白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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王座戦第2局

2018年11月17日 23時29分10秒 | 囲碁界ニュース等
<本日の一言>
本日から広島アルミ杯・若鯉戦本戦が行われています。
2連勝でベスト4に残ったのは富士田明彦六段、安達利昌五段、藤沢里菜四段、小池芳弘三段の4名でした。
リーグ戦に在籍している棋士が何人も敗れており、若手の層が厚くなっていることを感じますね。
棋譜は日本棋院ネット対局幽玄の間で中継されておりますので、明日もぜひご覧ください!
</本日の一言>

皆様こんばんは。
昨日は投稿をお休みしました。
理由は・・・いつも通りです。

さて、本日は王座戦第2局が行われました。
個人的には、過密スケジュールでボロボロになった井山王座の戦いぶりに注目していました。
本局の内容が悪いようだと、次々にタイトルを失いかねませんからね。



1図(実戦)
一力遼挑戦者の黒番です。
黒×と攻めを狙いましたが、井山王座は白×や白△と、反撃する気満々ですね。
いつも通りの井山流です。





2図(実戦)
白△は空き三角の愚形であり、この手で白Aなら好形です。
しかし、石の形は美しければ良いというものではなく、効率も求められます。
白△は形が悪くても1手で白B、Cという2つの狙いを作っているのです。
積極的な棋風の井山王座としては、この一手というところでしょう。





3図(実戦)
白△とぶつかった場面です。
現状、黒×が取られており、黒〇も直ちに危なくなることは無いとは言え、まだ生きていません。
しかし、白も×の大石に眼が無く、白〇も危険です。
一歩間違えればすぐに終わってしまいかねない、大変な難戦になりました。





4図(実戦)
白△と守りましたが、黒AやBのコウ仕掛けの余地が残っており、まだ不完全です。
一方、黒大石の眼形も失われています。
大石同士の攻め合いの可能性すらある、スリリングな状況です。


結果は、井山王座が優位を保って勝ちきりました。
どうやら強い井山が戻ってきましたね。
名人失冠から僅か2週間ですが、井山王座には十分な休養になったようです。
シリーズはますます面白くなるでしょう。