白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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棋士紹介第5回・上野愛咲美女流棋聖

2019年02月10日 23時59分59秒 | 棋士紹介
<本日の一言>
最近、飲食店での不適切行為が多発していますね。
すると管理体制が悪い、教育が足りないといった話になりますが・・・。
しかし、人が内心で何を考えているかなんて分からないし、コントロールもできないと思いますね。
</本日の一言>

皆様こんばんは。
本日も棋士紹介コーナーです。

<上野愛咲美女流棋聖(公式プロフィール)

平成13年(2001年)10月26日生まれの17歳です。
昨年は謝依旻六段から女流棋聖を奪い、今年は藤沢里菜女流三冠の挑戦を退けて2連覇を達成しましたね。

上野女流棋聖の特徴は、なんと言っても戦闘力ですね。
殴り合いの状況には滅法強いです。
力の強い謝六段や藤沢女流三冠とも互角に戦っています。

その一方で、非常に慎重な面もあると思います。
好き勝手やっているようで、危機的状況は上手く避けて通っているように感じるのです。
リスク管理ができているということになりますが、それも天性のものでしょうか?

さて、今回ご紹介するのは2017年3月30日、扇興杯本戦1回戦での謝依旻扇興杯(当時)との対局です。



1図(実戦)
謝扇興杯の黒番です。
黒1と構えたところに、上野初段(当時)は白2から入っていきました。
この時点で「おや?」と思いますね。
お荷物を作っただけのように見えてしまいます。
と思っていたら、この後・・・。





2図(実戦)
またしても白1と入っていきました!
黒4と分断され、弱い石が2つに増えています。
白、大丈夫なのでしょうか?





3図(実戦)
極め付けは白1、3です。
黒4と切られ、さらに弱い石が増えました。
弱い石が2つでも心配なのに、3つも作る打ち方は怖くてとても真似できません。

しかし、上野初段はこれで戦えるとみているのです。
その判断の是非はともかく、凄い自信だと思います。





4図(実戦)
結果は、逆に黒×を取って凌いでしまいました。
黒が捨てたという面もあるのですが、なんにしても堂々の凌ぎです。
当時は明らかに格上だった相手に、こんな戦い方ができるとは・・・。

この強心臓も、上野女流棋聖の強みかもしれませんね。
結果は謝扇興杯が勝ちましたが、近い将来の上野女流棋聖の活躍を確信した一局でした。