いちごわさびの徒然草

アニメ大好き! ガンダム大好き! そんなこんなを徒然なるままに・・

(第6話)手・・ / [小説]甘い誘惑

2008-01-28 20:47:40 | [小説]甘い誘惑
<ここまでの話>
(第1話)きっかけ・・
(第2話)待ち合わせ・・
(第3話)イタメシ屋・・
(第4話)ワイン・・
(第5話)胸・・
------------------------------------------------------------------------------

神様のいたずらなのか?、妖精の気まぐれなのか?
理由は全く解らないのだが、楽しい時間は本当に早く経過してしまう
気がつくと、店に入って既に3時間が経過していた・・
ワインの甘さにも負けて、ボトルは3本目が空になっている・・

「わ・た・しぃ・・・ ちょびっと酔っちゃいました♪ てへっ・・」

「そうだね・・ いい感じに仕上がっているね♪」

「女性の酔っ払いって・・ お嫌いですか? 」

「いや・・ 酔ってっても酔って無くても、君は君だ・・ 嫌いじゃないよ・・」

「嫌いじゃ無いって事は・・ す・き? って言う事ですかぁ?」

「おいおい・・ 大丈夫か? 本当に酔ってるのか?」

「そんな事はないですよ~ で・・ どっちなんですか? す・き? きら・い?」

「参ったなぁ・・ 好きだよ・・ 」

「やったぁ! 今、私の事を『好き』って言いましたよねぇ~ ♪
 へっへぇ~・・ ドサクサにまぎれて、私の事をくどいてるんだぁ!」

「いや・・ 君が好きか嫌いか?って聞いたから・・ 好きって答えただけで・・」

「でしょう? すきなんだぁ・・ ああ! なんか幸せっ!!
 お世辞でも、好きって言われると、気分は悪くは無いですよ・・ ♪」

「そ・・ そうか? そんなもんなのか?」

「そうですよぉ・・ じゃ・・ 試してみましょうか?」

と・・ 彼女は私の耳元に口を近づけてきて・・ ささやくように・・

「・・ す・・ き・・ 」・・と

彼女の息遣いが耳に感じられ
頭のテッペンから足先まで、電気が走った・・ 
一体なんなんだ!・・

「どう?・・ 嫌な感じじゃないでしょ? ふふっ・・  ねっ!」

と無邪気に笑う彼女の顔に、私も笑うしかなかった・・
本当に楽しい子だ♪

彼女はすっかりと上機嫌で、常に肩がふれあい、その重みとぬくもりを
心地よく感じ、また、しっかりと受け止めている自分がそこにいた・・
座席の関係もあり、顔と顔の距離も短く、常に彼女の整った唇が目について離れない・・
この時間が永遠に続けば良いのに・・ と感じていたが・・

世の中、そんな上手くは出来てはいない・・

「あっ・・ もうこんな時間ですねぇ・・」

「ああ・・ お尻に根っこが生えたみたいに、居座ってしまったね・・
 お互いに、ちょっと酔ったみたいだし・・」

「そろそろ出ましょうか?」

「そうだね・・」

「いくらかなぁ・・ ワリカンで良いですよね!」

「いや・・ 私が無理にここに誘ったから、今日はこちらで何とかするから・・
 気にしなくて良いよ・・」

「えっ? 良いんですか? ひょっとしたら・・ 会議費ですか?♪」

「まぁ、そんなもんだ・・ ♪」

「は~い!♪ ご馳走様で~す!」

私は支払いを済ませ、外に出た・・ 既に夜の10時をまわっているのに
じっとりとした熱気が冷えた体にのしかかってくる・・

「やっぱり・・ 外は暑いね・・」

「そうですね・・ で・・すっかり夜になっちゃいましたね♪
 これって不良の時間ですよね♪」

「そうなのか?・・ 不良の時間か?・・ 私は、宵の口と言うけどね・・」

「酔いのくちぃ?♪」

「ははは! 座布団1枚だな♪
 違ってるよ・・ 宵の口だ! まだまだ、これから!って事だな ♪」

「そうなんだ・・ ひょっとしたら、曜日を間違えちゃいましたね・・」

「ん? なぜ?」

「だって・・ 明日も仕事だもん・・ 金曜日にすれば良かった・・」

「ああ・・ そういうことかぁ・・ おっちゃん連中で、はしごする条件が
 金曜だもんな・・ やはり、平日は次の日が辛いから・・」

「平日に、はしごした事があるんですか?」

「若いときは曜日は関係なかったからなぁ・・ 昼間はガッツでユンケル飲んで・・」

「へぇ・・ ユンケル飲んで頑張ってるのぉ?・・ なんか、間違ってるぅ♪ 」

と、お馬鹿な話をしているうちに、2人は駅に到着していた・・
この駅は、他の電鉄との乗換駅だが、2人が乗る電車は始発駅である・・
3つ目の駅で、私は別の路線に乗り換えるが、彼女はそのまま乗っていくのだ・・

切符を購入し改札を入った時、電車の発車のベルが鳴った・・

「あっ! 待って! 乗りま~す!!」

と、とっさに私は彼女の手を掴み、慌てて改札から一番近いドアから飛び乗った、
車内は首都圏ほどでは無いがかなりの混みようで、押し込むように車両にもぐり込む
2人は急いで入った事もあり、私の顔のすぐ下に彼女の頭があるような
ほぼ密着状態になってしまっていた・・

「ふぅ・・ 間に合ったね・・」

と声をかけようとして、ふと気がついた・・ 彼女の顔が見えない・・
というか、彼女の頭の真上に私の顔があるのだ・・
彼女がかろうじて顔を持ち上げ

「はい・・ 間に合いました・・ ・・」

と小さな声で言い、すぐに顔を下に向けた・・ ほんとに小さな声で・・

「どうしたの? しんどいの?」

「ううん・・」

今度は顔を上げずに言う・・
その時、私はあることに気がついた・・ 

それは、私の手が何かを握っていて
その何かが、逆に私の手を握り返してきたからであった・・

それは、柔らかく、あたたかく・・
私には、それを振り解く勇気を持ち合わせてはいなかった・・・

(第7話)電車・・」に続く・・
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(第5話)胸・・ / 甘い誘惑

2007-12-14 21:57:42 | [小説]甘い誘惑
<ここまでの話>
(第1話)きっかけ・・
(第2話)待ち合わせ・・
(第3話)イタメシ屋・・
(第4話)ワイン・・
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全神経が、触れている膝部分に集まっている・・ ほんのりと暖かい・・
このまま動かずにいたい・・ しかし・・ しかし・・

「ごめん、ちょっとお手洗いに行くね♪」と言い、私は席を立っていた・・

当っている膝を不意に離すのも変だし・・ 触れたままで居るのもおかしい・・
そうでもないと、不自然だと思ったからなのだが・・
ちょっと残念に思う自分自身に対し、2枚目のイエローカードを発行した。
(レッドカードと同じじゃないか・・ いかんいかん・・)

手洗い所で顔を洗って、気持ちを入れかえる・・ 目的を忘れるな! と・・

席に戻ると、お店のアトラクションが始まっていた・・
厨房からちょっと太っちょのイタリア人か? 陽気なオヤジである。
日本語はしゃべらずに、イタリア語でまくし立てる・・
意味は解らない・・ でも、何を言っているのかが解るような・・なんだか楽しい♪・・
そして、見ている間に、ピザのベースがみるみる出来上がる・・ 凄い!・・
10数分のアトラクションが終了し、満場の拍手と共に彼は、
厨房に入っていった・・ 店内はその楽しさで満ち溢れていた・・

そんなタイミングは、不躾だとは思いつつも、いつまでも遊んでいる訳にはいかない・・
私は今日の本題を再度切り出した・・

「先に問題片付けちゃおうか?・・」

「そうですね・・ だいぶ飲んじゃったぁ・・
 酔っ払う前にお話しないといけませんねぇ~・・」と・・

そこでやっと話の本筋を聞くことが出来、本日の目的は達成!
急に肩の荷が降りたように感じ、対応する口も軽くなる・・ 

「このような場合はラインの人間の権威にも関わる場合があるんだよ・・
 組織だからと、上からの圧力で問題を回避する事はたやすいけど、
 その場合、付け焼刃の対策でしかなく、問題の根っこの部分の解決に
 ならないケースが多いんだ・・」

「なにか、そうならない方法って、ありますか?」

「そうだなぁ・・今度、内部監査があるので、その対象に君の現場を入れようか、
 その際の内部監査員にその問題を伝えておくから、
 指摘事項にその内容が出るだろう・・
 通常のプロセスの中で発見された問題点としてなら、
 現場もラインもモチベーションを崩す事無く問題の原因を調査し、
 分析して対策案を策定するはずだ・・
 そのときの対策実施者に、君がなれば良い・・ 『私がやります!』ってね
 印籠を手にして対策実施だから、やりたいように出来ると思うよ ♪」

「そうかぁ・・ 内部監査を逆に利用するのですね♪・・
 やっぱり相談して良かったぁ♪ 」

と、彼女は言いながら、急に私の腕に抱きついてきた、
頭を私の肩に乗せ、ふっと良い香りが私の鼻をかすめる・・
更に、彼女の胸の膨らみが上腕に当り、私の煩悩を直撃した!

「いや・・ まぁ・・ なんだ・・
 亀の甲より年の功♪ ただ、年をとっているだけさ・・」
とワインを流し込んだのだが・・ 私の全神経が今度は腕に回っていた・・

「酔っちゃったかな? てへっ♪」と、ペロっと舌を出し、彼女は離れたのだが・・
離れなくても良いのに・・ と思う私がそこに居た・・

・・・

ワインも2本目になり、調子も良くなってくる・・
というか、話の内容と深さ、入りかた、合の手、うなずき、微笑み・・
それらのタイミングが非常に良い
話をしていて、気が楽で、なんでも話が出来てしまう・・
私の垣根がまた一つ外れたのかもしれない・・

そんな中で、話は自然と馬鹿な話に移行していく・・
人間、お酒が入るとなぜかそうなる・・(なぜだろう?)

「なんか、色々お話を聞いていますが・・ 堅物なんですか?」

「嫌・・そんな事は無いぞ・・
 若い頃なんか、春歌を大きな声で歌ったり、馬鹿をやったもんだ・・」

「馬鹿なことって?」

「例えばだな・・ 車の窓からから手を出すんだな・・ そして風を手のひらで受ける
 ちょうど60キロぐらいのスピードで、手の平に受ける風が・・なんとも心地良い ♪」

「どういう事ですか? 60キロぉ??」

と・・ここまで喋って、しまった!と感じた
こんな、下ネタ話をして、しらけさせたら都合が悪い!
変なエロオヤジと思われてしまう!
(彼女に変な奴と思われたくない自分がそこにいた・・)

「いや・・ この話は、またいつかね・・」

「ええぇ~ おっかしいなぁ・・ どうして? 話せないのですかぁ?
 どして60キロの車から手ぇ出すのぉ??」

彼女の声がやや大きくなっている・・

「いや・・ 周りに聞こえるよ・・ 声が大きくなっているよ・・」

60キロの車から手を出す・・ この話は、ある意味有名だ・・
周りの女性客が気が付いたら、変なオヤジが、バカな事を言っている事は
一目瞭然である・・

「だってぇ・・ 教えてくれないんだもん!! 60キロのぉ・・」

「ああ・・ 解った! 解ったからぁ!!」

「じゃ♪・・ おしえてくれる?」

「それは・・
 手のひらに受けた風の抵抗が女性の胸を触った時の弾力と同じだ!って話で・・
 そりゃ、独身の野郎ばかりが集まったら、そんな話が良くでるんだよ・・」

「ふ~ん・・ それ・・やったんだ ♪」

「ああ・・ 若い頃、みんなでそんな話が出てね、」
 じゃ! 早速やろうぜ! って野郎4人が車に乗って、60キロで走って
 みんなで手を出して お~!! すげえ!すげぇ!! って 大騒ぎでさ・・」

「ふ~ん・・ バッカみたい・・
 そんな事しなくっても、本物を触らせてもらったらいいのにぃ・・」

「それが出来たらそうするさ! でも男の子はお馬鹿で純情なのさ・・
 結構20歳を越えても童貞って、沢山いるんだぞ・・」

「そうなんだ・・ でも、直接本物でなくても、私、別の場所を知ってるよ♪」

「えっ? 別の場所って?」

「あのね・・ ここを触ってみて ♪」

彼女は、ここをさわってと、二の腕の下の部分を差し出した。

「ここか?」

「うん♪」

彼女は私の手を取って、自分の二の腕の下のたるみの部分を押し上げるように
触らせた・・ やわらかさが手の平に伝わる・・

「どぉ? この柔らかさが、胸の柔らかさと一緒なんだって ♪
 良く、女の子同士では触りあいっこをしたりしてるの・・」

私の思考回路が停止した・・ 刺された・・ 見事に・・

胸を意識した私の目は、彼女の胸のふくらみを注視していた・・
今まで気が付かなかったが・・意外と適度な程よいボリュームがある
この丸みも男にとっては反則と思う・・ いや・・絶対に反則だ!
もう駄目だ・・ 手にはあの、柔らかな感触も残っていた・・

混乱している・・ 
でも、この時間が永遠に続けば・・ と感じる自分も同時に認識していた・・
イエローカード2枚なのに・・


(第6話)手・・」に続く
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(第4話)ワイン・・ / 甘い誘惑

2007-11-23 04:45:36 | [小説]甘い誘惑

<ここまでの話>
「(第1話)きっかけ・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/827b422f95e9ddae3b08ce289246af5f
「(第2話)待ち合わせ・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/4a0956c28ba3c0413de448371d2801d8
「(第3話)イタメシ屋・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/afaf8f9efa58817468018f27cc5e6013
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「ご注文はお決まりでしょうか?」

キャンドルの炎の光を反射し、魅力的に輝いている彼女の口元を、
ぼんやり見つめていた私は、その声にビックリしてしまった。
彼女が席に戻ったのを確認した店員さんが、注文を聞きにやってきただけなのだが
妙に焦ってしまっていた・・
店員に妙に思われなかっただろうか? そんな事を考えた自分が情けなかったが
店員さんの笑顔はさわやかであり、そのような気配は全く無い・・
少しでもやましい事を考えた自分に対し、イエローカードを発行した・・

ただ・・・なにか調子が悪い・・

「何にされます?」

「うん?・・ 私はなんでも良いよ、好きな物を幾つか頼んで、小皿でももらえば・・」

「そうですね♪・・ じゃぁ・・・・」

と、彼女は店員さんと楽しそうに話をしながら、数点の料理を頼んだ・・
あと小皿を2枚・・

「お飲み物は?」

「どうします?」

「飲みたいのだろう?」

「はい♪」

「好きなのを頼めば良いよ ♪ 私は同じ物で良いから・・」

「じゃあ・・」

と、色々と店員さんと話をし、結局店員さんが勧めるワインをボトルで一本注文する

「グラスでなくていいの?」

「へっ♪ これぐらい平気平気!!♪」

「へぇ・・ 飲める子なんだ・・」

「そんな事無いですよぉ・・ 弱いですよぉ♪・・
 でもこのワイン飲みやすくっておいしいんです!
 だから、今日は2人だから、ボトルの方がお安くなるかな?って思って♪」

屈託の無い笑顔で私に問い掛けるのだが・・ その距離が50センチほど・・
近い・・ あまりの近さに私の思考回路がエラーを発す寸前である事を覚った・・
そうだ! 目的を忘れちゃいかん!! 私は静かな口調で切り出した・・

その切り出しに対し、彼女の顔も普段の顔に戻り、話を始めだした・・
しかし・・ 話の途中で、ワインが到着した・・ (邪魔な奴!)
折角、取り戻しそうになったペースなのだが・・ そのまま話を続けるのも
場にそぐわないか・・ と

「じゃ・・先に乾杯しようか?」

「あっ・・ そうですね♪ 何に乾杯しますか?」

「そうだなぁ・・ 何が良いだろう?」

「・・・ そうですね・・ じゃあ・・ 熱い太陽のばかやろう!に乾杯って?」

「なに? 太陽に馬鹿やろう!って・・」

「だって・・ 暑かったんだもん てへっ♪」

やっぱり、暑い中待ってたんだ!
しかし、舌をちょっぴり出して「てへっ」とは・・ 参った・・ 可愛い・・
多分この時に確実に3箇所ほど刺されていた・・

「じゃ 太陽のばかやろう!だ!」♪

周りの目など気にする事無く2人で声を揃えて乾杯をした・・
普段なら、絶対に恥ずかしくって、出来ない事なのに・・

続けて料理が運ばれる・・ トマトソースにミンチが混じり、その間にきしめんの
ような麺が挟まっている・・ お気に入りのパスタなのだそうだ・・

スパゲッティとは違うのだな?・・これがパスタって言うのか・・と
学習しながら食べてみたが・・ 美味い! イタリアというより、南フランス
で、家庭料理として一般的な料理らしい・・ うん・・ 気に入った・・
ワインとも合う・・ 

「おいしいでしょ? これは私の1番のお勧めなんですよ!
 コートダジュールに行った時に、ドライブインで食べたのですが・・
 その味が、どこにも無くって・・ やっとここで見つけたの♪」

「コートダジュールって・・ あの映画祭とかがある所か?」

「ううん・・ もうちょっとイタリア寄り・・ モナコに近いあたりです・・」

「凄いな・・ フランスに行った事があるんだ・・」

「そんな・・ 独身貴族ですから♪ 結構行ってますよ・・みんな・・」

「ふ~ん・・ 私なんか海外旅行と言えば・・ 佐渡島ぐらいか・・ ♪」

「プッ♪ おかしいぃ~♪」

と言いながら、私の肩を軽く握ったこぶしで叩く・・ 
こんなオヤジギャグで、こんなに素直に反応してもらった事など無い・・
なにか、それが凄く嬉しく、和んでくる
また、その仕草は不自然さもなく、非常に素直な仕草でもあった
ワインとおいしい料理の効果もあるだろうが、彼女と一緒であることが
一番の要因であることは間違いは無い・・

そんな気分の中、ふと異変に気が付いた・・

彼女と隣り合わせで座ってはいるのだが・・
雑談をし、食事をしているうち、知らない間に足の膝が当っていたのだ・・ 
これはまずい・・ どうしようか?・・
そっと、離れよるべきか? それとも、このままで気が付かないふりで居ようか?

急にドキドキしてくる・・
急に離れるのも、何かわざとらしいし・・
このまま、足が当っているのをそのままにしてて、彼女が気が付いたら、
どのように思うだろうか? と心配にもなる・・

私の中で葛藤がはじまった・・ 彼女のひざのぬくもりが、体温として感じられる
何故か、心地よい・・ しかし・・  しかし・・ 

ああ・・ ワインの酔いが心地よく感じてきた・・・

(第5話)胸・・http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/584ef43b090e62a69b026c23ac7a3abaに続く・・・

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(第3話)イタメシ屋・・ / 甘い誘惑

2007-10-26 18:43:17 | [小説]甘い誘惑

<ここまでの話>
「(第1話)きっかけ・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/827b422f95e9ddae3b08ce289246af5f
「(第2話)待ち合わせ・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/4a0956c28ba3c0413de448371d2801d8

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「どうされました?」

「あ・・ いや・・ やっぱり昔と変わらず、可愛いね ♪」

と、思わず口が動いてしまう・・

「いやだぁ♪ 30半ばは立派なおばちゃんですよぉ・・
 そんな事、言わないでください ♪」

「そうか? まぁ・・良いじゃないか♪」

一体、私は何を言っているのだろうか? でも、彼女のまんざらではない顔を見て、
これはこれで良いのだ・・ と思っていた・・

今日の彼女は黒の光沢のある襟付きシャツに小さなブルーのネクタイ姿・・
なんというか、黒に青は新鮮な組み合わせだ・・
また光沢のある生地のシャツが妙に色っぽい・・
ストッキングなどでパール光沢と言うような感じの奴があったりするが
光沢と言う奴・・ あなどれない♪ 男にとっては反則だと感じる・・

その反則技の光沢のあるシャツに彼女の屈託の無い笑顔・・
この時は気付いていないのだが、この時点で刺されていた可能性は否めない・・


「じゃ・・ どこにしようか・・」

「この駅前って、何も無くって・・ 喫茶店が1軒だけなので・・」

「あの喫茶店か?」 と私は先ほどまでいた店を指差した・・

「ハイ・・」

「そこしか無いのか・・」

「そうですね・・ あとはハンバーガー屋さんかドーナッツ屋さん・・
 そして食事をする所ぐらいしか無いはずですが・・
 喫茶店って最近減りましたね・・」

「そうだな・・ 街中では簡単に缶コーヒーなどの販売機があるから、
 昔ながらの喫茶店という商売が難しくなったっていわれているな・・
 じゃ・・軽くなんか食べるか?」

「えっ? 良いのですか? 別に私は良いけどぉ・・
 あそこの喫茶店はお嫌いなんですか?」

「そんなことは無いのだが・・ まぁ、折角の再会だ♪
 ちょっとぐらい良いだろう♪」

と、ごまかすが・・
やはり同じ喫茶店に、再度入る事は・・ ちょっと辛い・・
ここは簡単な食事なら大意もないだろうし・・ 変でもないだろう・・

「どこか、良い店は? しってる?」

「そうですね・・ イタメシ屋さんとかだったら・・」

「ああ・・ ピザ屋さんとか、スパゲッティ屋さんだな?」

「そうと言えばそうですけど・・ もちろんパスタはありますよ♪」

ん? パスタって・・ なんだ?・・ まぁなんでも良いか?
ピザでも頼めばよいだろう・・

「じゃ・・ そこで良いか・・」

と、駅前に向かい合わせの雑居ビルの地下にある、イタリアンレストランに
入った・・ 空調が効いてて非常に心地よい・・ 

「ふぅ・・ 生き返るなぁ・・」

「そうですね・・ ほんと今年は暑いですね・・」

「いらっしゃいませ♪ 何人さまで?」

「ああ・・ 2人だ・・」

「では、こちらの席に・・」

ビルの地下にある小さなお店だが、雰囲気もよく店員さんも好感触だ!
テーブルごとに、小さなロウソクが置かれ、その炎が暖かさを感じさせてもいる・・
また、ほぼ8割ほどのお客が入っていて、人気がある事を実感させた・・

しかし・・ 案内されたテーブルを見て、少々戸惑った・・

向かい合わせの席ではなく 二人が並ぶ席なのだ・・
全部の席が壁に背をもたれるような形で配置されていて、真中の通路になる
フロアを客が全て見れるようになっている、もちろんテーブルの横にも椅子は
置いてあるが・・ 案内された席は2人用の席であった・・

彼女は数回来ているのだろう・・ なんの違和感もなく席に座る・・
そのあと、少々戸惑いながら、私は彼女の横に座った・・
部下等と食事をする時など4人掛けの場合は横には座るが、
通常は向かい合わせに座る・・と完全に思い込んでいた・・
特に異性のメンバーとの食事では、絶対に向かい合わせである。
まさか、横に座るとは・・

「このお店は、時間になったら、シェフがビザ生地を広げるパフォーマンスを
 この真中の場所で見せてくれんですよ ♪ それが結構楽しくって ♪」

なるほど・・ そういう事があるからこの配置なのだな・・
普通の考えだと、少しでも席数を増やそうと、真中のフロアにも机を配置するはずだ・・
その事が理解できると、妙にこの店が非常に心地よい店に思えてくる・・

「すみません・・ ちょっと席を外しますね・・・」

と彼女が席を立った・・ お手洗いだろう・・
『席を外します』という言い方も、好感がもてる・・
ずっと炎天下で待っていたので随分と汗をかいていた(申し訳ない・・)
オッサンのように、お絞りで顔を拭くなんてことは、レディとしては絶対に出来ない事
なのだろう・・

「いらっしゃいませ♪ ご注文はお決まりでしょうか?」

「ああ・・ すまない・・ 連れが席を外している、もう少しまってください・・」

「承知いたしました。では、お決まりになりましたら、お呼びください・・」

彼女が帰ってくる間にメニューを眺めていた・・
スパゲッティは無いのか? 良くわからない・・しかしピザはあるようだ・・
ん?、シェフのお勧めパスタ・・って・・ そういえば彼女がパスタって言っていたなぁ・・

などなど考えていた所に彼女が帰ってきた・・ 
汗を拭いて、お化粧を整えたのであろう・・

帰って来た彼女を見て、私はまた異変を感じていた・・
口紅も引き直したのか、ロウソクの光に映えて美しく光っているのだ・・
グロスというのか、濡れた感じで光る唇は妙に惹かれる物がある・・
口は性器を想像させると、何かの本に書いてあったが・・ なるほど・・

彼女は私が見ていたメニューを覗き込むように顔を近づけてきた・・・
ほのかに彼女の臭いが鼻をくすぐる・・ その臭いに包まれながら、
私は、彼女の光った口元を暫く眺めてしまっていた・・

「(第4話)ワイン・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/903f5a7c61509ec6822a28f0aa536914に続く・・・

(2007/10/26 18:43)


(第2話)待ち合わせ・・ / 甘い誘惑

2007-10-15 18:04:45 | [小説]甘い誘惑

<前回の話>
「(第1話)きっかけ・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/827b422f95e9ddae3b08ce289246af5f

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そんなこんなで朝が来た・・
毎朝の事ではあるが、あまり気にしないネクタイだが、毎日スーツに
合わせて選んでいる物が、ちょっと、オッサン臭く感じた・・

ちょっと地味だなぁ・・ と、考えている自分に気がつく・・
何やってんだ・・ ちょっと会うだけじゃないか!・・

とは言うものの・・
結局、ちょっぴり派手なネクタイを選んでしまう自分がいた・・

まぁ良いか・・

仕事のほうは、やけに順調に進み少々早く終ってしまった・・
些細なことかもしれないが、気力がアップし生産性が高い・・
営業所の女の子が言う

「今日は良い事があったんですか? なんか、たのしそうですね ♪」 と・・
そうか・・表情にも出ているのか・・

「いや・・ なにも無いよ・・ いつもと同じだよ♪」 と答えるものの・・
その返答も、ちょっとウキウキモードなのかもしれない・・
女の子は敏感だ・・ ちょっとした違いを感性で感じ取るのだろう・・
注意、注意♪・・

そのまま雑談等で時間調整し、待ち合わせの郊外の私鉄の発着駅に向かう・・
しかし、30分以上も早い・・

外は暑い・・ 今年の夏は暑すぎる・・
仕方が無いので、駅前の喫茶店に入り時間をつぶすことにした・・
店に入り、駅前を見ることが出来る窓側の席に着き、コーヒーを注文する・・
こんな用事で喫茶店を利用した事など、何年ぶりだろうか?
いつもはブラックで飲むコーヒー・・ 
でも今日は砂糖とミルクを入れたくなっていた・・

甘い・・ コーヒーってこんなに甘かったのだろうか・・

時間がまったりと流れて行った・・

・・・

20分ほど経っただろうか・・ 喫茶店の窓から駅前を見る・・

ん? 彼女かな? 駅前の柱の陰に女性が見えるが・・
特定する事が出来ない・・ 時間は約束よりも15分ほど前である。

もし彼女であったら、この暑さの中、15分も待たせるのは申し訳ない・・
ひょっとしたら、5分以上も前から、駅前で待っているかもしれないのだ。
でも、彼女でなかったら・・ 今度は私が15分待つ羽目になる・・
こういう時に、携帯電話の電話番号でも知っていれば・・と思う・・

会ったら携帯でも聞いておくか・・

いや待て!
そんな彼女のプライベートな電話番号など、簡単に聞きだすことなど
出来るのか? 聞き出す理由は何だ? そうだ「必然」だ!
これからも、待ち合わせの時に必要ではないか?・・
待て待て・・ これからも・・とは何だ? また彼女と会うつもりか?
いや・・ ひょっとしたら、私は彼女に再度会いたいのか?・・

それは無い! 答えはノーだ! そのはずだ・・彼女もそのように考えるだろう。
自分なりに結論が出た・・ 彼女の電話番号など、聞き出す必要は無いのだ!

と、結論を出すものの・・ 目の前の問題は解決してはいない・・

気になり何度も何度も、窓から駅前を見る・・
彼女らしい人影は、そのままそこに立っている・・
ここまでの10分は異様に長かった・・
この先の5分は・・もっと長く感じるかもしれない・・

そうだ・・ 何気なく、駅前を通過して確認すれば良いのだ!
そうと決めたら私は伝票を掴み会計に向かっていた・・
しかし・・ なぜ、今来た所だよ! というポーズをとらないといけないのだろうか
心のどこかに、待ち遠しくって早く着ちゃった! とは思われたくない・・という
変な気持ちがあったからなのだが・・ この時はそんな心境の変化など、
気がつくはずも無かった・・

・・・

駅前を何事も無いように通過する・・
やはり彼女だった・・ 彼女から声をかけてきてくれた・・

「お忙しいのに、ありがとうございます! 今日は暑いですね♪」

「そうだね・・ 暑いね・・ ずっと待ってたの?」

「いいえ 今さっき来た所です・・」 

うそだ・・ 額にうっすらと汗を浮かべているじゃないか!・・
どうして、もっと早く喫茶店を出てこなかったのか・・
罪悪感が私を襲った・・

「そうなんだ・・ でも、暑いだろ・・ すぐにどこかに入ろう!」

「はい♪」

彼女は真っ直ぐに私を見て、目をそらさずに返事をした・・ ただそれだけなのに・・

このときの彼女の顔を見た瞬間、私は前身に衝撃のようなものを感じた
良く、電気が走った・・というが、それに近い・・
屈託の無い笑顔・・ 邪心も何も無い・・無垢な笑顔・・ 
うっすらと汗を浮かべているのに、そんな事を何も感じさせないぞ!
と言わんばかりの笑顔に、私の罪悪感が一層大きくなり
暫く、彼女の顔を見つめてしまっていた・・


「(第3話)イタメシ屋・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/afaf8f9efa58817468018f27cc5e6013に続く・・・
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(2007/10/15 18:04)


(第1話)きっかけ・・ / 甘い誘惑

2007-09-23 14:23:32 | [小説]甘い誘惑


会社に入社して気が付けば20余年、それなりの職位と仕事にも恵まれ
子供達も大きく成長していた・・

ごく平凡な毎日・・
毎日、決まった時間に満員の電車に揺られ会社に出勤し、
女房が作ったお弁当を食べ、仕事が終わると同じ道を我が家に帰る・・
そんな毎日を繰り返していた・・

何も気になることも無く、その毎日にも違和感を感じず、ただ単に
毎日を消化する生活に、完全に慣れてしまっていたのだが、

それは突然に私の前に現れて来た。

・・・

会社の現場から上がり、本社勤めになってから、もう10年・・
なにも変わらない、いつもの流れの繰り返しだった・・

初夏のある日、突然に1通の電子メールが舞い込んでくる。
仕事上での問合せ?・・ 知っている女性からのメールだ!
そういえば、彼女とは昨日本社の廊下ですれ違ったなぁ・・
「久しぶりだね? 元気にやっているの?」など、社交辞令の挨拶を
交しただけで、なにも変わった事は無かったようだが・・

メールを読むと、仕事上でのトラブルが書かれている・・
その事について、相談に乗って欲しいとの内容だ・・
私は即座に返答を返していた。

「今度、本社に来る時を知らせてください。時間を取ります。」

彼女からの返信はすぐに届いた。
本社だと上司の目などもあるので、出来れば外で会えないか? との
内容である・・ 私の仕事は現場の支援が主な作業であり、現場での
トラブルには職務として対応する必要があった・・
事の重要さを感じた私は、次のようなメールを速攻で返信した。

「だったら、いつ、どこで会いましょうか?」

ちょっとドキドキしていた・・
会社以外で女性に「会いましょう」と言っているのと同じなのだ・・
仕事をしながら、メールボックスの確認をする・・
何度も・・ 何度も・・
やはり、文面がまずかったかなぁ・・ と少々後悔もする・・
相手は男性ではなく女性なんだから・・ 
でも、男女雇用均等法があるじゃないか・・
対等に扱わないほうがおかしい・・ 私は間違っていない・・

多分・・ そのはずだ・・  いや・・ ・・

こうなってしまったら、もう仕事が手につかない・・
メールボックスは見るが、他の仕事のメールばかりである・・
時間だけが過ぎていく・・ どうしたんだ・・
社外で会いたいと言ってきたのは彼女ではないか!
悶々とした時間が過ぎ、夕方の定時が近づいて来たとき、
メールボックスに新しいメールが届いた! 彼女からだ!・・

明日にでも郊外に出る私鉄の出発駅で待ち合わせしましょう、との内容だ!
私は即座にスケジュールを確認する。
明日は同じ方向の営業店に出かける予定だ! いけるぞ!

「では、その駅の改札で19時に会いましょう。」

と返信を書き、返送しようとしたが・・
いや待てよ・・ 返事を送るのが早過ぎないか?
まるで、彼女のメールを待っていたかのような即答は、
印象が悪いのではないだろうか・・ 
と 返信ボタンを押す手前で止まってしまった・・・

そんな事はない・・ きっと彼女はメールの返信を待っているぞ!
いいや・・ 速攻で返したら、暇なオヤジだ・・と馬鹿にされるぞ!

バカ!ちょっと待て! 何を考えているんだ・・ 仕事じゃないか・・
そうさ、彼女は困っているから、私に会いたいんだ!
自分に「仕事だ!」と言い聞かせ、彼女と会う約束のメールを送信した。

仕事だと割り切っているはずなのだが、帰り道では
彼女と初めて会った頃の事を思い出し回想を重ねる自分がそこにいた・・

10数年も前になるか、ある組織変更で同じ部署になったことがあるのだ、
と言っても、そんなに話をした訳でもなく、ただ、笑顔が可愛い、
洋服のセンスがある、おとなしい子だった事を思い出していた。

「仕事で会うんだ!」と思っているのだが、なにかワクワクして
早く明日にならないかな・・と考えている自分が面白くもあった・・


「(第2話)待ち合わせ・・」http://blog.goo.ne.jp/ichigowasabi/e/4a0956c28ba3c0413de448371d2801d8に続く
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(2007/09/23 14:23)