【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【頭痛のタネ】

2009年08月08日 | アジア回帰
 わが家のふとんは、やはり寝心地がいい。

 昨夜は、豆乳と揚げパンのみを食して午後7時に「おやすみなさい」を言ったから、およそ12時間もふとんの中で過ごしたことになる。

 ちなみに、ラーは私の風邪をおそれ、焚き火が燃え盛る炉端で犬たちと一緒に眠った。

 低気圧でも通過しているのか、ときおり家を根こそぎ持っていきそうな突風が吹いて、わが村はとても寒い。

 だが、私は目覚めるたびに、汗びっしょりだ。

 バスタオルでごしごしと体をこすり、下着を着替えてから、薬草茶で水分を補給する。

 それを何度も繰り返したから、おそらく眠ったのは10時間足らずだろう。

       *

「日本人は、薬を飲んだあとにぐっすり眠ることで風邪を治す。だから、自然に目覚めるまでは絶対に起こさないでくれ」

 そう何度言い含めても、ラーは放っておいてくれない。

「クンター、大丈夫?」
「・・・」
「どこが痛い?」
「・・・」
「薬飲んだ?」
「・・・」
「病院に行ったほうがいいんじゃない」
「・・・」
「薬草茶が沸いたよ」
「・・・」
「それとも、蜂蜜レモンがいい?」
「・・・」
「ご飯、食べられる?」
「・・・」
「タイガーバーム、塗ろうか?」
「・・・」
「そうだ、マッサージしてあげよう!
「・・・うるさい」
「え?」
「うるさい!」

 まあ、最後のマッサージはありがたいが、結局眠ってはいられなくなる。

 今朝は 熱も咳もなく、頭痛も消えた。

 ただ、体全体がだるく、頭がぼんやりして、“なんとなく風邪”という状態である。

 薬草茶とオレンジジュースを飲み、3男のポーが焼いてくれた目玉焼きを食パンにはさんで食す。

 こういう状態のとき、思い切って体を動かすという手もあるのだけれど、今回はなぜか、自分でも把握できない“おかしな感じ”が残っている。

 そこで、慎重を期して、今日も“休養日”と決めた。

        *

 ここ2日間は立場が逆転して、病み上がりのラーが私を看護する羽目になってしまった。

 まだまともな食事はとれず、疲れやすい感じだが、持ち前の大声は復活し、なんだかんだと動き回っている。

「ねえ、クンター。甥っ子のジョーが、生まれたばかりの牛の赤ちゃんを見て欲しいって言ってるんだけど。今日は次姉の田んぼのそばにいるから、そう遠くもないし、一緒に行ってみない?」

「・・・だから、俺は今日は休むって言っただろう」

「あ、そうか。じゃあ、あたしひとりで行ってもいい?」

「いいけど、体は大丈夫なのか?」

「ちょっと疲れる感じだけど、少しは運動した方がいいって医者も言ってたから」

「ああ、じゃあ無理しない程度にな」

 薬を飲んでふとんに横になると、なんだかごそごそとうるさい。

 起き出してみると、なんと腰に魚籠をつけているではないか。

「こら!魚捕りにいくつもりか?」

「違うよ。姉の田んぼで水抜きをするから、流れ出しにこれを置いておけば自然に魚や蟹が入り込んでくるんだ」

「じゃあ、腰につける必要なんかないじゃないか。また、病院に逆戻りしたいのか?」

「違うって。流れ出しに置いて、ただ眺めてるだけだって」

「戻ってきて、もしも服が濡れていたら、絶対に離婚だからな!」

 ・・・ああ、また頭が痛くなってきた。

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