皆様こんばんは。
本日、おかげ杯か開幕しました。
幽玄の間では、一力遼おかげ杯対村川大介八段という、優勝候補同士の対局が中継されました。
期通りの大熱戦で、最後は半目勝負に・・・流石ですねぇ。
明日は準決勝が行われます。
果たして誰が優勝するのか、楽しみですね。
私は明日、有楽町囲碁センターで指導碁を行います。
ご都合の合う方はぜひお越しください。
さて、本日はコミの目数について考えてみましょう。
コミの価値というのは、古くから「序盤の一手の価値の半分ぐらい」と考えられて来たと思われます。
黒と白で交互に打つ訳ですから、石数の差は生じませんが、それでも先行の利は大きいのです。
図をご覧ください。
お互いに星を占め合う、所謂9連星の布石です。
最後の黒9が黒の勢力圏を広げつつ、白の勢力圏の広がりを防ぐ絶好点です。
大雑把に言えば赤で囲った所が白の勢力圏、青で囲った所が黒の勢力圏となりますが、黒の勢力圏の方が広いことを確認できるでしょう。
勢力圏がそのまま地になる訳ではありませんが、黒の有利は疑いありませんね。
これは分かり易い例を選んだもので、こういったお互いに大きく構える展開は先番の利が表れやすいと言えます。
しかし、逆にお互い小さく地を囲って行くような碁だと、黒が盤面で大きくリードすることが難しく、コミのある白のペースと言えます。
どちらになるかは、実際の対局での駆け引き次第なので分かりません。
その中間の展開で良い勝負になるのであれば、コミは適正と言えそうです。
しかし、19路盤は交点が361もあります。
最後まで打てば200手超えは当然、300手を超えることすらあります。
これでは、先番の優位と結果をイコールで結び付けることはできません。
お互い道中に多くのミスを犯すからです。
敗因が多過ぎ、コミの多寡もその中に埋もれてしまうのです。
では何で判断しているかと言えば、勘とデータです。
個人で決められるものではありませんから、実際にはデータの方が重視されますね。
コミ〇目で対局した結果黒番、白番の勝率が〇%になった、というのが説得力のあるデータになります。
これに大きな偏りが無ければ、コミは適正と認められる訳です。
公式戦でコミが初めて導入された時は、コミは4目半でした。
この数字は、かなり控えめに設定したと想像できます。
何しろ、江戸時代にもイベント対局でコミ碁が行われることがあり、その対局条件から先番の優位は5目はあると考えられていたことが察せられるからです。
4目半という数字は、当時のコミ碁を打ったことのない世代にも、黒有利と感じられたのではないでしょうか。
しかし、当時はコミを導入すること自体にも反対する棋士が少なくありませんでした。
そこでコミを大きく設定して、もし白の勝率の方が良くなってしまったら、反対の声はさらに大きくなるでしょう。
そこで、まず白有利にはならないであろう数字に設定したと想像しています。
碁はした手が黒、うわ手が白を持つゲームです。
それには黒の方が有利という前提があります。
互先だからといって、その前提を崩してはまずいという考えがあると思います(少なくとも私はそう考えています)。
ただ、実際にコミを4目半に設定した結果は、黒が明らかに有利でした。
初期にはコミ碁の白番の打ち方が洗練されていなかったせいもあるでしょうが、9000局ほど打たれた結果、黒番の勝率が55.8%・・・。
対局が始まる前の、握りの運がこれだけ勝負を左右しては大いに問題です。
コミは5目半に修正されました。
私のアマ時代の大半は、コミ5目半で打っていました。
そういうものだと信じていたので、2002年・・・私が大学に入った年に、プロ棋戦のコミ6目半への変更が発表されたのは衝撃的でした。
当時のアマの反応は、賛否両論だったのではないでしょうか?
私はコミ6目半なら白を持ちたいと思っていました。
しかし、プロ棋戦ではコミ5目半での約86000局の結果、黒番勝率が52.9%だったそうです。
たった2.9%・・・とは言えません。
繰り返しになりますが、対局が始まる前に差が付いてしまうのですから・・・。
とはいえ、一度変更したコミをさらに変更するのは簡単なことではありません。
当時は既に多くの世界戦が開催されており、先にコミを変更していた中国や韓国の後を追う形になりました。
中国や韓国主催の世界戦ではコミ5目半の対局が行われることが無くなったので、そこに合わせたということですね。
今回で終わる予定でしたが、長くなったので続きます。
先におかげ杯の方に触れるかもしれません。
ちなみに、データにつきましてはこちらのページを引用させて頂きました。
本日、おかげ杯か開幕しました。
幽玄の間では、一力遼おかげ杯対村川大介八段という、優勝候補同士の対局が中継されました。
期通りの大熱戦で、最後は半目勝負に・・・流石ですねぇ。
明日は準決勝が行われます。
果たして誰が優勝するのか、楽しみですね。
私は明日、有楽町囲碁センターで指導碁を行います。
ご都合の合う方はぜひお越しください。
さて、本日はコミの目数について考えてみましょう。
コミの価値というのは、古くから「序盤の一手の価値の半分ぐらい」と考えられて来たと思われます。
黒と白で交互に打つ訳ですから、石数の差は生じませんが、それでも先行の利は大きいのです。
図をご覧ください。
お互いに星を占め合う、所謂9連星の布石です。
最後の黒9が黒の勢力圏を広げつつ、白の勢力圏の広がりを防ぐ絶好点です。
大雑把に言えば赤で囲った所が白の勢力圏、青で囲った所が黒の勢力圏となりますが、黒の勢力圏の方が広いことを確認できるでしょう。
勢力圏がそのまま地になる訳ではありませんが、黒の有利は疑いありませんね。
これは分かり易い例を選んだもので、こういったお互いに大きく構える展開は先番の利が表れやすいと言えます。
しかし、逆にお互い小さく地を囲って行くような碁だと、黒が盤面で大きくリードすることが難しく、コミのある白のペースと言えます。
どちらになるかは、実際の対局での駆け引き次第なので分かりません。
その中間の展開で良い勝負になるのであれば、コミは適正と言えそうです。
しかし、19路盤は交点が361もあります。
最後まで打てば200手超えは当然、300手を超えることすらあります。
これでは、先番の優位と結果をイコールで結び付けることはできません。
お互い道中に多くのミスを犯すからです。
敗因が多過ぎ、コミの多寡もその中に埋もれてしまうのです。
では何で判断しているかと言えば、勘とデータです。
個人で決められるものではありませんから、実際にはデータの方が重視されますね。
コミ〇目で対局した結果黒番、白番の勝率が〇%になった、というのが説得力のあるデータになります。
これに大きな偏りが無ければ、コミは適正と認められる訳です。
公式戦でコミが初めて導入された時は、コミは4目半でした。
この数字は、かなり控えめに設定したと想像できます。
何しろ、江戸時代にもイベント対局でコミ碁が行われることがあり、その対局条件から先番の優位は5目はあると考えられていたことが察せられるからです。
4目半という数字は、当時のコミ碁を打ったことのない世代にも、黒有利と感じられたのではないでしょうか。
しかし、当時はコミを導入すること自体にも反対する棋士が少なくありませんでした。
そこでコミを大きく設定して、もし白の勝率の方が良くなってしまったら、反対の声はさらに大きくなるでしょう。
そこで、まず白有利にはならないであろう数字に設定したと想像しています。
碁はした手が黒、うわ手が白を持つゲームです。
それには黒の方が有利という前提があります。
互先だからといって、その前提を崩してはまずいという考えがあると思います(少なくとも私はそう考えています)。
ただ、実際にコミを4目半に設定した結果は、黒が明らかに有利でした。
初期にはコミ碁の白番の打ち方が洗練されていなかったせいもあるでしょうが、9000局ほど打たれた結果、黒番の勝率が55.8%・・・。
対局が始まる前の、握りの運がこれだけ勝負を左右しては大いに問題です。
コミは5目半に修正されました。
私のアマ時代の大半は、コミ5目半で打っていました。
そういうものだと信じていたので、2002年・・・私が大学に入った年に、プロ棋戦のコミ6目半への変更が発表されたのは衝撃的でした。
当時のアマの反応は、賛否両論だったのではないでしょうか?
私はコミ6目半なら白を持ちたいと思っていました。
しかし、プロ棋戦ではコミ5目半での約86000局の結果、黒番勝率が52.9%だったそうです。
たった2.9%・・・とは言えません。
繰り返しになりますが、対局が始まる前に差が付いてしまうのですから・・・。
とはいえ、一度変更したコミをさらに変更するのは簡単なことではありません。
当時は既に多くの世界戦が開催されており、先にコミを変更していた中国や韓国の後を追う形になりました。
中国や韓国主催の世界戦ではコミ5目半の対局が行われることが無くなったので、そこに合わせたということですね。
今回で終わる予定でしたが、長くなったので続きます。
先におかげ杯の方に触れるかもしれません。
ちなみに、データにつきましてはこちらのページを引用させて頂きました。