白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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今週の対局・その2

2017年02月10日 23時59分59秒 | 対局
皆様こんばんは。
明日は午後1時から、武蔵小杉の永代塾囲碁サロンにて指導碁を行います。
ご都合の良い方は、ぜひお越しください。
棋譜をその場でお渡しするサービスも行っています。

さて、本日は昨日の続きです。
面白い手所が生じたので、ご紹介しましょう。



1図(テーマ図)
白△と下がって、黒に手を渡した場面です。
この手によって左上を確定地にしつつ、ここを強化する事によって下辺の白大石に援軍を送っています。
また、左下の黒模様に侵入する際の足掛かりにもなります。

さて、このまま放置すると、左下の黒模様をガラガラに荒らされてしまうでしょう。
黒は何か守るべきですが、黒Aのような手なら白BやCから削って白十分です。
できれば黒地を広げつつ守りたい所です。
どう来るかと思っていたら・・・。





2図(実戦)
黒1と、目一杯に広げられたのは予想外でした。
形勢がやや苦しいと判断したようで、必死の頑張りです。
これで頑張り切られると、前図とはコミ分ぐらい違って来そうです。
すると形勢ははっきり黒良しになりますから、白2から手にするしかありません。
お互いに必死の読み合いが始まりました。





3図(変化図)
黒1と押さえて来れば、白2からコウの形で粘る予定です。
相手の地模様の中でとりあえずコウを作るというのは、よくあるテクニックです。
白4の後黒Aと取ってコウですが、仮に負けても構いません、
コウ立てで他に2手打てれば、十分採算は合います。





4図(続・変化図)
黒は途中で一手一手コウを取りますが、その過程は本図では省略しています。
ともかくこの部分に関しては、白8までとなっては、とても白を丸取りする事はできません。
白AやBを見られています。





5図(実戦)
ですから、黒は違う方法で来るだろうと思っていました。
しかし、長考の後に選んで来た黒1、3は想定外。
自分の石を裂かれ形にする危険な手に見えますが、強引に白の眼形を奪っています。





6図(変化図)
ここで、白1と繋ぐような手は考えませんでした。
黒石ばかりの場所で、あまりにも策の無い打ち方です。
一生懸命眼を作るのではなく、黒の弱点を衝かなければ凌ぎの道は見えません。





7図(白の選択)
ここで私も長考。
残り1時間近くあった持ち時間を、全て使い切る覚悟で読みに没頭しました。
時間を節約しても、ここで負けが決まってしまっては意味がありません。

白AやBで黒△を狙う手、白C~Eと、黒〇の連携の薄さを衝く手が考えられます。
これらを組み合わせて、どう手にするかを考えなければいけません。
私はどう打ったでしょうか?
初手は白A~Eのどれかですから、勘でも当たるかもしれません(笑)。

続きは次回です。
ただ負けて終わりではつらいですから、ブログのネタとして有効活用します。
転んでもただでは起きない精神は、勝負の世界で生きる者には重要です。