白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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焼き餅

2016年05月20日 23時59分59秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
明日第3回会津中央病院杯が開幕します。
近代化の波に押され、現在はタイトル戦でも棋士の和服姿はほとんど見られなくなりました。
しかし、この会津中央病院杯は違います。
リンク先に写真がありますが、女流棋士が和服で勢揃い!
和服も碁も日本の伝統文化です。
素晴らしい文化なので、こうしてご支援くださる方が現れるのでしょう。
この文化、いつまでも続いて行って欲しいですね。
なお、対局の模様は日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されます。
対局姿の華やかさと違って、恐らく碁盤の上では・・・(笑)
楽しい時間になると思いますので、皆様ご期待ください!

さて、本日の題材は指導碁です。



黒番です。
どこに目を向けますか?





白地が気になって黒1と入ってしまう・・・こういう方はかなり多いのではないでしょうか。
実戦もこう打たれましたが、白2で苦しくなってしまいました。
左上の白はシマリ、左下白一団は白Aの取りがあり、右下白一団は既に隅で生きています。
相手に弱みが全く無いので、黒が一方的に攻められてしまいます。
右辺黒一団も生きているわけではないので、絡み攻めの危険も出て来ました。







黒1と出て行こうとしても、白2、4と止まってしまいます。
生きるのがやっとの窮屈な形です。




実戦はコウでサバキを求めましたが、やはり苦しい形です。
黒がコウに負けると取られるのに対して、白はコウに負けても痛みを感じません。





少し進んで、白1のコウダテに受けていられず黒2とコウを解消しました。
白3と連打するのに対して「ツケコシ切るべからず」の黒4ですが、白はどうしますか?





白1は失格!
黒2、4と打たれ、1目取るだけで終わってしまいます。





白1の二段バネが手筋です。
白3となって、次に黒Aは白Bで全部取られますから・・・





実戦は黒1、3でしたが、白4で辺の黒石が切断されました。
白Aと打たれると二眼生きに追い込まれるので黒5ですが白6と左辺の攻めに戻り・・・





結果は白18までとなりました。
左辺黒を逃げている間に上辺に膨大な白地が出現、黒大敗となってしまいました。
そもそも黒が左辺に侵入したのが無理でした。
どう打てば良かったでしょうか?




打ち込んでボウシされると困るので、黒1・・・こういう手はプロの碁にもよく出てきます。
白2と受けてくれれば黒5まで、今までの図と違って遥かに黒が楽です。
しかし・・・





白も周囲の石が強いので受ける義理はありません。
白2と反撃されて黒が困ります。
以下白10となって、一方的に黒が攻められています。
右辺の一団との絡み攻めも現実のものとなってきました。





正解は黒1と、無理なく地を稼ぐ手でした。
他にはAやBなども良い手で、こういう手は攻められたりするマイナスが生じません。





白1と上から来れば、黒8まで定型で生き形ができます。





白1なら黒2で、無理なく上辺を黒地にできます。


碁は常に相手と自分を両方見ていなければいけません。
相手の邪魔をする事ばかりを考えていると、それ以上の反撃を食らって困ってしまうことが多々あります。
広い視野を持つ事を心がけましょう。

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