白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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昇段システム

2018年01月28日 23時59分59秒 | 囲碁について(文章中心)
皆様こんばんは。
本日はプロアマ名人戦が行われました。
井山名人に逆コミで挑戦したのは大関稔アマです。
大関さんは学生5タイトルを独占した時期もあり、アマ最強クラスの打ち手ですね。
対局の模様は幽玄の間で中継されましたので、ぜひご覧ください。
流石に迫力のある戦いでした。

さて、本日は日本棋院の昇段制度についてお話ししましょう。
段位については以前も話題にしましたが、今回はシステムそのものがテーマです。
なお、具体的な規定はこちらをご覧ください。

<タイトル獲得等による昇段>
これは分かりやすいですね。
棋聖を取ったら九段、名人リーグに入ったら七段などがあります。
「飛び昇段」もあり、最近では芝野虎丸三段が一気に七段に上がった事例などがありますね。
近年は若手のレベルが上がっており、飛び昇段する棋士も毎年のように現れています。

また、昇段の条件はなるべく平等になるように設定されています。
ですから女流棋戦はもちろん、予選の無いNHK杯などは対象外になっています。
個人的には、NHK杯で優勝したら七段ぐらいにはなって良いと思いますが・・・。
今のところ六段以下でNHK杯優勝した棋士はいないはずですが、近い将来出てくるでしょう。

<通算勝ち星による昇段>
これも比較的分かりやすいですね。
現在の段になってから、既定の勝ち星を挙げれば昇段できるというものです。

対象棋戦についてはちょっと分かり難いところがあるでしょうが、基本的には参加条件が緩やかな公式戦ということになるでしょう。
新人王戦や広島アルミ杯などの若手棋戦も入っていますが、これは誰にでも若い時期はあるということでしょうか。

また、日本棋士が参加可能な国際棋戦は数多く、予選からの勝ち星を認めているとインフレにつながりそうです。
そこで、国際棋戦は本戦のみが対象となっていますね。

また、誤解されがちですが女流棋戦は対象外です。
男性棋士と女流棋士の昇段条件は全くの平等となっています。
これは大手合があった時代から変わっていません。

<賞金ランキングによる昇段>
年に1回、同じ段の中から1年間の賞金ランキング上位者が昇段します。
ここで言う賞金が実際には賞金+対局料を示していることは、昨日お話しした通りです。

ただし、昇段に関しては対象棋戦がかなり限られています。
具体的には七大棋戦のみが対象です。
主な理由として、通算勝ち星は個人が積み重ねるものですが、ランキングの場合は段の中での競争になるということがあります。
ですから、全棋士参加でない、若手棋戦や国際棋戦は対象外になっています。

また、通算勝ち星による昇段と賞金ランキングによる昇段は重複しません。
例えば、2017年3月に五段になった棋士が、2017年の賞金ランキングで五段の中で1位になったとしても、六段にはなれないということです。
時々、「なんであんなに活躍した棋士がランキングに入ってないの?」ということもあるかと思いますが、こういった理由があります。


棋戦で勝ち進めるかどうかにもある程度運が絡みますが、昇段も同様です。
昨年の私の場合は、棋聖戦Cリーグに入れたことに尽きますね。
色々な意味で運にも恵まれたと思います。