白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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2年目のジンクス(後)

2020年01月04日 23時59分59秒 | 囲碁について(文章中心)

<本日の一言>
レバノンの動向に注目していたら、イランやイラクの情勢が緊迫してきましたね。
戦争は無いだろうと思いますが、世の中は誰も予想しないことが起こりますからね・・・。
果たしてどうなるでしょうか。



皆様こんばんは。
本日は昨日の続きとして、実際のトーナメント表を見ながらお話ししたいと思います。
例として、昨年17勝7敗の好成績を上げた仲邑菫初段(10)に注目してみましょう。

<棋聖戦>

こちらは昨年10月から始まった第45期棋聖戦予選のトーナメント表です。
棋聖戦予選はどこで負けても、次期は一番下からのスタートです(抽選次第では2回戦からですが)。
しかし、仲邑初段は高木淳平二段、馬場滋九段、髙津昌昭初段に勝っており、今年はその続きで準決勝から打つことになります。
その相手は岩丸平六段です。
もしその対局に勝つと、決勝では広江博之九段と佐田篤史四段の勝者と対局します。
準決勝も決勝にしろ、仲邑初段にとって格上と言って良い相手と当たることになるでしょう。

<名人戦>



こちらは昨年11月に始まった第46期名人戦予選のトーナメント表です。
仲邑初段は予選Cの1回戦で山田和貴雄七段に勝っただけなので、今年はその続きで2回戦を打つことになります。

ちなみに、右下に見えている長徳初段ですが、第45期では予選Cスタートながら予選Aまで進出しています。
しかし、予選Aの1回戦で岩丸平六段に敗れたため、今期は予選Bスタートというわけですね。

<本因坊戦>



昨年9月から行われている、第76期本因坊戦予選のトーナメント表です。
仲邑菫初段は山本賢太郎五段、高林正宏七段、宇谷俊太二段に勝っており、今年は予選Bの決勝から打つことになります。
ちなみに、相手の羽根泰正九段は羽根彩夏初段のおじいちゃんです。
血眼になって孫の敵を取りにくることでしょう(笑)。
このおじいちゃんは王座経験者ということで、楽しみな一局ですね。

<王座戦>
第68期王座戦は、昨年2月15日に抽選が行われました。
入段前ということで、仲邑初段は参加していません。
現在の棋戦システムになって以降、新入段者がその年のうちに昇段することは稀ですが、参加できる棋戦の数が少ないので当然ですね。
仲邑初段は第69期の予選Cからスタートすることになります。

<天元戦>
第46期天元戦も、抽選日が昨年3月13日のため参加していません。
今年は第47期の予選Cスタートです。

<碁聖戦>
第46期碁聖戦は、昨年12月6日に抽選が行われました。
まだ対局はしていませんが、予選C1回戦で梁川裕政七段と対局することが決まっています。

<十段戦>
第59期十段戦は、昨年7月15日に抽選が行われました。
仲邑初段は古田直義四段、山田至宝七段、種村小百合二段に勝って予選Bに進出しましたが、1回戦で小松大樹三段に敗れたため、第60期は予選Cスタートとなります。

<阿含・桐山杯>
第26期阿含・桐山杯は昨年1月18日抽選のため、不参加でした。
第27期は予選Cスタートです。

<新人王戦>
第45期新人王戦は、昨年10月17日に抽選が行われました。
1回戦で高雄茉莉初段に勝ちましたが、決勝で牛栄子二段に敗れています。
新人王戦は賞金ランキングによる本戦シードがありますが、そこに入っていなければ第46期はまた予選からですね。

王冠戦
中部総本部棋士のための棋戦なので、仲邑初段は対象外です。
念のため・・・。

<竜星戦>
第29期竜星戦は昨年4月1日に抽選が行われました。
例年より1ヶ月以上早いのですが、ぎりぎり新初段の名前が入るタイミングですね。
初戦となる予選Bで大森らん初段に敗れたため、第30期も予選Bスタートです。

<広島アルミ杯・若鯉戦>
第14回広島アルミ杯・若鯉戦は昨年7月18日に抽選が行われました。
1回戦で羽根彩夏初段に勝ち、準決勝で宮本千春初段に敗れています。
優勝者以外はシード権が全く無い棋戦なので、皆予選からのスタートです。

<女流本因坊戦>
第39期女流本因坊戦は、昨年9月20日に抽選が行われました。
1回戦で佃亜紀子五段に敗れています。
シード権は前期本戦ベスト4か女流タイトルホルダーとなっており、ほとんどの棋士は毎回予選からですね。

<会津中央病院・女流立葵杯>
第7期会津中央病院・女流立葵杯は、昨年9月14日に抽選が行われました。
田村千明三段と羽根彩夏初段に勝っており、今年は3回戦スタートとなります。
予選は4回戦ありますが、シード権者以外はどこで負けても次期は1回戦スタートとなります。

<女流名人戦>
第31期女流名人戦は、昨年3月20日に抽選が行われました。
よって新初段は不参加であり、仲邑初段は第32期から参加・・・と言いたいところですが、休止になってしまいましたね。

<ドコモ杯女流棋聖戦>
第23期女流棋聖戦は、昨年5月31日に抽選が行われました。
田中智恵子四段と金賢貞に勝って本戦に進出しましたが、万波奈穂三段に敗れています。
第24期は予選Aからのスタートです。

<扇興杯女流最強戦>
第5回扇興杯女流最強戦は、昨年10月29日に抽選が行われました。
1回戦で多冨佳絵三段に勝ち、2回戦では小野綾子初段と対局します。
予選は全3回戦であり、シード権者以外はどこで負けても予選1回戦からとなります。

第1回博多・カマチ杯
できたばかりの棋戦なので、今後方式が変わる可能性があるかもしれませんが、少なくとも今回の予選は3回戦で行われます。
1回戦の相手は宮本千春初段に決まっています。

<グロービス杯世界囲碁U-20>
第6期グロービス杯予選は、2018年12月18日抽選のため不参加です。
今年行われる第7期では、1回戦で大須賀聖良初段と対局します。
予選は3回戦行われ、優勝者以外シードはありません。

<夢百合杯>
第4回夢百合杯本戦に招待されて出場しましたが、これは今年のみのイレギュラーでしょう。
来年以降は予選を勝ち抜く必要がありますが、予選は非公式戦扱いなので年間成績には算入されません。

以上が、仲邑初段に関わると思われる公式戦です。
女流棋士ということもあって、なかなか数が多いですね。
まとめますと、今年の棋戦は

棋聖戦・・・予選準決勝進出中
名人戦・・・予選C1回戦に勝ち、次は2回戦
本因坊戦・・・予選B進出中
王座戦・・・初参加
天元戦・・・初参加
碁聖戦・・・初参加
十段戦・・・昨年予選Bで負け、今年は予選Cから
阿含・桐山杯・・・初参加
新人王戦・・・昨年予選決勝で負け、今年は予選から
竜星戦・・・昨年予選Bで負け、今年も予選Bから
広島アルミ杯・若鯉戦・・・昨年予選準決勝で負け、今年も予選から
女流本因坊戦・・・昨年予選で負け、今年も予選から
会津中央病院・女流立葵杯・・・予選3回戦進出中
ドコモ杯女流棋聖戦・・・昨年本戦進出、今年は予選Aから
扇興杯女流最強戦・・・予選2回戦進出中
第1回博多・カマチ杯・・・初参加
グロービス杯世界囲碁U-20・・・初参加

こんな状況ですね。
仲邑初段の場合、スタート地点が上がったというよりも勝ち残っている棋戦が多いですね。
いずれにしても相手が強くなるので、昨年と同じ力では同レベルの勝率を上げることは難しいでしょう。
仲邑初段、今年はどれだけ成長できるでしょうか?

今年は参加棋戦が5つも増えますし、非公式戦も含めればその数はもっと多くなります。
昨年にも増して楽しみな1年になりますね。
もちろん、それは他の新初段にも言えることであり、2年目にどれだけ飛躍できるかに注目しています。
どんどん2年目のジンクスを破っていって欲しいですね。



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