白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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SGW杯予選その2 向井千瑛-宮崎龍太郎

2022年08月15日 23時59分59秒 | 幽玄の間

皆様こんばんは。
本日はSGW杯予選5枠が行われました。
今回は準決勝の向井千瑛六段(黒)と宮崎龍太郎七段の対局をご紹介します。

1図(実戦)
ここまで白が打ち回しており、明らかに優勢です。
黒はどう挽回するかというところですが、力自慢の向井六段は攻めを選択しました。
黒1で左右を切り離し、黒3~7で下辺にもつながらせません。

この攻めには直接的な得が無く、むしろAやBの弱点が残るマイナスがあります。
リスクの大きい攻め方ですが、躊躇せず行けるのが向井六段ですね。





2図(実戦)
白1、3と進出されて、Aの断点もあれば右上黒も薄いという状況ですが、とりあえず取られはしないということで黒4と切っていきました。
さらに戦線拡大しています。



3図(実戦)
白1の反撃から白9まで、黒×が取られました。
しかし、黒の本当の狙いは下辺ではなく別にあります。
一本黒10と左辺の白にジャブを打っておいて・・・。



4図(実戦)
黒1、3の切り!
黒は最初から右辺白を取りにいくことを考えていたのですね。
この切り方にも全く得がありませんし、白10、12と黒×を抜かれたのは大きなマイナスです。
しかも周囲の黒に薄みが残っており、取れなければその時点で終わってしまいます。
何が何でも取るという凄い気迫です。

実際、黒は全ての障害を乗り越えて白を取りきりました。
それでも勝負は分かりませんでしたが、やはり向井六段の気迫が優ったでしょうか。
結果は黒中押し勝ちとなりました。



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