 たぶん、明日はオムコイに帰ることになるだろう。

*写真は、チェンマイ門壕をおおう火焔樹。乾季の暑さもピークである。
 

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3 コメント

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ラーさん、クンターさん (鈴木ซูซูกิ)
2010-05-07 18:31:54
สุขสันต์วันเกิดครับ

รักษาสุขภาพนะครับ

ฝันดีนะครับ
返信する
おめでとうございます。 (案山子。)
2010-05-07 20:06:29
昨日まで嫁とシーロムにいました。
ものものしい厳戒体制でARMYの多い事。
歩道に有刺鉄線もちょこちょこ張ってありました。が...タイ人は普通に出勤、屋台と普段と変わらぬ生活を送っておりましたヨ。
けれど流石に日本人、ファランの数は少ない様に思いました。
ところで、ラー様は相変わらず可愛いではありませんか^^。
うちの嫁もわがままで困っております(泣)。

返信する
年輪 (バンコクジジイ)
2010-05-07 21:03:44
こうして夫婦の年輪がふえていくんでしょうね。
あちこちに節を抱えていつの間にか大きな木になって。
節が有る木は強いんですよね。
返信する

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