白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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名人戦七番勝負、開幕!

2019年08月27日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等

<本日の一言>
何かの申し込みの際、職種を記入することがありますよね。
棋士は非常に悩みます。
給与があるから会社員・・・でも、日本棋院は会社ではないし・・・。
かと言って、自営業や自由業と言えるかどうか・・・。
どう書いたところで問題はないでしょうが、つい長考してしまいます。



皆様こんばんは。
本日、第44期名人戦挑戦手合七番勝負が開幕しました!
井山裕太四冠から名人を奪った張栩名人(39)ですが、芝野虎丸挑戦者(19)は対戦成績1勝4敗の難敵です。
今回も必死の思いではないでしょうか。
さて、それでは早速振り返っていきましょう。

1図(実戦)
張栩名人の黒番です。
白△に対して、黒Aなどと右辺一帯を広げていくのが普通の棋士の感覚でしょうが・・・。



2図(実戦)
黒1と大股に広げ、あえて白2の侵入を許しました。
黒9までと右辺をがっちり固め、Aのダメをつながせようとしています。
一点集中を好まない、張栩名人らしい曲線的な打ち方ですね。



3図(実戦)
白△まで、黒×がほぼ動けなくなりました。
白Aとつなぐ必要が無くなっているので、白の捌きが成功したと思います。
形勢も白有利でしょう。



4図(打ち掛け局面)
黒△と打ったところで打ち掛けとなりました。
次の白の手が封じ手です。

下辺白を助けるなら白Aですが、周囲が黒石ばかりの所で戦う気はしません。
となると、白Bのハネ出しから小さく捨てにいくか?
それとも、白Cの切りから黒×を取り込んで、中央を大きくする狙いでいくか?
どちらも魅力的ですが・・・。



5図(封じ手予想)
封じ手予想は白△にします。
こちらの方が先の展開を読みやすく、形勢の良い白が選びたくなる道ではないでしょうか。


それにしても、進行が比較的早いとは言え、思ったほどではありませんでしたね。
早打ちの張栩名人と、さらに早い芝野挑戦者の戦いなので、1日目でヨセに入ってもおかしくないかと思っていましたが・・・(笑)。
19歳の芝野挑戦者は、初めての2日制の碁を楽しんでいるのかもしれませんね。

明日は再開直後から勝負所を迎えそうです。
お楽しみに!



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