<ここまでの話>
「(第1話)きっかけ・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/827b422f95e9ddae3b08ce289246af5f
「(第2話)待ち合わせ・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/4a0956c28ba3c0413de448371d2801d8
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「どうされました?」
「あ・・ いや・・ やっぱり昔と変わらず、可愛いね ♪」
と、思わず口が動いてしまう・・
「いやだぁ♪ 30半ばは立派なおばちゃんですよぉ・・
そんな事、言わないでください ♪」
「そうか? まぁ・・良いじゃないか♪」
一体、私は何を言っているのだろうか? でも、彼女のまんざらではない顔を見て、
これはこれで良いのだ・・ と思っていた・・
今日の彼女は黒の光沢のある襟付きシャツに小さなブルーのネクタイ姿・・
なんというか、黒に青は新鮮な組み合わせだ・・
また光沢のある生地のシャツが妙に色っぽい・・
ストッキングなどでパール光沢と言うような感じの奴があったりするが
光沢と言う奴・・ あなどれない♪ 男にとっては反則だと感じる・・
その反則技の光沢のあるシャツに彼女の屈託の無い笑顔・・
この時は気付いていないのだが、この時点で刺されていた可能性は否めない・・
「じゃ・・ どこにしようか・・」
「この駅前って、何も無くって・・ 喫茶店が1軒だけなので・・」
「あの喫茶店か?」 と私は先ほどまでいた店を指差した・・
「ハイ・・」
「そこしか無いのか・・」
「そうですね・・ あとはハンバーガー屋さんかドーナッツ屋さん・・
そして食事をする所ぐらいしか無いはずですが・・
喫茶店って最近減りましたね・・」
「そうだな・・ 街中では簡単に缶コーヒーなどの販売機があるから、
昔ながらの喫茶店という商売が難しくなったっていわれているな・・
じゃ・・軽くなんか食べるか?」
「えっ? 良いのですか? 別に私は良いけどぉ・・
あそこの喫茶店はお嫌いなんですか?」
「そんなことは無いのだが・・ まぁ、折角の再会だ♪
ちょっとぐらい良いだろう♪」
と、ごまかすが・・
やはり同じ喫茶店に、再度入る事は・・ ちょっと辛い・・
ここは簡単な食事なら大意もないだろうし・・ 変でもないだろう・・
「どこか、良い店は? しってる?」
「そうですね・・ イタメシ屋さんとかだったら・・」
「ああ・・ ピザ屋さんとか、スパゲッティ屋さんだな?」
「そうと言えばそうですけど・・ もちろんパスタはありますよ♪」
ん? パスタって・・ なんだ?・・ まぁなんでも良いか?
ピザでも頼めばよいだろう・・
「じゃ・・ そこで良いか・・」
と、駅前に向かい合わせの雑居ビルの地下にある、イタリアンレストランに
入った・・ 空調が効いてて非常に心地よい・・
「ふぅ・・ 生き返るなぁ・・」
「そうですね・・ ほんと今年は暑いですね・・」
「いらっしゃいませ♪ 何人さまで?」
「ああ・・ 2人だ・・」
「では、こちらの席に・・」
ビルの地下にある小さなお店だが、雰囲気もよく店員さんも好感触だ!
テーブルごとに、小さなロウソクが置かれ、その炎が暖かさを感じさせてもいる・・
また、ほぼ8割ほどのお客が入っていて、人気がある事を実感させた・・
しかし・・ 案内されたテーブルを見て、少々戸惑った・・
向かい合わせの席ではなく 二人が並ぶ席なのだ・・
全部の席が壁に背をもたれるような形で配置されていて、真中の通路になる
フロアを客が全て見れるようになっている、もちろんテーブルの横にも椅子は
置いてあるが・・ 案内された席は2人用の席であった・・
彼女は数回来ているのだろう・・ なんの違和感もなく席に座る・・
そのあと、少々戸惑いながら、私は彼女の横に座った・・
部下等と食事をする時など4人掛けの場合は横には座るが、
通常は向かい合わせに座る・・と完全に思い込んでいた・・
特に異性のメンバーとの食事では、絶対に向かい合わせである。
まさか、横に座るとは・・
「このお店は、時間になったら、シェフがビザ生地を広げるパフォーマンスを
この真中の場所で見せてくれんですよ ♪ それが結構楽しくって ♪」
なるほど・・ そういう事があるからこの配置なのだな・・
普通の考えだと、少しでも席数を増やそうと、真中のフロアにも机を配置するはずだ・・
その事が理解できると、妙にこの店が非常に心地よい店に思えてくる・・
「すみません・・ ちょっと席を外しますね・・・」
と彼女が席を立った・・ お手洗いだろう・・
『席を外します』という言い方も、好感がもてる・・
ずっと炎天下で待っていたので随分と汗をかいていた(申し訳ない・・)
オッサンのように、お絞りで顔を拭くなんてことは、レディとしては絶対に出来ない事
なのだろう・・
「いらっしゃいませ♪ ご注文はお決まりでしょうか?」
「ああ・・ すまない・・ 連れが席を外している、もう少しまってください・・」
「承知いたしました。では、お決まりになりましたら、お呼びください・・」
彼女が帰ってくる間にメニューを眺めていた・・
スパゲッティは無いのか? 良くわからない・・しかしピザはあるようだ・・
ん?、シェフのお勧めパスタ・・って・・ そういえば彼女がパスタって言っていたなぁ・・
などなど考えていた所に彼女が帰ってきた・・
汗を拭いて、お化粧を整えたのであろう・・
帰って来た彼女を見て、私はまた異変を感じていた・・
口紅も引き直したのか、ロウソクの光に映えて美しく光っているのだ・・
グロスというのか、濡れた感じで光る唇は妙に惹かれる物がある・・
口は性器を想像させると、何かの本に書いてあったが・・ なるほど・・
彼女は私が見ていたメニューを覗き込むように顔を近づけてきた・・・
ほのかに彼女の臭いが鼻をくすぐる・・ その臭いに包まれながら、
私は、彼女の光った口元を暫く眺めてしまっていた・・
「(第4話)ワイン・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/903f5a7c61509ec6822a28f0aa536914に続く・・・
(2007/10/26 18:43)
大人のエンタメSNS閉鎖の時期にUP
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