白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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新作予約開始のお知らせ&タイトル戦結果

2017年06月16日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。

大変お待たせいたしました。
この度、新作「やさしく語る 布石の原則」の発売日が決まりました!
こちらから予約もできます。

前作は主に中盤戦を扱いましたが、今回は布石が中心になっています。
前作では「自分の弱い石は守り、相手の弱い石を攻める。中盤で考えることはそれだけで良い」ということをお伝えする本でした。
では、お互いに弱い石が無い時は何を考えて打てば良いのか?
それが今回のテーマです。
発売まで時間がありますので、詳しい内容は追々ご紹介して行きますね。

さて、本日は第72期本因坊戦第4局の2日目が行われました。
封じ手予想はやっぱり外れましたね。
結果は本因坊文裕が勝って4連勝、6連覇を達成しました。

シリーズ全体の傾向として、中盤に入った段階で本因坊がリードしていることが多かったような気がします。
本木克弥挑戦者はハードパンチャーとして知られていますが、不利な戦いを強いられることが多く、力の出しどころが難しかったのではないでしょうか。
本因坊の強さ、好調を感じるシリーズでした。



1図(実戦)
本局のハイライトその1です。
右辺で競り合っている最中ですが、白1が本因坊らしいツケです。
ここから黒の受け方を聞き、場合によっては強く戦い、場合によっては白△を捨てて打つという、変幻自在な発想です。
このあたりから白の優位が形となって表れ始めた印象です。





2図(実戦)
ハイライトその2です。
黒1と打ってAの切りを狙いましたが、白2と反撃!
これも本因坊らしい厳しい発想でした。
この後本木八段は決め手を与えず粘りましたが、ついに本因坊の隙を見出すことはできませんでした。


また、本日は第4回会津中央病院・女流立葵杯の決勝第1局も行われました。
シリーズを制した方が女流3冠、負けた方が2冠になる頂上決戦は、まずは藤沢里菜女流二冠が先勝しました。
実力伯仲の両者の戦いは、大変白熱した1局となりました。



1図(実戦)
ハイライトその1です。
藤沢女流二冠が黒1と右辺白を封鎖したのにも関わらず、構わず白2の仕掛け!
黒Aと打たれて右辺白がますます危険になりますが、外側の黒の方が薄いでしょう、と言っているのです。
謝女流三冠らしい、強気の発想でしたね。
ここから白が上手く立ち回り、優勢を築きました。





2図(実戦)
ハイライトその2です。
白1、白3と黒△一団にプレッシャーをかけたのに対し、構わず黒2、4!
勝負師・藤沢の面目躍如と言ったところでしょうか。
形勢不利を意識しての頑張りだと思いますが、それにしても度胸満点ですね。
この後白Aと打たれてピンチのようですが、黒Bから反撃してなんとかなるとみているのです。
結果的には、逆に白を取って凌いでしまいました。


明日明後日は立葵杯決勝第2局が行われます。
本因坊戦同様、幽玄の間などで中継されますので、ぜひご覧ください。