白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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仲邑菫-羽根泰正

2020年01月17日 23時59分59秒 | 幽玄の間

<本日の一言>
阪神・淡路大震災から25年が経ちました。
6434人もの犠牲者が出た大災害でした。
当時から地震対策ができていれば、犠牲者の数はずっと少なかったでしょうね。
決して忘れてはならない教訓だと思います。



皆様こんばんは。
本日は日本棋院ネット対局幽玄の間で中継された、本因坊戦予選の仲邑菫初段(10)-羽根泰正九段(75)戦をご紹介します。
泰正九段の息子は直樹碁聖、その奥さんがしげ子初段、2人の娘が羽根彩夏初段(17)という囲碁一家ですね(さらに、しげ子初段の兄は松岡秀樹九段)。
泰正九段自身も王座の獲得経験がある実力者で、注目の対局でした。


1図(実戦)
仲邑初段の黒番です。
黒1の切りが痛恨のミスでした。
白6とカケられ、黒Aと逃げても白B以下符号順に追いかけられ、捕まってしまいます。
典型的な緩みシチョウですね。

プロには簡単な読みなので、ポカの類でしょう。
ともあれ、ただ白を強化するだけの悪手を打った結果になってしまいました。
私の体感では、数字にして5目近い損です。
はっきり白良しの形勢になったでしょう。




2図(実戦)
そこで、勝負師タイプの仲邑初段は黒1、3と踏み込んでいきました!
このコンビネーションは私には全く思い付きません。
天才的な発想です。

もっとも、善悪で言えば良い打ち方ではないはずで、白8までとなって黒が苦しそうです。
このまま白が押し切るかと思われましたが・・・。


3図(実戦)
黒1~黒13まで、右上白に襲い掛かったのが凄い迫力でしたね。
もちろん取れる石ではありませんが、実は黒Aからの出切りを狙っているのです。
大石を人質に取りながら、左上で事を起こそうと言う大作戦でした。




4図(実戦)
その後、右上との振り替わりとはいえ白×を取り、さらに左辺の白地も荒らす奮闘です。
絶望的に見えた碁でしたが、ようやく光明が差したかと思われました。
黒Aと押さえておけば、良い勝負になっていたのではないでしょうか。

ただ、黒△はちょっと狙いすぎでしたね。
ここから白に巧妙に立ち回られ、地が足りなくなってしまいました。
結果は白5目半勝ちでした。


仲邑初段の次の対局は、1月23日(木)の棋聖戦予選準決勝、相手は岩丸平六段(39)です。
李軒豪七段は別格として、今までの相手の中ではトップクラスの強敵ですね。
どんな戦いを見せてくれるか楽しみです。



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