白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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2目の頭

2017年05月20日 23時53分52秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
本日、は第4回会津中央病院女流立葵杯が開幕しました。
予想通りどの碁も熱戦でしたね。
明日は12時から準決勝が行われますので、ぜひ幽玄の間でご覧ください。
また、13時25分からは囲碁プレミアムで大盤解説会の模様が中継されるようです。

さて、本日は指導碁を題材にします。
6子局の序盤です。



1図(テーマ図)
白△とツケた場面です。
指導碁ではこういう形に持って行くことがよくあります。
相手の方が石の形をどれだけ理解しているか、数手の対応でよく分かるからです。





2図(実戦)
黒1とぶつかり、白2と押さえられました。
こう打たれる方が物凄く多いのです。
私の経験では、級位者なら5割は超えますし、有段者でもこう打たれる方が珍しくありません。

白△に石がある以上、黒1は自ら2目の頭をハネられに行く手なのです。
白2となった時にはじめて気が付き、尻尾の方もハネられないように黒Aなどと守りますが、白Bとなって白を固めただけの結果に終わります。
ツケにブツカリは悪形の代表なのです。
時にプロがこういう手を打つこともありますが、それは特別な理由がある場合だけです。





3図(参考図)
ツケにはハネよ(伸びよ)という訳で、黒1はそう悪くありません。
白2が自然な対応ですが、ここで続けて黒Aとぶつかったのが前図です。
本図の方がはるかに勝ります。

ただこの黒1、正しくは伸びではなく下がりですね。
行き先が盤端ですから・・・。
ツケに下がりというのは少し遠慮した打ち方なので、もう少しのびのびした手を打ちたいものです。
置き碁なので当然ですが、周囲には黒石が多いという好条件もあります。





4図(正解)
黒1のハネが正解です。
白2には黒2と伸び切り、白の根拠を奪いながら次に黒Aの分断を狙います。
今までの図に比べて、いかにも前に進んでいる感じがしませんか?





5図(正解変化)
黒1に白2の引きなら、そこで黒3のブツカリです。
白4と押さえると白が空き三角の愚形になるからです。
そこで黒5と切れば有利な戦いになります。
白は4と押さえずに5と引くのが石の形ですが、それも黒4からの切断が残ります。

2目の頭を自らハネられに行くのは、アマの皆さんの間に常に流行している病気です。
囲碁の上達には石の形を身に付けることが重要ですから、意識して取り組んで頂きたいですね。